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幕間⑨ 1歩目、意識されることを考え始める

有織はべりです。

拙文ですが、お読みいただき、楽しんでいただけると嬉しいです。

 今度の期末は高原くんと一緒にテスト勉強か~。


 学校から帰って来ていつものジャージに着替えたわたしは、自分の部屋のベッドにだらしなく寝転がりながら、今日の生徒会のことを思い出していた。


 せっかくだから勉強だけじゃなくて、遊びに行ったりもしたいなぁ。真面目な高原くんのことだから、テスト勉強するって約束なんだから遊びに行くより勉強優先だろ、とか言いそうだけど、お願いしたらなんだかんだ許してくれると思うし。


 しょうがねえなぁ……なんて仕方なさそうに笑いながら、一緒に遊びに行ってくれる高原くんの姿が簡単に想像できる。押しが弱いっていうか優しいからね。

 

 今日だって、あんな理不尽なことしちゃったのに、怒るどころか謝ってくれてお菓子までくれたし……。


 どう考えても今日のわたしの態度は絶対に良くなかった。思い出してすごく後悔。枕に顔をうずめて反省する。 


 仁美と生徒会室でテスト勉強をしたことを聞いた時、なんだかすごくショックで、仁美だけズルいって思って、とっても心がモヤモヤしてしまった。


 少なくとも、あんな露骨に面倒くさい拗ね方をしちゃっうくらいには。


 わたしもバカじゃないから、ちゃんとわかってる。


 高原くんは困ってた仁美に勉強を教えただけだし、仁美が勉強ができないことを周りに知られたくなかったから、他の生徒が来ない生徒会室を使うのが都合がよかったってことも、別に生徒会室に生徒会役員以外を入れちゃダメって決まりなんてないってことも。 


 でも、生徒会室はわたしと高原くんだけの場所って思ってたんだよね……。


 学校じゃクラスが違うから、生徒会室以外でわたしと高原くんが校内で接する機会はほとんどないし、仮にあったとしても、お外だからわたしは常に会長モードなので、いつもみたいに話すことはできない。


 だから、生徒会室は学校で唯一、素のわたしが高原くんと接することのできる貴重な場所なので、実はわたしの中でとても特別な場所だった。


 ただ、高原くんはま~~~~ったく、そんな風に思ってなかったみたいだけど……あ、ダメ、考えてたらなんかまたモヤモヤしてきちゃった……よくないよくない、言ってもないのに自分の気持ちを理解してもらえなくて怒るとか、ネットでよく見る面倒くさい彼女じゃん。


 まあ、そんな面倒くさい彼女ムーブを、わたしは今日、思いっきり高原くんにやっちゃったわけだけど……。


 彼女ならともかく、ただの友だちにそんなことされたらウザイに決まってる。いやたぶん、彼女にやられても間違いなくウザい。


 なので、期末テストで一緒に勉強しようと誘った時、なかなか受け入れてくれなかった高原くんに、もしかして、そんなウザいことをしてしまったせいで嫌われてしまったんじゃないかって、けっこう本気で焦ってしまった。


 ほんと、今度ちゃんと謝ってお詫びしないとね……高原くんには嫌われたくないもん。


 さっきからうつ伏せで寝ているせいか、そんな姿勢で考えごとをしていると、なんだか胸が苦しくなってきた。

 

 胸を圧迫から解放するために、体を横向きに変えてみるけど、苦しさというかモヤモヤした感じは、あんまり変わらない。どうしてだろう。


 今まで感じたことのない胸の感覚に戸惑っていると、何故だか無性に、高原くんと指切りした右手の小指を見たくなってしまった。


 わたしは右手を自分の顔の前まで持ってくると、指切りした時みたいに小指を立てて、じーーーーーっと見つめてみる。


 ……そういえば高原くん、指切りしてる時すっごい恥ずかしそうにしてたなぁ。


 思い出すのは指切りげんまんをした時のこと。


 高原くんってば、ものすごい顔を赤くして、そっぽを向きながら指を絡めてきたっけ。


 そんな、恋する乙女か! って感じの姿に、指切りをしながら思わず笑ってしまった。


「ふふっ」


 というか今も思い出して笑ってしまう。


 たしかに高校生になって指切りするのはちょっと恥ずかしかったけど、そこまでわかりやすいリアクションをするほどじゃない。そう考えると、本当に高原くんは恥ずかしがり屋さんだ。


 もしわたしに一生処女なんて呪いがなくて、わたしのことを異性として意識してたら、もっとすごい反応だったのかな? 


 ふと、そんなことを思う。

 お姉ちゃんや伏見さんへの態度を見る限り、高原くんは女の子を意識するような状況だと大きいリアクションを取りがちな気がするし、その可能性は高そうだ。


 わたしのこと意識してない今でもあんな面白いリアクションだったわけだし、もし意識してたらどんな反応してたんだろ?


 高原くんがわたしを意識した時のことなんて考えたこともなかったけど、試しに想像してみる。


 わたしを意識する高原くん……わたしを意識する高原くん………うん、全っっっっ然、どんな感じになるのかわかんないや!


 どうしてか何度も考えてみても、わたしを意識する高原くんの姿がハッキリと想像できない。

 それどころか自分が誰かに異性として意識されている姿すら、まったく想像できなかった。


 う〜ん、でもなんかすっごい気になるなぁ……実際に見てみたいなぁ……呪いが解けたらもう一回高原くんと指切りしてみようかな? 


 一応、わたしも女の子なわけだし、呪いが解けたら高原くんもちょっとくらいは、わたしのことを意識するはずだ。

 

 うん、それがいいね、そうしよう! 縁の問題が解決する日が待ち遠しいなぁ。ふふっ、高原くんってば、どんな感じになっちゃうんだろ。考えれば考えるほど楽しみだなぁ〜。


 わくわくで思わず口がにやけちゃう。


 それからしばらくの間、わたしは自分の小指を見つめながら、わたしのことを意識した高原くんについて色々と考え続けてしまったのだった。


 気づけば、さっきからずっと胸にあったモヤモヤや苦しい感じは、すっかり消えてしまっていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

よろしければ、ご感想や評価などをいただけると嬉しいです。

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