第四十六話 球技大会は何に出る?
有織はべりです。
拙文ですが、お読みいただき、楽しんでいただけると嬉しいです。
ゴールデンウィーク明けの生徒会から一週間後、朝のホームルームの教室はいつもより騒がしかった。
教壇にはチョークを持った黒髪ぱっつん眼鏡の女子生徒ーーうちのクラス委員長が立っており、黒板には球技大会という文字と、当日の競技がズラッと書かれている。
これから、誰が球技大会のどの競技に出場するかを決めようとしているところだった。
「よーしお前らー、自由に話し合っていいから球技大会について色々決めなきゃいけないこと決めろー。ホームルームで足りなそうなら一時間目の私の授業時間も使っていいからなー。そういう訳で委員長、あとは頼んだぞー」
なお、本来騒がしいのを注意するはずの担任は、そんなことを言って、教室の隅で椅子に座って我関せずの態度を取っている。
そんな雑な感じでいいのか教師。そして全て押し付けられた委員長の不憫さよ。
「はい、先生。では皆さん、どれに出たいか競技ごとに一つずつ聞いていきますので、出たい競技の時に挙手をお願いします。まずはーー」
担任の代わりに教団にクラスメイトたちの視線を一身に受けているのに声色どころか表情一つ変えず、委員長が淡々と話を進め始める。
いや委員長めっちゃメンタル強いな! ちょっとくらい緊張すると思うんだけど!?
そんなうちの委員長の強メンタルっぷりに驚きながらどの競技に出るかを考える。
今年の球技大会の競技は、バスケにバレーにテニスに卓球などのオーソドックスなものと、問題の特別競技。正直、特別競技じゃなければ何でもいい。
毎年、特別競技の内容は、当日、特別競技の開始直前に発表されることになっており、いま黒板に書いてあるのは競技人数と男女混合というわずかな情報のみ。
なので、現時点でクラスでその内容を知っているのは生徒会役員の俺だけだ。だからこそ、特別競技だけは絶対にやりたくない。なにせ異性交友を促進することを目的に作ってあるからな、あれ……。
『異性交友の第一歩は異性を意識すること。そして、そのためには異性同士を接触させるのが一番手っ取り早いんだよ。思春期真っ盛りの学生なんて、それだけで簡単に異性を意識しちゃうはずだからね、へっへっへ〜』
一緒に特別競技を考えていた時、天崎はそんなことをものすごく悪い顔で言っていた。
そんな意図があって生まれた特別競技にもし出てしまったら、球技大会の後で天崎に何を言われるかわからない。自分からいじられるネタを提供してたまるかよ。
何より純粋に競技の内容が、俺にとっちゃ普通に恥ずかしいのでシンプルにやりたくない。いや、こんなこと競技を考えた側が言うことじゃないだろうけど。
そういうわけだし今年は卓球あたりでいいか。バスケとかサッカーに比べたら体力的にも楽だし、多分だけど希望するやつも少ない方だろう。
卓球が不人気とは言わないけど、流石に希望者が多すぎて他の競技に移るなんてことにはならないだろうしな。もし人気のある競技を選んでそんなことになった挙句、特別競技に出ることになってしまったら目も当てられない。
まあ、そもそも特別競技は去年も人気があったし、きっと今年も出たいやつは多いだろう。万が一、別の競技に移ることになっても、特別競技になることはないはずだ。
念の為、二重三重の策を講じている俺にもはや隙はなかった。
ふっふっふ、誰がやることになるかはわからないけど、特別競技に出るやつはご愁傷様だ。当日、俺は高みの見物とさせてもらおう。悪いなクラスメイト諸君、世の中、情報を持ってるやつが絶対的有利なのだよ!
「では次は卓球ですが、出たい人はいますかーー」
そんな感じで球技大会を平穏無事に過ごす確信を持つ俺は、内心ほくそ笑みながらゆっくりと手を挙げるのだった。
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