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【完結】ふにゃふにゃとお帰り  作者: 夕凪 瓊紗.com
第3章 異世界観察日記編
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第11話 女勇者を観察しました



「続いての観察対象は、女勇者だ」

アンリ姫姉さんの観察を終え、

続いての観察対象を確実に仕留められる位置に

身を潜めた俺、モモちゃん、ジャンさん。

一応今のところ、仕留める予定はないので安心してほしい。


「はぁ・・・スズランさんかぁ・・・俺、興味ないなぁ・・・」

女勇者こと、本名・珠々すずらんさん。

彼女は大金持ちのご令嬢で、自らのぱっつり切りそろえた艶髪に、

絶対的な自信を持つお花畑のお嬢様である。

そして、勇者には似合わない、真っ赤な上質なドレスで着飾っている。


因みに、勇者Aに惚れている。

ナンパ好きの勇者Aが生み出した、一種の被害者と言っていいのだが、

俺自身、彼女の罵倒の被害者なので、そこら辺はどうでもいい。


てか、苦手。あのひと。


「そうなのか?私にとっては仇敵も同じ」


「え・・・なに?モモちゃん。ひょっとして女の闘い的な?」


「いや・・・お兄さまの敵」


「お兄さま応援ソングを侮辱した、我らの敵・・・忘れはしない」

と、ジャンさんが何か暗具のようなものを取り出す。

いやいや、やめなさい。


確実に仕留められる位置にいるからって。

そこまでのざまぁは俺、望んでないし。


と言うか、勇者Aと女勇者は、俺をけなしたつもりで、

うっかり狂人集団・お兄さま親衛隊を敵に回したのだ。

そして、俺もそのお兄さま親衛隊の中に、

すっかりぴったり収納されてしまった。


彼女は、騎士さんたちに押さえつけられながら、足掻いていた。

いや、何してんの?あのひと。


ぎゃぁぎゃぁ言っている、

彼女のセリフをお聞きしていただきましょう。

さぁ、どうぞ。


「ちょっと!私のこの美しい髪が、ぱさっぱさじゃない!!

この間、頼んだシャンプーとコンディショナー!

最高級品を頂戴って言ったじゃない!

何で安物なのよ!しかも、トリートメントがないじゃないっ!

私の髪がどうなってもいいって言うの!?

いい!?私の家は、お金も権力もあるのよ!

パパに言いつければ、あんたたちなんて!!」


以上である。


そして、目の前で困惑している文官さんの言い分である。


「確かに、国王陛下から勇者様方を厚遇しなさいと

めいを受けておりますが・・・

さすがに浪費がかさんでおります。

これ以上は、あなたさまにおろす予算がございません。

汎用品で、ご勘弁ください」


そして、その言葉に、“何ですってぇっ!?私は勇者よ!?”

と、女勇者は怒鳴っている。

どう見ても舞踏会用のドレスですけど。


「あぁいう女・・・私、無理・・・」

と、モモちゃん。

ちょっと目つきが恐いよ。


「お兄さまへの謝罪がない!」


「まぁ、謝罪するシーンじゃないからね。

それはしょうがないんじゃないの?」


「因みに俺は、現在殺気を放っているが、全く謝罪がない」

と、ジャンさん。


「まぁ・・・レベル不足じゃない?

因みに、ジャンさんはレベルなんぼくらいなの?」


「俺か?俺はレベル515だ」

まじかよ。めっちゃ規格外でした。

すごいレベルでした。

勇者A、瞬殺だね。


「モモちゃんは?」


「私はレベル120」


「へぇ・・・皆すごいね。

この世界では、レベル100越えって、普通なの?」


「お兄さま親衛隊では、普通だ」

じゃぁ、一般では普通じゃないのか。

というか、何故お兄さま親衛隊では普通なんだ。

意味がわからん。


「でもさ、モモちゃんの髪もさらさらだよね。

アンリ姫姉さんの髪みたい」


「え・・・そう?それは嬉しい」

やっぱり、モモちゃんはアンリ姫姉さんが憧れなんだなぁ。


「さて、そろそろ、お兄さま応援ソングの時間だ」


「あぁ、そういえば」

さて、そろそろ夕方のお兄さま応援ソングの時間だ。

城門前に集合しなくては。

俺たちは、観察日記にひとまず区切りをつけて、

城門前に向かい、いつものように歌って踊るのだ。


『あ~ぁ~、いだいな~る~、えいち~のし~る~べ~♪』



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― 新着の感想 ―
[一言] 朝と夕方に歌うんだねぇ〜。
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