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Sweet Day 2 番外編



心地よい倦怠感の中、腕の中にある温もりを覗き見る。

気持ちよさそうに眠っている陽菜の髪の毛を、起こさないようにゆっくりと梳く。

こうやって陽菜の体力が限界になるまで抱き続けてしまう。

バスケをやっている俺と陽菜では体力差は歴然で・・・

気を失っている陽菜の少し癖のある柔らかい髪の毛を梳きながら陽菜を眺めるのが、夜を共にするようになってからの颯太の楽しみになっていた。


初めて過ごすクリスマス・イヴを本当は二人で楽しむつもりが、陽菜を目の前にしたら衝動が止まらなかった。

透き通るように白い陽菜の肌は熱を持つと自然と赤みを持ち始める。

どんなときでも相手の反応を見ながら官能を引き出す余裕あるセックスをしていたのに、陽菜とのセックスは勝手が違う。

自分の愛撫によって体をよがらせながら哀願する女達の様に陽菜の官能を引き出したいのに、初めての時から陽菜には余裕が持てない。

気持ちよくしようと愛撫をしているうちに自分の方が追い詰められ、いつの間にか本能のまま陽菜の体を貪ってしまう。

赤みを持っていた白い肌は幾分か赤みが引いていたが、その代わりに所々に赤い花弁―――マーキング―――が散っている。

これまで自分の痕跡を残すようなことをしたことがなかった。

いや、残したいなんて思いつきさえしなかった。

なのに、陽菜を抱いている時は自分の痕跡を残すとか考えるよりも、本能で残していた。

初めて陽菜を抱いた夜も、至る所に散っている花弁をつけた自分でさえも内心驚いていたけれど、俺以上に大きな目を丸くして驚いた後に真っ赤になっている陽菜を見て、その可愛さに腕を伸ばし抱きしめてキスをしていた。


(まさか、俺がこんなことするなんて・・・独占欲強かったんだな)


改めて知った自分の独占欲の強さ、過去の自分を振り返ってみて、どれだけ陽菜が自分にとって特別なのかを再認識してしまう。


離したくない。


ずっと一緒にいたい。


お互い学生だが、そう遠くない未来二人に想いを馳せる。


きっと、幸せにするから。


俺が、絶対に陽菜を守ってみせる・・・


だから、陽菜はそのままいつでも笑顔でいて欲しい―――


徐々に瞼が重くなっていき、もう一度しっかりと陽菜を抱え直して意識を手放した。




 ※ ※ ※




頬に柔らかい感触を感じて眠い目を薄く開けると、明るい光が差し込んできて、思わず目をつぶってしまうと、「起きた?」と耳に心地よい声が降り注ぐ。

やや影になった事を感じて、再び目を開くと俺を覗き込んでいた陽菜が笑顔で朝の挨拶をしてくる。

思わずベッドサイドにある時計を見るとすでに昼近くなっていた。


「陽菜。体大丈夫?」


気を失うまで抱いた次の日には必ず聞く恒例の質問に、顔を赤くしながら少し頬を膨らませる陽菜は俺の心をくすぐる。


「颯太君ひどいよ。後で食事するって言ったのに・・・それに、こんなに跡つけちゃって・・・」


最後の方の抗議は、恥ずかしさのあまり声が段々と小さくなって近くにいた俺でもやっと聞こえる程だった。

床に膝立ちして覗き込んでいた陽菜を、抱え上げ再びベッドの中に引き込む。


「ごめん。だけど、陽菜は俺のだって証をつけたいんだ。ダメか?」


互いの鼻がくっつく程近くまで顔を寄せたずねると、「程々でお願いします」と伏し目がちに答える陽菜に軽くキスする。


「陽菜が持ってきてくれたケーキや荷物は片付けておいたから、今度こそ食べよう」


陽菜の頭を撫でながら、昨日の夜にできなかった食事を誘うと、陽菜がパッと顔を上げた。


「そう。あのね、『これ』ありがとう」


俺に拘束されていた腕を布団から引き出すと、華奢な陽菜の手首に金のチェーンに一粒のダイヤが光っているブレスレットが揺れていた。


「でも、これって・・・すごく」


その先をキスで封じる。


「陽菜が喜んでくれたら、良いんだ。何も気にしないで、身につけてくれたら俺は嬉しい」


クリスマスに贈るプレゼントを決めるのに、何店舗も回った。

陽菜のイメージに合い、常に身につけていられる様な物を探していたら、某有名店に俺のイメージにぴったりのブレスレットを見つけた。

ゴールドといってもイエローゴールドのようなきらびやかな色ではなく、少し控えめでチェーンも細く華奢で存在を主張しないデザインになっていた。

同じようなデザインで、ダイヤがいくつも連なっているタイプはさすがに俺が買えるような代物ではなかったが、一つだけついているブレスレットもシンプルで上品なもので陽菜に似合いそうだった。


(今は、これが精一杯だけど、いつかもっとちゃんとした物を贈るよ)


俺に見せるように腕を出して礼を言う陽菜に心の中で誓う。

俺が贈ったプレゼントは、思った通り陽菜にぴったり似合っていて笑みが零れる。

そんな俺に陽菜はゴソゴソと腕から抜け出し、小さな箱を俺に差し出した。


「颯太君からのプレゼントみたいな高価な物じゃないんだけど・・・ごめんなさい」


申し訳なさそうに渡されたプレゼントは、意外と重みがあった。

包装された箱から出てきたのは香水だった。


「この香りが颯太くんのイメージ通りで・・・毎日使って貰える物が良いなって思ったの」


陽菜がくれた香水は、爽やかな香りをベースにしてほのかに甘さも含んでいた。

自分が贈ったプレゼントと俺の反応に不安なのか、上目遣いで様子を伺う陽菜に意識しなくても出てしまう笑顔を向けて礼を言う。


「ありがとう。良い香りだ」


その言葉に安心したのか陽菜は満面の笑顔を見せて、「私も、ずっと大切にするから」と言ってくれた。

陽菜からもらった香水を軽くつけた俺と、俺が贈ったブレスレットをした陽菜。

自然と二人の顔が近づいて、そっとキスをする。

ゆっくり、ゆっくりしたキスをしながら、二人を包む雰囲気は昨夜と同様の甘いものに変わっていった。




それから、どんな時も俺はずっと陽菜から贈られた香水を使い続けた。

いつでも、陽菜が俺と共にいると、感じられるために・・・




minimoneです。


クリスマスは終わってますが、前回の続きで翌朝編です。

少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。


いつも拍手&コメントどうもありがとうございます!!

まだまだ続く予定の颯太&陽菜ですが、これからも宜しくお願いします。

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