Sweet Day 番外編
お久しぶりです。
なかなか更新できない状態が続いていますが、この時期のイベントにのかって番外編を書いてみました。
といっても、順調に更新できていれば番外編なんて形式とらなくても本編で投稿できたと思うのですが・・・
最近ではすっかり忘れていた年齢制限。
今回は甘いです。
俺にとって彼女は何よりも大切で守りたい女性。
彼女が笑っていられるなら、どんなことでも耐えられることができる。
二人で作る記念日や、今まで馬鹿にしていた企業の戦略に踊らされているイベントにさえ周囲と一緒に踊らされている自分がいることに、苦笑はしてもそれすらも受け入れている自分がいる。
つきあい始めて数ヶ月たって初めて迎えるクリスマス・イヴ。
今年最後の恋人たちのビックイベント。
もちろん彼女に何か贈りたくてリサーチするけど、彼女は答えてくれない。
「一緒にいたい」
「側にいてくれたらいい」
そう言って柔らかく微笑むんだ。
彼女は俺に指輪とかこれまでの彼女たちが俺に求めてきた物を何も求めない。
現実は上手くいかないと思う。
特にあげたいと思ったこともなかった贈物を、本当に『贈りたい』『受け取って欲しい』と思う相手からは求められない。
だから彼女に何を贈ったら喜んでくれるか分からない。
だけど贈りたいんだ。
物を贈る事が重要なんじゃない事は理解してる。
それでも、いつも俺に与えてくれるばかりの彼女に俺の気持ちを形にしたいんだ。
※ ※ ※
インターフォンが部屋に響く。
それまで数字が羅列した画面にデータを打ち込んでいた手を止めるとPCの電源を落とし、玄関モニターの所まで行く。
インターフォンを押した相手には合い鍵を渡してある。
なのに、俺が家にいる時は絶対に合い鍵を使わず、必ずインターフォンを押して俺が出てくるのを待っている。
モニターに映された姿は、やっぱり合い鍵の持ち主。
両手に大荷物を抱えて、一生懸命歩いてきたのだろう、色白の肌がうっすらとピンク色に色づいて色っぽく映る。
オートロックを解除し、そのまま玄関を出てエレベーター前まで出て行くと、エレベーターが到着するのを待ち受ける。
エレベーターの扉が開いて抱えていた荷物を受け取り、彼女が降りるのを手伝う。
「こんなに大荷物なら、どうして連絡くれなかった?」
彼女から引き受けた荷物の重さに、眉間に皺が寄る。
俺が持って少し重く感じるのだから、細身の彼女にしたらきっと重かったに違いない。
こんな重い物を持って一人歩いて来たと考えると、つい連絡をくれなかった事を問いただしてしまった。
一段低い彼女は、叱られた子犬のようにションボリとしている。
彼女の性格 ― 他人に頼る前に自分で何とかしようとする不器用な性格だって事 ― からして俺に連絡できなかったことは分かる。
だけど、どうしても彼女に荷物を持たせて一人ここまで歩かせ、自分は家で彼女を待っていたことが納得いかなかった。
「ごめん。責めたつもりじゃないんだ。こんな重い荷物を持っている時は素直に連絡して」
玄関のドアを開いた状態のまま彼女を先に家の中に入れた後、後ろから抱きしめたまま思いを伝える。
突然抱きしめられて驚いたのか、小さな背中が腕の中でビクリと跳ねた。
そんな彼女を宥めるように髪の毛を優しく撫でる。
「陽菜が俺に気を遣ってくれるのは嬉しいけど、その為に陽菜が一生懸命に歩いてきたって知った俺の気持ちも考えて?」
腕の中で小さくなっていた陽菜が動こうとするのが分かって、抱きしめていた腕の力を少し緩めると、見上げてきた陽菜が「だって・・・」と納得いかないと言葉を発しようとした瞬間、桜色した唇に唇を重ねる。
陽菜の言葉を封じるためにしたキスはいつもより甘く感じ、その甘さに惹かれて何度かチュッチュッと軽いキスを繰り返しながら段々と角度と深さを増していった。
しっかりと舌を絡めながら繰り返すキスに、陽菜の頬の赤みが増す。
重ねた唇を少し離し、大きく息を吸う陽菜の唇に再度深いキスを落とす。
続けてされるキスにクタリと体を預けてきた陽菜を解放し、額を合わせあう。
「俺は、同じ道を歩くなら陽菜と二人で歩きたい。だから、変な気を遣わないで連絡して。迎えに行けたら、その分早く陽菜に会えるし、長く一緒にいられる」
「颯太くん、無理しない?」
キスでトロンとした視線で聞いてきた陽菜は息を飲む程艶めいている。
今日のことは色々計画していたけれど、そんなことは陽菜の艶めかしさにあっさりと流された。
陽菜のまぶた、目尻にキスをしながら空いている手で、初めて陽菜と一緒に過ごした夜から知り尽くしている陽菜の感じる所を優しく焦らすように撫でる。
耳を甘噛みした後で「無理な時は言う」と囁く。
「ぅん」
俺の囁きに頷いたのか、我慢していた声が漏れたのかというような曖昧な声が響く。
そのまま陽菜を抱き上げると、寝室に直行する。
静かにベッドに横たえた陽菜の目に理性という光が戻ってきたのが分かった。
上半身を起こそうとする陽菜を押し留め、顔を包むようにキスをする。
「颯太君。荷物が・・・」
「うん。後でちゃんとするから、今はこっち」
繰り返すキスの合間に陽菜が言葉にするけれど、俺の本能が今はこっちを優先しろと言っている。
「でも、せっかく一緒に食事食べようと思ったのに・・・」
なおも陽菜は弱々しい声で瞳を潤ませて訴えるけれど、俺にとっては何の効果もない。
むしろ煽っているようなものだって陽菜は分かってないんだ。
「ちゃんと食べるけど、まずは陽菜から」
再びベッドに押し倒した陽菜に俺は静かに覆い被さった。
minimoneです。
いつも拍手&励ましのコメントありがとうございます。
皆さんには本当に感謝しています。
最近は、遂行もできず更新しているので、誤字や文章におかしなところがあったら教えてください。
これからも宜しくお願いします。