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婚約少女と、恋人未満のクラスメイト? 好意対決の末、誰を選ぶ?  作者: 不知火 カエン-赤色
第二章 戦いの火蓋
10/10

10_葵との放課後

 

 学校を後にした双月緋色は街中の本屋に来ていた。

 寄り道して帰るのも、たまにはいいだろう。

 そして、緋色、葵、疾風は店内に入り、漫画が置かれているコーナーへと向かっていく。

 この本屋は比較的小さいものの、本揃えが良いこともあり、中学生の頃から通っている場所である。


 大半の本屋が営業を終了する中、ここだけは以前と変わらずに続いていた。

 今の時代、ネットとかで注文している人が多く、経営していくだけでも大変だろう。

 でも、ネットで見るよりも、実際に手に取って見たい。という考えを緋色は持っていて、気になった本があれば、この本屋で、立ち読みするのだ。

 気に入れば、そのまま購入するという流れになる。


「へえ、こんなにも本があるんだね。緋色の家にあった本の量と違うね」

 葵は珍し気に、辺りを見渡しながら、本のカバーデザインなどを見ていた。

「ひーろー、それで、あれはどこにあるの?」

「あの本のことか。多分、こっちだったと思うけど」

 緋色は案内してあげる。


「ここだよ」

 そこには多くの漫画が置かれているのだ。

 葵は漫画の近くに行くなり、そこに置かれている漫画を手に取って、表紙や裏表紙を交互に見ていた。


「ひーろーが持っていない漫画なのかな?」

 葵は、いろいろな漫画に興味を持っているようだ。

「それと、これがひーろーの家にあった、日常系の漫画だよね?」

 表紙のタイトルが同じで、手に取るなり、ページをめくって、中身を確認していた。


「でも、この表紙なんか違う。見たことないよ」

「え?」

 緋色は、少女が持っていた漫画を見せてもらう。

「ああ、これは新刊だな」

「新刊?」

「新しく発売されたってこと」

「へえ。じゃあ、それを見たい」

「でもな、どのみち購入する予定だったし。これ、購入すれば、自宅でも読めるけど? どうする?」

「んん、じゃあ、自宅でいいかな」

 葵は悩みつつも、自身の意見を告げる。


「じゃあ、購入するからさ」

 緋色は、レジカンターに向かおうとしたが、葵が一向に動こうとしなかった。

「どうしたんだ?」

「もう少し他のも見てもいい?」

 葵は、まだ別の漫画にも興味があるらしい。


「なあ、今日は葵ちゃんが好きになれる漫画を探してやろうぜ」

「まあ、いいけど」

 緋色はスマホの画面を見て、時間を確認する。

 まだ、時間には余裕があり、葵と一緒に漫画を探そうと思ったのだ。


「それで、どんな漫画がいいんだ?」

「私は、どんな漫画あるのか、よくわからないし。ひーろー、教えてよ」

「なら、別の漫画コーナーにもいってさ。見せてあげれば?」

 疾風が緋色を見ながら言う。

「しょうがない。じゃあ、こっちにおいで」

「うん」

 緋色と葵は、一緒に行動する。

 疾風は別のコーナーに行くと言って、別行動をすることになったのだ。


「それで、どんな感じの漫画がいいの?」

「んん、じゃあ、日常系の」

「日常系って言っても、いろいろあるし」

 緋色は悩む。


「じゃあ、いろいろな漫画が掲載されている雑誌を見せるか」

 緋色は、週刊系の雑誌が置かれているコーナーを訪れる。

「これでいいか?」

「うん。でも、さっきとなんか違うね」

「そうだな。さっきの単行本と言って、連載されていたものが、まとめられたものなんだ」

「それで、これは?」

「毎週連載されている多くの漫画で構成されているんだよ」

「へえ、違うんだね」

 葵はその雑誌を手に取り、ページをめくりながら、まじまじと見ている。


「……」

 葵は無言のまま、何も話さなくなった。

「どうした?」

「なんか、戦っている感じなのかな?」

「そうだけど」

 葵は女の子であり、あまりバトル系は好きじゃないのだろうか?

 一応、彼女の様子を伺い、その後の方向性を考えることにした。


「どうかな?」

「私はやっぱり、日常系の方がいい」

 葵は緋色の方を見つめていた。

「でもさ、日常系って言ってもいろいろあるし、具体的には?」

「男女同士が関わっていて、人が出るような、そんな感じ」

「人が出るって……じゃあ、恋愛系なのかな?」

 緋色は考え込み。

 あの作品を見せてあげようと思った。


「じゃあ、こっちにおいで、葵が気に入る作品があるかもしれないし」

 緋色は葵を連れて、その場所へと向かう。

「これにしようかな? でも、こっちの漫画の方が……」

 緋色は、葵に見せようとしていた漫画を手に取り、複数の作品を見比べつつ、考え込んでいた。


「じゃあ、これにしようか。ねえ、葵? あれ?」

 周辺を見渡すが、先ほどいた少女の姿がない。

「どこに行ったんだ?」

 緋色は、店内を見て回り、葵を探す。


「なあ、これなんてどうだ?」

「これ? ……いいと思う。これを買いたい」

 そんな中、別のところから葵と疾風の会話が聞こえた。

 そこにいたのかと思い、二人の元へと近寄っていく。


「葵、ここにいたのか」

「うん」

 少女は振り向く。

「疾風、葵ちゃんが読みたい漫画が見つかったんだが。これでいいだろ? 葵ちゃん、男女が出る作品がいいって言っていたしさ」

「え? どんな作品?」

 緋色が問う。


「これだよ」

 葵はテンションを上げ、その漫画の表紙を見せてくる。

「って、それ、あっち系の作品じゃんか。疾風、何見せてんだよ」

「まあ、いいじゃんか。葵ちゃんもそういったことに興味あるだろうし」

「だからって」

 緋色はげんなりしてしまう。


「まあ、さっさと購入しようぜ」

「勝手に話を進めるなよ、疾風……」

 緋色はドッと疲れてしまった。

「私はこれでいいし。緋色の部屋にも、こんな漫画あったじゃん」

「え? そ、それは、ここでいうな」

「え? もしかして恥ずかしいの?」

「そういう感じじゃなくて。ああ、じゃあ、それも購入するからさ」

 緋色はレジカウンターの方へと向かう。

 葵が隣にやってくる。


「ひーろーにも後で見せてあげるからさ」

「こ、こんなところで、そんな話をしないでくれ」

 緋色はそのまま恥じらいを見せる。

「なんか、可愛いね、ひーろー」

「う、うるさい」

 緋色は、葵を見てしまうと変なことを想像してしまい、咄嗟に視線をそらした。

 レジで会計を済ませると、本屋を後にする。


「なあ、少しどっかによっていかないか?」

「今から?」

「ああ、俺さ、もう少し葵ちゃんのことも知りたいしさ」

 疾風は別の店に行く気満々だった。


「葵はどうする?」

「私も行きたい」

「葵ちゃんもそう言ってるし、行こうぜ」

 三人で別の店屋に向かうことになったのだ。

 緋色は葵に手を引っ張られ、街中を移動するのだった。


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