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緊急放送の十年後?

 とある出来事が切っ掛けとなり、それから十年ほどで仕事という概念が無くなった世界の話し。


 一部の人間達に搾取され続けていたお金が世界中の人に分配され、全ての人間に毎月、日本円でおよそ約十万円が支給されている世界。


 政治家や公務員が消え、企業という体系、税金、医療費も掛からなくなったため、月十万円もらえれば生活には困らない。


 十年前の古い時代の人間が聞いたら、それでは社会が成り立たないと嘆いたか、一笑に伏したことだろう。


 だが世の中はちゃんと回っており、むしろ今の方がずっと上手くいっているくらいだ。


 まず医療費だが、メドベッドで全ての病気を克服出来るようになったため、医者も薬も不要となる。


 使用料もタダ。なにせ消費するのは電力のみで、今ではクリーンな永久発電が可能になっているからだ。


 このような技術が百年近く隠蔽され、私達に原始的な治療を受けさせ、エネルギー利権のために星を傷付け、わざと人々が死ぬようにコントロールしてきた野蛮人共が居たと言うのだから驚きだ。


 彼等は恐ろしい程に、一部の人間が多くの人々から搾取する支配構造に執着し、亡者のごとくしがみ付いて私達を様々な方面から苦しめ、悪感情を利用してコントロールしてきたのだ。


 話しが逸れたので戻そう。


 仕事はこの世界から無くなったと言ったが、完全に無くなったわけではない。


 仕事という概念が変わり、趣味のような物になったと言うべきだろう。


 多くの人々がこれまでお金を得る手段だった仕事だが、そのほとんどはこの十年で機械による自動化が進められた。


 だが、農家などを営む人が居なくなったわけではない。


 作物を育てるのが好きな人は新たな品種を生み出したりすることに(いそ)しみ、新たなお菓子、飲料、服、家電、家具などを作りたい人達は気ままに創作に励む。


 もし売りたくなれば、自分で価格を設定し誰かに売ることも可能だ。


 極端な話しだが、百円で売ることも出来れば百万円で売ることも出来る。


 まあ、今の時代百万円なんて豪邸を建てるときくらいにしか早々使わないが。


 無論、それなりに贅沢をしようと思えばお金は掛かるが、企業が無くなった今の時代、私達は個人か、趣味を同じくする者達が集まって作った物を誰かに提供するということになる。


 つまり、売れなければ、商売にならなければ生活出来ないと言うことは無いのだ。


 今月分を早々に使い切って、カツカツという人間はたまに見掛けるが。


 それと、学校という概念も消滅したと言える。


 文字や数字の読み書きなど、最低限生活する上での義務教育はあるが、得たい知識があるなら独学で学んだり、教えるのが好きな人、そういう特定の分野の情報を趣味で発信している人から学ぶのが主流だ。


 大事なのは、自分の意欲と主体性である。


 作品を書きたいから、料理人になりたいわけじゃないけれど料理を学んだり、武術について調べたり……なんて人も居るな。


 ちなみに、これらの勉学にお金は基本的に掛からないし、好きなときに好きなだけ勉強して良い。


 お金が無くて、時間が無くて勉強が出来ないなんて事にはならない。


 なにかを作りたい場合元手が必要になることもあるだろうが、毎月支給される十万があれば大抵の物はすぐに買えるようになるだろう。


 ちなみに、食料品はあらかじめ注文しておかないと食べる物が無い! なんてことになりかねない。


 趣味で移動販売や飲食店をやる人達も居るが、自分で作る場合は遅くとも三日前に注文を済ませなければならない。


 物によってはもっと時間が掛かるが、大量生産大量廃棄を無くすため、注文後に全自動化された機械が世界中で食品の作製を始め、材料が注文者の住む国に集められてもっとも近い製作所に運ばれて加工、自宅まで届けられるのだ。


 ちなみに、一人の時間や趣味、発展性のある事を大切にすることが推奨されているため、独り暮らしが多く出生率は下がっている。


 メドベッドの存在や健康に悪い物を食す必要が無くなった現代では、人類の平均寿命は軽く百を超えており、数十年後には二百越えが当たり前になるのではないかと言われているため、人口は暫くは増え続けるだろう。


 それ程に、十年前までの世界は酷かった。


 肉や魚を食べることを推奨し、我々の身体を腐りやすく、免疫能力を狂わせる物、仕事や人間関係によるストレスを過度に与えるように仕向けられていたのである。


 ちなみに、それらの悪事にもっとも荷担していたと言って良いテレビ局などのマスコミは消え、今ではYouTuberなどの個人チャンネルがその立ち位置に代わっていた。


 お金に関係なく好きでやっている人達しか居ないので、悪意や利権で情報を捻じ曲げるような真似をする者も居ない。


 どこまでも、自分を発展させるために生きて良い時代なのである。


 まあ、自動化出来ない部分もあるから、そこは有志を募ってのボランティアという形になる。


 その有志を募る人も集まる人も好きでやっている事なので、国会議員のような立ち位置ではあるが、大してお金が貰えたりするわけではない。


 だから、不正をしてお金を儲けようなどという輩はやりたがらない。


 そういう輩の筆頭達は十年前に粛清、もしくは投獄されて終身刑を待つ身だし。


 狡い悪辣な人間が完全に消えたわけではないけれど、今の時代はそういう輩が成長できない社会が構築されていっているため、いずれ犯罪も無くなるとされている。


 最近は共感能力、特に若い世代ではテレパシーによる会話、意思疎通できる人が増えてきているため、いずれは言語という概念すら不要になると言われていた。


 私達人類の成長はまだまだこれからだが、より良い未来へと向かって進んで行くのは確かなはずだ。


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