第12話 にゃんことわふたんを拾って来ました
『あ~ぁ~、いだいな~る~、えいち~のし~る~べ~♪
ゆ~け~、どこまで~も~、おとも~しま~しょ~う♪
お~ぉ~、あらしで~も~、ふぶき~のな~か~も~♪』
そうしていつもの一日の任務が終わる。
―――寄宿舎
「だったいまぁ~、ふにゃ~」
「ウイ、お帰りにゃぁ~」
ふにゃが、いつも通りもふっとお出迎えしてくる。
わ~い、愛犬や愛猫が、
お帰り~ってお出迎えしてくれるみたい~~~
『おかえり~』
「うん、ただいま~」
俺は、テーブルの前にちょこんと座る、
3~4歳の、猫耳しっぽの女の子と、
狼耳しっぽの男の子に声をかけた。
「今からご飯にするからな~」
「わ~いにゃぁ~!」
『わ~い』
「おなかすいていただろう?すぐ作るからな~」
「ふにゃぁっ!」
『うんっ!!』
「・・・」
魔道冷蔵庫から食材を取り出し、
お鍋を出して・・・って・・・
「・・・あの、あの子たち・・・誰?」
俺はふと顔を上げて、
ふにゃを見る。
「・・・ひろたにゃぁ」
「拾った?」
「あの子たち、親、いないにゃぁ・・・?
ふたりっきり、ごはんもないにゃぁ・・・?
ふにゃたち、家族になるにゃぁっ!!」
「・・・」
え・・・え~と・・・ちびっ子たちって、
そんな簡単に連れてきていいもんなんだろうか。
警察とかに怒られたりしないだろうか。
いや、この世界で言えば、警察じゃなくって騎士だけれど。
しかし、親がいないとは・・・
「今まではどこに住んでいたんだ?」
『みかんばこ』
2人が答える。
「んみ・・・っ」
ミカン箱!?
ミカン箱ってこの世界にもあったの!?
と言うか、ミカン箱!!
「・・・皆で、お夕飯にしよう」
まずは、それからだ。
『わ~いっ!!』
一通り夕食を終えた後は、
薄汚れたちびっ子たちをお風呂できれいにしてあげる。
キレイにしてみると、女の子の方は、
真っ白でふわふわな毛並みだった。
名前は“もゆちゃん”。ふにゃがつけたらしい。
男の子の方は、
俺とおそろいの見事な漆黒の毛並みになった。
名前は“ふうくん”。こちらもふにゃ命名。
かわいらしい名前をもらったようで。
そして皆でゆったり温泉である。
はぁ~~~っ、生き返る~~~っ!!!
「そう言えば・・・服はどうしようかなぁ・・・」
色々と、お兄さまが用意してくれた私服もあるのだが。
―――
ちょっとぶかぶかだが、
俺の大きめのセーターを着せてあげた。
袖とか・・・長ぇな。
「明日、休日だし・・・買いに行くか」
「お買い物にゃぁ!」
『おかいもの?』
「もゆちゃんとふうくんのお洋服を買いに行くんだよ。
もともと着ていたものは、もう古くて着られないからね」
「あたらちぃおようふく?」
「そうそう」
うわ・・・かっわえぇ・・・
まぁ、この子たちの処遇については・・・
寄宿舎の頼りになる先輩騎士さんたちに聞いておくとして・・・
今日は取り敢えず・・・寝るか。
ベッドは、ふにゃと俺が2人で寝ても余るくらい
大きめなものなので、
ちびっ子2人が増えたくらいでは、何てことない。
そして、寝顔のあどけなくてかわいらしいこと。
・・・俺、親バカになりそう。