陰の呟き

ラムネ瓶/悪意

ラムネ瓶

　　　　　　鈴　初夏ノ影

古風な透明の形象　心地良い冷たさ

あの日は夏祭りだけの楽しみ

今では簡単に叶うただの物

仄かな甘味　軽く暴れる二酸化炭素

あの日は強烈な刺激と新発見

今では少し懐かしいだけのただの弱炭酸

空を見上げてもう一口　光に瞳を細める

あの日は狭くても偉大な宙

今では太陽がただ鬱陶しい

夢を抱かせた　甘い弱炭酸

あの日はラムネ瓶を持って空を憧れた

今ではラムネ瓶に閉じこもる

いつまでもおぼれている

悪意

　　　　　　鈴　初夏ノ影

闇色セーラー　身に纏(まと)い

何の意義なく　泪(なみだ)流せ

諸刃の武器　心に掲げよ

さあ少女

それで己も皆も巻き込んで

誰も彼も解らぬまま

傷付け刻め　残らぬよう

その心の荒む随(まにま)に

無意識な悪意のままに随(まにま)に