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北風/雪に喜ぶ犬の末路
北風
鈴 初夏ノ影
冬を孕む鋭利な風
私の肺を突き刺した
薄い酸素の塊が
私の肺を突き刺した
それは北からやって来た
風上にいるあの人から
あの人が風を呼んだのだ
そして肺を突き刺した
雪に喜ぶ犬の末路
鈴 初夏ノ影
雪がこんこん降っている
駆け回るのは疲れたんだ
雪喜ぶのやめたから
犬も家に入れてくれ
犬も家に入れてくれ
雪がこんこん降っている
試しにきゅうと鳴いてみた
炬燵に蜜柑でぬくぬくの
壁一枚先届かない
雪は溶けて骨に届く
雪は溶けて骨に届く