第4話 勇者2
ソウタは勇者ユウキに木剣で額を割られて気絶した。
ナナミの泣き声を聞いて、駆け付けたソウタの母親がソウタを抱き抱え、ベッドに連れて行くと、低ランクの回復薬をソウタの額に振り掛けると、錬金術師のおばばを呼びに行く。
錬金術師のおばばの処置で、ソウタは一命を取り留めたが、気絶したままだった。
ナナミから詳しい話を聞き、ソウタの母親は怒り心頭で隣の家に行き、ユウキの両親に怒鳴りまくった。
ユウキの両親は事情を聞いて、終始平身低頭でソウタの母親に謝ると、ユウキをこっぴどく叱りつけた。
ソウタは自分の部屋のベッドで横になっていた。
ソウタは目を覚ますと、うつらうつらとしながら、ぼんやりと考える。
(そうか、ユウキに木刀で額を叩かれて、気絶したんだ。咄嗟にナナミを庇ったんだったな。ユウキは幼児の癖になんて力だ……、勇者は侮れないなぁ)
ソウタはまだちょっと頭が重い感じで、思考が纏まらないが、何か重要な事があった気がして思い出そうとしていた。
(確かユウキがNPCと言っていた。と言う事は……、ユウキも異世界転生者なんだ! これは、気を付けなければならないな。ユウキの性格は見た感じ最悪だった。俺は全く戦闘力がないので、俺が異世界転生者って、バレたら何させられるか分からない。)
ガタガタ…。
その時、物音がしたので、ソウタは音がした方向に顔を向けた。
そこにユウキがいた!
しかも、ソウタのタンスや机の引き出しを、勝手に開けて物色していた。
「ちっ、大した物はねえなぁ」
ぶつぶつ言いながらソウタのお小遣いをポケットに入れるユウキ。
「金もこれっぽっちかぁ。しけてやがる。」
「な、何やってるんだぁ!」
思わず大声を出したソウタ。
「ん? ソウタ起きてたのか? アイテムやゴールドをゲットしてるんだよ」
(何言ってんだこいつ?)って顔でソウタを見るユウキ。
「俺のお小遣いを……。今ポケットに入れたのを見たよ」
「ああ、そうだよ。タンスの中にあるアイテムやゴールドは貰っていいんだよ。『お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの』って言葉を知ってるか?」
(お前はジャイ◯ンかぁ!)
思わず大声でツッコミそうになったが、グッと堪えるソウタ。
(あぶねぇ、あぶねぇ、『ジャイ◯ンかぁ!』なんてツッコんだら転生者ってバレちゃうよ。しかしどうしたものか……。こいつを押さえ付ける様な実力はないし……)
「ドロボーおおおおおお!」
大声を出す事にしたソウタ。
「な、何だよ。いきなり? 何処に泥棒がいるんだ?」
周りを見回すユウキ。
ユウキを指差すソウタ。
「お、オレ?」
自分を指差すユウキ。
頷くソウタ。
「ちょっと待てぇ! タンスの引き出しとか、クローゼットの扉の中にあるアイテムは、ゲットしても問題ないんだぞ……。こんなイベントあったかなぁ?」
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