第2話 異世界召喚されてから、充実生活中です
牢屋スタート・・・
いきなりの牢屋スタート・・・
でも、牢屋にご飯を運んでくれる騎士の皆さんはとても親切だ。
ご飯は普通においしいし、
格好付け全身鎧を脱いだ騎士の皆さんは、
皆異世界特有のそれでいいの的な部分鎧に、騎士隊服を身に纏っている。
そして、俺と一緒に召喚された
召喚者たちの愚痴を聞かせてくれるのだ。
彼らはまだ言葉が通じないが、
俺は完全に彼らと意思疎通できるからね。
「それでさぁ~、聞いてよ、ウイく~ん。
あの黒髪ぱっつん女勇者?めっちゃわがままなんだよ~~~
飯にケチつけてんのか、何なのか、
せっかく用意したご飯を床に叩きつけてさぁ~」
と、今日の見張りの騎士さん。
「あぁ・・・彼女は深窓のご令嬢なんだよ。
深窓のご令嬢ならそんなはしたない真似しちゃダメなんだけどね?
やっぱり自分が深窓の令嬢で、
女勇者だという点を鼻にかけてるんじゃないかな?」
「えぇ~っ!?マジで!?
んもう、俺やだよ~あの子・・・何か嫌!!」
「あ~、マジわかるわ~~~っ。
俺、孤児ってだけで、汚い扱いされたもん~」
そう、俺は孤児だった。
施設育ちなのだ。
だからなんじゃいって感じなんだけど、
お高い高貴なハイ金持ち(※両親が)な彼女には、
合わなかったらしい。
「マジで?俺も施設育ち~。
やべ、マブダチになれそ~~~」
「わぁ、嬉し~~~」
騎士さんたちとも、この頃すっかり仲良しな・・・
・・・牢屋送りになった召喚者・俺である。
―――
そんなある日のことである。
牢屋番の騎士さんたちのご厚意で、
ふかふか布団、読み書き練習用の本、観察日記帳、
お菓子、魔動ランニングマシンを導入してもらい、
牢屋生活を満喫していた俺の元に、
1人の青年騎士が訪れた。
牢屋番の騎士さんたちの
部分鎧や騎士隊服とは明らかに違う・・・
ダークブラウンと薄紫のラインの立襟に
右に打ち合わせのある紫の服は、太ももまで着丈があり、
それをダークブラウンのベルトで締めている。
因みに、袖の折り返しも立襟と同じツーラインのデザインだ。
そして、左腕には、上下に金色のラインが入り、
こちらの世界で「1」を示す金色の文字に
角のようなものが両側から生えたデザインの白地の腕章をつけている。
肩には、よく上官などがつけてそうなぴらぴら(※エポレット)がついており、
後ろには濃い紫のマントをつけている。
他にも、胸元に勲章などをつけており、位の高そうな雰囲気を醸し出している。
ついでに、打ち合わせを止めるボタンは角のようなデザインだ。
足元はダークブラウンのブーツで、
上部にはベージュ色で
民族調の模様がアクセントとしてついている。
容姿は、俺と同じような黒髪に、深い紫の瞳を持つ美青年である。
同じ深い紫の瞳という点においては、少し親近感がわいた。
しかし、彼の頭には、白い歪んだ2本の角が生えている。
異世界物で言えば、
大体魔族的なひとたちに生えているあれである。
彼の正体は不明だが、牢屋番の騎士さんたちが
背筋をぴーんと伸ばして敬礼している様からも、
やはり彼は位の高い騎士なのだろう。
「出なさい。君の配属先が決まった」
と言うと、
青年牢屋のカギを開けて、俺に出ろと手で示す。
「・・・」
とりあえず、配属先が謎なのだが・・・
・・・出られるらしい・・・
だけど・・・
「配属先って・・・どこですか?」
「私の部隊だ」
つまり、このひとの部下になるってことか?
「拒否したらどうなるんですか?」
念のため聞いておく。
「一日中私の小間使いとしてお姫さま抱っこで連れ歩く」
「・・・」
・・・えええぇぇぇっっ!!?
何!?その変態みたいな仕打ちはっ!!
しかも、お姫さまだっこ!?
それに、小間使いに連れ歩くって・・・
俺、このひとのおもちゃにでもされんの!?
真面目な好青年的な見た目しといて、
このひとそういう趣味の変態なの!?
「拒否しなければ、そのような処遇にはならないと?」
「あぁ、そうだ」
「このまま牢屋暮らしをしていたらダメなんですか?」
ぶっちゃけ快適そのもの。
俺はこの牢屋暮らしを謳歌していた。
だから、ここから出よと言うのならば、
それ以上のものが欲しくなると言うのが人間であろう。
(※ウイの個人的な所見です)
「その場合、私の私室に牢屋を併設し、
そこで一日中ペットとして飼うことになろう」
いや・・・だから、
何で他人をペット扱いしたいの!?
やっぱり変態なの!?このひと!!
「この牢屋じゃダメなんですか?」
俺はこの牢屋で全く以っていいのだが。
「牢屋の指定権は、こちらにある」
そ・・・そりゃ・・・そうですよね。
この牢屋も、この国のひとが決めたんですもんね。
「さて、お姫さまだっこで連れ歩きと、
私の私室の牢屋行き、どちらか選びたまえ」
「いやいやいや、いつの間にか、普通の出獄が消えてますけど!?
あなたのペット行きしか選択肢無くなっていますけど!!?」
「では、私の部隊に入るか?」
「・・・はい、ペット行きじゃないんなら・・・入ります」
それ以外に・・・
・・・まともな選択肢がない。