表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みんな同じような空の写真  作者: 小野直史


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/131

わたしは話したい

太陽がぎらついて睨んでいる。ある日の昼、わたしはお弁当の袋を持って教室の外に出た。押し出されるように。それまでは寝るふりをしてみたり、教科書を読んでみたり、音楽を聞いてみたり、ニコニコ動画を見てみたりしてみた。付け焼刃だが色々やってみたのだった。でも、当然というか、どれも上手くごまかせなかった。ただ胸がしくしくと苦しいのだった。


どうしてここにいなければいけないのだろう。教室を出てどこに行けばいいのだろう。この学校のどこにわたしの居場所があるのだろうか。


無いんじゃないか?とわたしのなかにいるわたしが語りだす。机の中をまとめてかばんに投げ入れてどこか大きな公園に行って、ベンチに座っていたほうがいいんじゃないか?公園のベンチはおまえだけの椅子ではないが、おまえの椅子でもあるのだから。そうやって生きていくしかないのだろうか。そうだよ、これからは公園の背景になりながらそこのベンチで過ごすんだよ。あのひと、いつもいるな。同じベンチで。いただろそんな人。次はおまえの番だ。でも、そんなことではいけない。卒業できない。卒業してどうなるの?学校なんてやめたらいいよ。だめだよ、そんなことではこの先どうなるの。これからまだ、ずっと……。この先だって?どこにいたって苦しいままじゃないか。話せないなら同じじゃないか。ひとりでいるのがいいんだよ。選ぶんだ。おまえは話せないんではなく、話さないんだ。逃げたんではなく、唾を吐いた。そう自分で選んだことにすればいい。思い込めばこころは後から付いて来る。たどり着けば航跡は曖昧になっていく。


なんだか正しいような気がしてきた。でも、それに反してこころは沸々としているのだった。


話したい!とわたしは叫ぶ。


わたしは話したい。わたしを変えたい。そういえば練習を最近してないな! とわたしは思った。自己紹介のあの日からわたしは諦めてしまっていた。ずっと話しかけられるのを待っていた。受け身だった。もう一度挑戦したい。わたしからボールを投げたい。そしたらボールはきっと帰ってくる。


今日から始めたい。早く河川敷に行きたいとわたしは思う。無駄なことをと影が薄くなったわたしのわたしが捨て台詞を吐く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ