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第七十七話 似ているようでちょっと違う

有織はべりです。

拙文ですが、お読みいただき、楽しんでいただけると嬉しいです。

「あ、そうだ、山本さん、中間テスト学年20位おめでとう」

「は、ははははははいっ!?」


 そういえばまだ言ってなかったと思い、成績上位者になったことについて口にしてみると、深呼吸の繰り返しで取り戻した落ち着きがあっという間になくなってしまう山本さん。


 余裕が全くなさそうに、視線をあちこちに彷徨わせている姿は、わかりやすく慌てているというか、ぶっちゃけ挙動不審気味だった。


 いや、何でそんなに慌てる必要があるんだ? 


 山本さんが実は、大人しそうに見えてリアクションがとても大げさだということは、もうなんとなくわかっている。褒められてるわけだし、顔を赤くするとか照れた感じになるならまだわかるけど……。


「あ、ああああ、あのあのあのあのっ!! あのですね!?」


 疑問に思っていると、さっき掲示板の前で見た、俺が嫌な予感がした時に酷似している様子のやまっ本さんが、焦ったように早口で話し始めた。さっきと違って周りに人もいないし、今回は止めなくてもいいだろう。


「た、高原くんは私がどれだけバカだったかご存じなわけですし、き、きっと、あの結果を信じられないのも当然というか当たり前ですよね!? い、一週間前に0点取るようなバカが20位なんてそんなバカな話普通は信じられないというか不正でもしない限りありえないと思っちゃいますよね私もそう思います! で、ですけど本当にか、カンニングみたいな不正行為をしたわけじゃないんです信じてください!!」

「お、落ち着け落ち着けー。た、確かに、山本さんには申し訳ないけど、信じられない結果だとは思ったよ。だけど、カンニングをしたとかは一度も思ってないぞ」

「ど、どうして思わないんですかっ!? おかしいですよ!? や、優しいことは高原くんの美徳ですけど、す、少しは疑うことをした方がいいと思いますっ!!」

「おかしいのはそっちだわ! なんで疑わせようとする!?」

「だ、だって、絶対に疑われると思ってたので、こんなあっさり信じてもらえて逆に不安になっちゃったんですよぅ……て、テストが返って来た時から、どうやったら高原くんに信じてもらえるのか、ずっと悩んでたんですからぁ……」

「えぇ……俺が言うのもなんだけどちょっとネガティブ過ぎない? 他の人がどう思ってるかはわからないけど、少なくとも俺は、山本さんがどれだけ頑張ってテスト勉強してたのか、一緒に勉強してきて知ってるんだからそんな風に疑うわけないだろ」


 まあ、山本さんの名前を成績優秀者の中に見つけた時はめちゃくちゃ驚いたけど。間違いなくテスト前に見た0点のインパクトが強すぎたせいだろうな……。


 冷静に考えて、あれだけ真面目に勉強をして、あのテスト前日の出来具合から考えれば、20位という結果に疑う余地はない。


 なのに、当の本人は頑張って勉強したから良い点数を取れたことに、カンニングをしたって疑われるのが当然って不安になってるとか……どんだけ自分に自信がないんだよ。さっきの優しい認定といい、ほんと、色々と心配になるわ。


 今もどこか不安げにこっちを見てくる山本さんに、俺は意を決して、おそらくおせっかいというか、きっと別に言わなくてもいい余計なことを言うために、口を開くことにする。


 俺も山本さんに似て自分に自信がないタイプの人間なので、そんな不安になってしまう気持ちはなんとなくだけどわかってしまうから。


「あの結果は山本さんの頑張りの成果だってちゃんとわかってるし、だからその、そんなカンニングしたって疑われるんじゃないかとか、不安にならなくてもいいんだって。とにかく、山本さんはめちゃくちゃ頑張った! だからテストでいい点が取れたのも当たり前! そこに疑いの余地はないし、むしろ疑うやつは性格が悪すぎる!! 以上!!」


 言いながら、ものすごくクサく感じてしまい、最後の方は冗談っぽく誤魔化してしまった。

 ぶっちゃけ、めちゃくちゃ恥ずかしかったし俺なんかの言葉に力があるかはわからないけど、少しでも山本さんの不安がなくなって欲しいと思った。


「た、高原くん……」 

 

 果たして俺の言葉に、少しでもそんなネガティブを和らげる効果はあったんだろうか。

 

 山本さんは胸の前で両手をぎゅっと握り、まるで何かを噛みしめるようにゆっくり頷いた。


「だ、だったら私が高原くんに勉強を教えてもらって珍しくテスト勉強を頑張ったことを知らない先生たちは、やっぱり絶対にカンニングしたって思ってるはずですよね!? 今すぐ弁解してきます!!」

「待て待て待て待て!!」


 残念ながら全くの効果なし。むしろ俺の言葉で別のネガティブが生まれてしまったらしかった。

 完全に暴走した様子で職員室に向かって走り出そうとした山本さんを、俺は必死で制止する羽目になるのだった。


 さっき似てるとか思ったけどちょっと違ったわ!? ここまでネガティブになることとかある!? どんだけ自信がないんだよ!?

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

よろしければ、ご感想や評価などをいただけると嬉しいです。

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