少女に餌付けしたらなつかれた?
文才は絶望的です。
頭を空っぽにして読んでください。
午後6時、きれいな夕焼けを見ながら明日も晴れそうだと、のんきな事を考えながら歩いていると、周りの家から晩御飯だろう、鼻孔をくすぐるいいにおいが漂ってきて、おなかが鳴ってしまう。
「今日の晩飯何にするかな・・・」
今年の4月から大学生になった竹内裕一は、一人暮らしを始め、少しでも遊ぶ金を増やそうと始めた自炊にはまってしまい、今では毎食欠かさず料理を作っている。。
「唐揚げ、カレー、親子丼・・・肉じゃがに挑戦してみるか?材料あったかな?」
冷蔵庫の中の食材を考えながら、自宅であるぼろいアパートの階段を上がっていくと、扉の前に誰かが座っているのが見えた。
(お隣さんの子かな?)
10歳くらいだろうか、ランドセルを抱きしめ、ぼうっと空を眺めている女の子を見てそう考えたが、彼女が座っているのは自分の家の前の扉だった。
(間違えたのか?それともカギをなくしたとか?)
「こんばんは、そこ俺の家の前なんだけど・・・なにかあったの?」
子供と話す機会がほとんどなかったため、どう話しかければいいのか分からず、恐る恐る声をかけるが、少女は空を見上げたままピクリとも動かない。
「え?おーい!聞こえてる?」
裕一は、少女の前まで行き手を振りながら呼びかけると、ようやくこちらに気づいたのか視線をこちらに合わせた。
ぐ~
ただし、返事は言葉ではなくお腹の鳴る音だった。
「おなかがすきました」
少女は無表情だが、訴えかけるような声でつぶやいた。
裕一は困惑し、あたりを見回したが、ここには自分と少女しかいない、さすがにこの年の女の子がお腹をすかしているのを無視するのは気が引ける。
「何かとってきてあげるかちょっと退いてくれない?」
すると少女は、目を輝かせながら右へ素早く移動した。
その行動に苦笑いを浮かべながら家へ入り、冷蔵庫を開く。しかし、冷蔵庫は見事に空っぽだった。
「そういえば昨日鍋にして使い切ったんだった。買い出し行くの忘れてた・・・」
裕一は途方に暮れたが、扉の先にはおなかをすかせた少女がいる。何か探さなければと、あたりを見回すと、炊飯器のメロディーが聞こえてきた。炊飯器を開けるとそこには白く輝くごはんの姿が・・・
「これならいけるな」
そうと決まれば、急がなくては・・・塩とボウルに水、しゃもじを水に濡らしておき、準備完了。
手に水を適量つけ、片方の手に塩を振る、しゃもじでご飯をすくって手において・・・
「あづっ‼・・・やけどしたかも・・・」
急ぎすぎて熱々のご飯を冷まさずに手に置いてしまった。
しかし、この熱さを乗り切った先に至高のおむすびが・・・
意を決しもう一度手に熱々のご飯を乗せる
「あづっ!・・・あづい・・・あづっ!・・・」
熱さに四苦八苦しながらなんとかおむすびを完成させ、皿に乗せて玄関を出る。
「おまたせ・・・こんなものしかなくてごめんね?あとこれ炊き立てだから・・・」
先ほどと同じ場所にいた少女におむすびを渡すと、熱いから気を付けるよう忠告しようとしたが、すぐにかぶりついてしまい、口をはふはふさせていた。
裕一はいわんこっちゃないとおむすびと一緒に持ってきた水を差しだすが、少女のおにぎりを食べる様子に見惚れてしまった。
少女は熱さになれてきたのだろう。ご飯を一粒一粒味わるかのように噛みしめ、見ているこっちが幸せになるくらいおいしそうに食べていた。
そのまま少女は,用意したおにぎり2つを間食した後、先ほど
の幸せそうな顔をしていたのが嘘のように無表情に戻り。
「ごちそうさまでした」
と、頭を下げて階段を下りて行った。
「・・・お隣さんじゃないんかい」
少女の姿が完全に消えた後、裕一はつぶやいた。
翌日、今日はしっかり買い物をして帰り、階段を上がると・・・少女がいた。
何故今日もいるのか、なぜ自分の家の前なのかと軽くパニックになっていると、こちらに気づいた少女が手に持った袋を差し出した。
・・・中に入っていたのは卵1パックだった。
「どうしたの?これ?」
裕一がそう尋ねると、少女のお腹が鳴った。
「おなかがすきました」
「いや、ほんとにどうしたの!?」
裕一と少女の奇妙な関係が始まった瞬間だった。
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