第六十一話 生徒会はお休みです!
有織はべりです。
拙文ですが、お読みいただき、楽しんでいただけると嬉しいです。
結局、山本さんがどうしてあんな風になってたのか気にはなったけど、気軽に聞いてもいいのかとか色々考えてるうちに、あっという間に放課後になってしまった。
少し心配だったので、それとなく今日一日、山本さんの様子をこっそりうかがってみたけど、ホームルームのあの時以外、あんな顔はしていなかった。
あの時彼女に何があったのかは全く分からないけど、いたって普通な感じだったし、きっと大丈夫だろう。ていうか、一日中、女子をこっそり見てるとか気持ち悪すぎるぞ俺……見てるくらいなら普通に聞けって話だろ……。
そんな感じで、今日の自分の行動を思い返して軽く死にたくなりながら生徒会室にやってきた俺を迎えたのは、何故かテンションの高い天崎だった。
「テスト一週間前だよ、高原くん!」
「お、おう、そうだけどなんでそんなテンション高いんだ?」
「そんなの嬉しいからに決まってるじゃん! テスト一週間前から部活も委員会もお休みになるわけじゃない? つ・ま・り~わたしたち生徒会も堂々とお休みしていいってことだよ! 土日とテスト当日も含めたら、今日から10日くらい生徒会を休めるってわけ! こんなのテンションが上がらないわけないじゃん!」
「な、なるほど……あれ? けど生徒会が休みなら、なんでお前、今、ここにいるんだ?」
「え? くそ真面目な高原くんのことだから、今日も普通に生徒会に来ると思って。テスト一週間前で休みになるのかメッセージとかで聞いてくると思ったけど、そういうのもなかったし。もし誰もいなかったら高原くんも困ってたでしょ?」
「あー……それは申し訳ないことをした……」
今日は、ほとんど山本さんのことを気にしてたせいか、生徒会が休みになるのかとか全く頭になかった。確かに天崎の言った通り、生徒会に来て誰もいなかったら少し困ってたかもしれない。天崎の気遣いに感謝だ。
「あはは、いいっていいって~。こっちから高原くんに休みの連絡を入れてもよかったんだけど、生徒会がお休みになったらこうして会う機会も減っちゃいそうだなーって思ったら、なんか直接、顔見て話したかったっていう個人的な理由もあったから」
「ははは、なんだその理由」
聞き方によったらものすごく勘違いしそうな物言いだが、天崎にそんな他意がないことは、今まで一緒にいて何となくわかっているので、そこまでドキッとはしなかった。ただ多少どきどきするのは致し方ない。なんてったって思春期の男子高校生だからな!
「そういうわけで、今日からテストが終わるまで生徒会はお休み! いままで放課後はずっと生徒会だったから、それから解放された今、放課後は自由に好きなこといっぱいして過ごしてやるんだから!」
「いやその気持ちはわかるけど勉強しろよ……何のためにテスト一週間前から部活も委員会も休みになると思ってるんだ」
「ちょっと、うちの担任の先生みたいなこと言わないでよ~。高原くんだって、せっかく生徒会がお休みなのに勉強を頑張るなんて、そんな面倒くさいことやりたくないでしょ?」
「当たり前だろ。誰が好き好んで勉強なんてするか」
「だよね~そもそも、日ごろから授業を聞いてたら、別に頑張って勉強しなくても、テストくらい普通にできるし」
「は!? できるわけねえだろ!? え、何お前、もしかしてテスト前に勉強とかしてないの?」
「いやいや、さすがに何もしないままテストに臨んだりはしないよ? 提出物やって、後はちょっと復習もするし」
冗談かと思ったけど、そんなとんでもないことをさらっと言った天崎にそんな雰囲気は欠片もないので、どうやら本当のことを喋ってるらしかった。
いやいやいやいや!? それだけしかやってないのに、毎回学年十位以内に入ってるとかおかしいだろ!? 日ごろの態度のせいで忘れそうになるけど、お前ってやっぱり、めちゃくちゃ優秀なやつだな!
「そんなことができるのは、うちのお姉ちゃんくらいだから」
「天崎先輩ってそんな感じだったの!? えぇ……テスト前に勉強しなくて学年一位をキープし続けるとかヤバすぎだろ」
「うん、ヤバいよ。一応、軽く教科書を見直すくらいはしてたけど、それで学年一位とかあっさり取っちゃうんだもん。自慢の姉だけど、天才過ぎてちょっと引いちゃうよね?」
「それは引く。天崎姉妹恐いわぁ……」
「ちょっと! お姉ちゃんはともかく、なんでわたしまで!?」
「当たり前だろ! 自覚がないのがもっと恐ろしいわ! 俺も含めた一般の学生はちゃんとテスト前に勉強しないと、よろしくないテスト結果が待ってるの! だから一週間という限られた期間で、テスト範囲の内容を頭に詰め込むんだよ!」
「えぇ……でも、テストってどれだけ授業の内容を理解してるか確認するためのものだし、そんな場当たり的に詰め込んでも意味なくない?」
「唐突にぐうの音も出ない正論はやめろ! 他のやつらは知らないけど、少なくとも俺は目の前のテストを乗り切れれば後は何でもいいんだよ!」
「刹那的だなぁ……まあうん、理由が何であれ勉強することは悪いことじゃないよね、頑張って! あ、念のために言っておくけど赤点だけは取らないでよ? 生徒会役員が赤点なんて取ったら、生徒会のイメージが悪くなっちゃうかもだから。あと補習で生徒会に来るのが遅れちゃうし。もしそんなことになったら二人で遊ぶ時間が減っちゃうから、赤点だけは絶対回避すること!!」
「いや赤点回避を要求する理由よ。絶対、後で言ったことが本音だろ」
「当たり前じゃん! 生徒会のイメージとかぶっちゃけどうでもいいよ! 毎日、高原くんが来るまでの間、生徒会室で一人寂しく遊んでるとかわたし嫌だからね!? まあ、高原くんが成績良いのは知ってるし、大丈夫だとは思うけど……もし赤点取りそうだったら早めに言ってね?」
「なんだ? もしかして勉強を教えてくれたりするのか?」
「ううん? わたしも赤点取って一緒に補習受けるから。約束したもんね? わたしと高原くんは一蓮托生だって。それにこれなら一人で寂しく生徒会室で高原くんが来るのを待たなくて済むし、ついでに生徒会もサボれるし一石二鳥だよね?」
「絶っっっっ対に赤点だけは取らないから、今すぐその血迷った考えは捨てろ!!」
「あはは、そんな焦った顔しなくても、もちろん冗談だよ? もう、高原くんってば何でもかんでも本気にしちゃうんだから~」
濁った目の笑顔から一転、天崎は明るく笑って俺の背中をバンバンと叩いてくる。
いや……割と本気で言ってたように感じたのは俺の気のせいか? こいつって有言実行するタイプだから、わざと赤点とか絶対ありえなさそうなことでも、なんか本当にやりそうな恐さあるんだよなぁ……! 今のところ赤点を取るような気はしないけれど、もしそんな予感がしても天崎にだけは言わないでおこう……。
とりあえず、いつも以上にテスト勉強は頑張ろうと心に誓った俺だった。
ま、そうは言っても、うちは進学校でもないからテストもそこまで難しくないし、よっぽどサボったりしない限り、赤点なんて取らないとは思うけどな。
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