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幕間① 神さまの学校探索

有織はべりです。

拙文ですが、お読みいただき、楽しんでいただけると嬉しいです。

「もうさ、手っ取り早く、毎週生徒会主催でクラスとか部活同士の合コンとか開いたらどうかな? 数をこなせば何組かカップルは生まれるでしょ。うん、これで万事解決だね!」

「アホかお前は、もうちょっと真面目に考えろ。生徒会主催の合コンとかできるわけねーだろ」

「え~……でも、ちまちま活動するのも面倒だしさ、もうそれでよくない?」

「よくねえよ。そもそも、そういうのじゃなくて普通に生徒会活動をするだけでいいって言われてるんだから、普通の活動をすればいいだろ」

「じゃあ例えばどんなこと?」

「え、あー……美化活動とか?」

「つまんない。0点。センス磨いて出直してきて」

「今のは俺も悪かったと思うけどその言われ方は腹立つな……!」


 これからの具体的な生徒会活動について話し合ってる二人の様子を見て、私は一安心する。


 日縁ちゃんも高原くんも縁について問題を抱えてる子だ。私の気持ち的にはお手伝いなんてしてくれなくてもいいから、すぐにでもその問題を解決してあげたいんだけど、神さまの世界は面倒くさいんだよね……対価がないと人間に何かを施してあげることもできないんだから。本当に不便だよ。


 二人とも仲良くなれるか心配だったけど、案外上手くいったみたい。よかったよかった。まあ、糸の感じ的に相性が良いのはわかってたから、そこまで心配してなかったけどね。


 甘えたでかまってちゃんの日縁ちゃんに、面倒見のいい高原くん、うんうん、こうして見ると、いいコンビだね。


 ま、それはそれとして、二人をずっと見ててもいいんだけど私もお仕事しなきゃね。二人とも頑張って~でも本当に合コンなんてやったら神さま怒っちゃうぞ~。


 楽しそうに言い合っている二人に気づかれないように、そーっと壁をすり抜けて廊下に出る。


 生徒会室がある廊下は、人気がほとんどなくて少し寂しい雰囲気。遠くから運動部の声がうっすら聞こえてくる。


 まあ、立地的に仕方ないよね。この校舎にあるのって生徒会室と各委員会の教室くらいしかないから、用がある人以外は基本的にいないし。しかも4階は倉庫と生徒会室しかないからなおさら静かで不気味だよ……神さまになってもこういう雰囲気は慣れないんだよね……うう、はやく人の多いところに行こう……。


 廊下の壁をすり抜けて、グラウンドの上空をふわふわ飛びながら人の多い本校舎や部活棟を目指す。


 わ~相変わらず絡まったコードみたいだ~。


 グラウンドを見ると部活動に励む生徒たちと、彼ら彼女たちから伸びている無数の縁の糸が絡まりあっているのが見える。まるで、整理してないテレビの裏のコードみたいな感じ。


 しかも糸の色は人によって千差万別だからものすごくカラフル。おかげで、こういう糸が集まってるところをじっと見てると、ちょっと気持ち悪くなってくるんだよね……。


 でも、あんなぐちゃぐちゃに絡まってても、勝手に糸が結ばれることは少ない。基本的に糸同士がすり抜けちゃうから。


 ただ、たまーにだけど、すり抜けなくて縁が結ばれるがこともあるのが縁結びの不思議なところ。神さまの私が言うことじゃないけど、縁って不思議。


 うーん……でも、今すぐ結べそうな縁はなさそうかな。何となくだけど見ただけでわかっちゃうのが、縁結びの神さまパワー。よ~し、次言ってみよ~。


 こんな感じで学校中を回るのが私の毎日のお仕事だ。ノルマとかはないけど、お仕事しないと神さまの力が弱くなっちゃうからね。そうしないと二人の問題も治してあげられないし、頑張らないと!


 あ、でも旧校舎の方は行かなくていいかな。あんまり人はいないし……木造でお化けとか出そうで怖いから……い、いや、ダメ、あの二人も頑張ってるんだから私も頑張らないと!



 その頃の二人。


「いやだからね? 笑いのセンスとかツボって人によって違うでしょ? それを踏まえたら笑いの面白さなんて、それを見た人によって違うのが当たり前だと思うの、だから、ね? わたしが何を言いたいかわかるでしょ?」

「言いたいことはわかるけど、何を言っても、さっきのお前がやったギャグがヤバいくらいすべった事実はなくならないぞ。ほら、その証拠に動画でもちゃんとすべってるし、あとで神さまに見せてやろう。ついでにお前のお姉ちゃんにも送ってやる」

「やめて! わたしが悪かったから! 高原くんに理不尽な感じでダメ出ししたのは悪かったと思ってるし、真面目に生徒会活動についても考えるから、お願いその動画消してぇぇぇ!」



 う~ん……色々回ってみたけど、結べそうな縁は見つからなかったなぁ……怖いの我慢して旧校舎にも行ったけど誰もいなかったし……。


 ふわふわと旧校舎から生徒会室に向かって飛びながら、ため息を一つ。


 学校中を回ってみたけど本日の収穫0。まあ、こんな日の方が多いから落ち込んだりはしないけどね。人間関係なんて、そんなすぐに変化したりしないから、普段の私にできるのは毎日の見回りと、みんなの縁が早く育つように祈るくらいだよ。


 あれ、神さまが祈るってなんだか違和感。神さまが何に祈るというのか。謎だね、うん。


 さて、時間も経ったし、そろそろどんな活動をするか決まったのかな~。灯里ちゃんの時は堅実かつ完璧な活動だったから、安定感はあったけど面白さは少なかったんだよね。


 これから二人はどんなことするんだろ? 日縁ちゃんって突飛なことばっかり言い出すから、きっと高原くんもフォローするのが大変だろうな~。


 その光景が簡単に想像できて思わず笑ってしまう。ちょっとわくわくしながら、生徒会室前の廊下にお行儀よく窓を通り抜けて着地。壁抜けも便利だけどちゃんと出入りできるところから入らないとね。


 それにしても、これだけ静かなのに生徒会室にいるだろう二人の声はまったく聞こえない不思議。音楽科とかないはずなのに、無駄に防音工事でもしてあるのかな? 壁をすり抜けるときとか、たまに材質とか見たりするけど、よくわからないんだよね~……って、あれま、珍しい。


 廊下の先、曲がり角の向こうから一本の縁の糸がこちらに向かって伸びているのが見えた。しかも、中々お目にかかれない純度の高い糸。糸の持ち主が、それだけ好きだって想いを持っているのが一目でわかった。


 うん、こんな強くて綺麗な恋心そのままにはしておけないね、誰の糸なのかチェックしておかないと。


 急ぎ足で糸をたどって廊下の突き当りを曲がろうとした直前、ひょっこりと一人の女の子が顔を出した。急に飛び出してきたので、ぶつかりそうになってとっさに飛びのいてしまう。


 まあ、ぶつかっても私に触れることはないんだけどね。私のことを認識できてない人に、私は触れられないから。見えないものは存在しないものと同じ。それが私みたいな不思議な存在と人間との間にあるルールの一つ。


 そんなことは置いておいて、これってもしかしなくても、もしかするよね。ええ……この子の立場的には問題になりそうだけど大丈夫なのかな? ま、それはそれとして、お嬢さん、ちょっとごめんね~。


 隠れるように、壁から顔を半分出して廊下の突き当り、生徒会室のほうをじっと見ている彼女の糸に触れる。縁結びの神さまの力の一つで、糸に触れると持ち主が誰に恋をしてるのかがわかるんだよね。これがあれば相手を間違って結ぶ危険も回避できるってわけ。神さまって便利。


 そっと、気をつけながら優しく、手触りのいい深い海のような青色の糸に触れて、彼女の恋を理解する。


 う~ん……なるほどなるほど……これはもしかすると、この先、面白い展開になるかもね~。縁結びの神さま的にはとてもとても、と~っても悩ましいことだけど……。


 糸から手を放して、先のことを考えていると、生徒会室の扉をじーっと見ていた彼女は、結局何をすることもなく、ため息をつくとしょんぼりと肩を落として階段を下りていった。


 流石は今をときめく人気アイドル、こんなこと言ったら悪いかもだけれど、落ち込んでる姿も様になってるね。

 いやでも本当にどうしようかな~……相手が高原くんじゃなかったら簡単だったんだけどな~……。


 生徒会室に向かってゆっくり歩きながら、さっきの強い恋心を秘めた青い糸の持ち主、彼女のことを考えて色々なことが心配になる私だった。 

 

 ちなみに、生徒会室に戻ると活動については何も決まってなかった。今まで何してたのか聞いてみると、高原くんが動画を見せてくれた。日縁ちゃんはそんな高原くんを怒ってポカポカ叩いていた。


 うん、色々言いたいことはあるけど、仲が良さそうで何よりだよ。でももうちょっと真面目にやろうね。まったくもう、二人とも今度集まる時までに各自考えておくこと! 約束だからね! 


 あと日縁ちゃん、この動画で日縁ちゃんがやってることって何が面白いの? 

 そんな純粋な疑問をぶつけてみると、高原くんは大爆笑。日縁ちゃんは涙目になりながら、よりいっそう腕を振り回して高原くんをポカポカと叩き始めた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

よろしければ、ご感想や評価などをいただけると嬉しいです。

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