第四十八話 球技大会はバスケから
有織はべりです。
拙文ですが、お読みいただき、楽しんでいただけると嬉しいです。
来るな来るなと思ってる日ほど、なぜか早くやって来るのはどうしてなんだろうか。
特別競技出場という罰ゲームの執行が決まった日から、二週間という時があっという間に過ぎ去り、今日は球技大会当日。
ワンチャン雨天中止か延期も願ってみたが、こうしてグラウンドから見上げる空は雲一つなく、憎らしいくらいの快晴だった。ちくしょうめ。
「宣誓。わたし達生徒一同は、スポーツマンシップにのっとり、互いを尊重し合い、同じ学び舎で過ごす仲間たちとの意識や絆をより深めていくとともに、競技を楽しむことをここに誓います」
いっそ何らかのハプニングでも起こって始まらないでくれたりしないかな、なんて俺の希望もむなしく、全校生徒の前で天崎が宣誓をする。
なんだろう、普通のことを言ってるはずなのに、生徒会活動の真の目的を知ってる身からすると、意識や絆を深めるの意味がちょっと変わって聞こえてくるな……。
その後、校長からありがた~いかつ無駄なが~い話を頂いて、球技大会はスタートした。
「なあ竜也」
「なんだ空太。口を動かすのは良いけど、ちゃんと準備運動もしとけよ。怪我するぞ」
「うん、準備運動はもちろんするぞ? するけどさ……なんで俺までお前と一緒にバスケに出ることになってんの!?」
準備運動をしている竜也に全力でつっこんだ。
今日の予定は特別競技しかない俺には球技大会の最後まで特にやることがないので、バスケに出場する竜也の応援もとい冷やかしでもしてやろうと体育館にやってきたら、何故か竜也に何の説明もなく連行されてゼッケンを着させられ今に至る。
いや本当にどういうことだよ!?
「元々出る予定だったやつが風邪で休んだんだよ。そんで、ちょうどいいところにいた空太で補充しただけだ」
「いや、だとしてもなんで俺が駆り出されるわけ!?」
「空太が一番、時間も体力も有り余ってるからだ。お前、今日は特別競技しか出ないだろ」
「だからといって補充要因にされる理由もないぞ!? そもそもお前ら経験者と違って、バスケなんて授業とか遊びでしかやったことないんだが!?」
うちの学校の球技大会は自分の部活の競技にでも出場可能という、文化部や帰宅部にとってこれでもかというくらいの鬼畜仕様だ。
自分が部活でやってる競技は遠慮してあげてね~程度のほんのりとした空気はあるが基本的に守られることはなく、球技大会のメンバーは部活ガチ勢で固められることの方が多い。
うちのクラスもその例に漏れず出場メンバーは男子バスケ部の野郎どもと、運動も勉強も何でもこなせる金髪イケメンこと竜也で構成されていた。
竜也も中学の時は三年間バスケ部に入っていたので、急遽出場が決まった俺以外は全員ががっつり経験者である。
そんなところにいきなり素人が放り込まれたら、うちと同じくガチ勢で組まれている相手チームのカモにされること間違いなしだろう。
「み、見える……見えるぞ……! 俺のせいで負けて戦犯待ったなしになる未来が! そしてクラスのやつらからお前のせいで負けたんだー責任取れーって吊るし上げをくらうんだ……がくがくぶるぶる!」
「お前……よくこの一瞬でそこまでネガティブな想像ができるな。そもそも戦犯って言うけど、そこまでバスケ下手でもないだろ。中学の時たまに俺とバスケやって何回か勝ってるじゃねえか」
「いや友だちとやるお遊びの1on1とガチ勢同士の試合は全然違うだろ!?」
「安心しろ、人数とコートがちょっと変わるだけで基本は変わらん。それに何かあったらバスケ部の連中が何とかしてくれるはずだ」
「まか!!」
「せろ!!」
「YO!!」
近くで念入りに準備運動をしていた同じ出場メンバーであるうちのクラスの男子バスケ部たちが、何故か三人でスクラムを組んでそう言ってくる。
「お、おう、ものすごくありがたいから全力で頼む。けど、なんでお前らそんなにテンション高いの?」
「試合で活躍して!!」
「女子に俺たちの格好いいところを!!」
「見せるんDA!!」
物凄くシンプルかつわかりやすい理由だった。
天崎が学校行事が異性交遊の促進に重要だって言ってた意味を、今きちんと実感した気がした。
なるほど、こういう球技大会とかスポーツ系の行事だと、自分の得意な分野で異性にアピールできる絶好の機会にもなるわけか。しかも、アピールするって考えがそもそも異性を意識してないと出てこない発想だし、学校行事がいかに異性を意識させることができる貴重な機会なのかがわかるな。
非常にやる気に満ち溢れているバスケ部三人衆の姿に、恋愛ってこういう活力にもなるんだなぁ、なんてしみじみ思った。
「モテたい!!」
「彼女欲しい!!」
「そのためにも優勝するZO!!」
うーん、それにしてもすがすがしいまでに自分の欲求を口にするなぁ。
「だから五位堂と高原はあんまり活躍しないでくれ!!」
「俺たちが目立たなくなっちまう!!」
「あとほら、うちの顧問も見てるから、部活やってない二人より不甲斐ない結果だと次の部活が地獄になるんで……」
「「それな!!」」
「コントでもやってんのかお前ら」
「いや、たぶん全部ガチだろ。ま、とにかくこんなやる気満々のバスケ部もいるし、俺と空太は楽しむ感じでバスケやってりゃいい。ミスったらこいつらが何とかしてくれるだろうしな」
「「「任せとけ!!」」」
そんな無駄に息ぴったりにサムズアップするモテたい三銃士と、普通にバスケを楽しむつもりの竜也とともに、急遽、俺はバスケ部たちが集まる地獄のバスケットボールに参加する羽目になったのだった。
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