第2話 出会い2 高校2年・春 side 陽菜
お詫び:
前回の茂みでの会話のやりとりで、颯太の所を翔と記載していました。
修正しましたが、修正前にお読みになった方すみませんでした。
minimone
ドキドキした心臓が落ち着くのを待ちつつ体育館に入ると、結衣たちはミーティングしていた。
それを確認しつつ自分の学校のチームの所に差し入れに行った後、
体育館の二階で両チームの応援席から離れたスタンドに座って眼下のバスケ部を見ることにした。
「先に女子の試合をしてから、男子なんだって。一緒に翔の応援してくれない?試合終わったら紹介したいし。」
結衣はミーティングが終わって、そう言いながら私の所に来た。
試合までのウォーミングアップは各自で自由にしていいらしい。
自分の学校のチームにも差し入れたレモンの蜂蜜付けを結衣のチームにも差し入れた。
※ ※ ※
試合中の結衣は本当に格好良かった。バスケのルールとか全然分からないけど、結衣のシュートフォームが綺麗だった。
一連の動作が流れる様に見えた。滞空時間っていうのが他のプレーヤーよりも長いんじゃないかと思う。
結衣の手から離れたボールが吸い込まれる様にゴールに入っていく。
どっちを応援するわけじゃなく、ただ観戦するだけだったけど楽しかった。
結衣のチームは、 後日ミーティングとかで 試合が終わったらそのまま解散だった。
ジャージに着替えた結衣と合流して男バスのウォーミングアップを見ていると、
「吉岡じゃん。試合見に来るのとかめずらしくね?ちゃんと応援しろよ」
下からクラスメートの佐藤君が声を掛けてきた。
「今日は、どっちも応援しないことにしいてるの。見るだけ。」
「何それ?意味わかねぇ。ただ、見に来たの?」
「そう。今日は、友達の学校が相手なのよ。両方応援したいから、どっちかを応援したらフェアじゃないでしょ?」
手を振りながら答えると佐藤君も笑って、変なの。といいながらチームの輪の中に戻っていった。
そんなやり取りを見ていた結衣に、なんで陽菜までスポーツマンシップ?って茶化された。
だけど、うん。私はどんな時もフェアがいい。
いつも誰にも負い目なく接したい。その為にも、相手にはいつでもフェアでいたい。
自分の勝手なモットーに一人頷いていたら、結衣に洋服の袖を引っ張られた。
「コートのセンターにいる背番号10番。あれが彼氏の翔だよ。」
結衣に言われてコートに目をやったら、その横に背番号8のユニフォームを着た人がいた。
あの感じは、多分茂みで見かけた男の子に似ていた。
多分、そうだと思う。
(なるほどあれが噂の背番号8番なんだぁ)
結衣の彼氏、翔君と楽しそうに話しながらストレッチしてる姿を眺めながら、
さっきの女バスの友達が騒いでた噂の人物の話を思いだした。
常陽高校バスケ部背番号8番。
彼は有名らしい。バスケは大学推薦がきている位上手いらしく、かなりのイケメン。目はくっきり二重で鼻梁も日本人にしては珍しく通っている。
長過ぎない程度にのばした髪を綺麗にセットして清潔感がある。
甘くみえるルックスに爽やかな雰囲気で、誰にでも好感を与えそうな感じだった。
(まぁ、こんな見た目でスポーツも出来ればモテるよね・・・でもなぁ〜私だったら付き合いたくないかも。)
なんて彼を観察しながら、噂の続きを思い出していた。
背番号8番は、当然人を惹き付ける魅力があるためモテる・・・らしい。
そして、女遊びが激しい。
彼女がいても、平気で他の子とも関係をもつし、「来るもの拒まず去る者追わず」といった遊び人の典型の様な人で、うちの学校でも彼に泣かされた女の子は多いとか。
だから、彼女の入れ替わりが激しい。彼の彼女になりたい子が、順番待ちしているとか。
ここまでくればどこまでが本当の事か分からないけれど、私には縁の無い人であるのは確か。
だってフェアじゃないんだもん。
思い出した噂とさっき目撃したことが妙に納得できて、あれは噂の背番号8番だったんだと確信した。
「翔―、颯太―!負けんなよ〜」
突然結衣が大きな声を出すから、いつの間にか下を向いていた頭を上げた。
結衣の彼氏を見ると、名前を呼ばれた翔君が笑って手を振る横で背番号8番が
「誰に言ってんだよ。」
と返事をした。
「翔の隣にいたの、私たちの幼馴染みの颯太っていうの。ああ見えてバスケ上手いんだよ。」
「らしいね。有名人ってさっき噂聞いたよ。なんか、結衣と幼馴染みって意外。仲いいの?」
一応社交辞令的に、話をふってみた。
「うん。小さい頃は三人で3on3とかやってて、バスケだけは真剣なんだよ。根はいい奴なんだけど、どこで間違ったのか・・・」
そう悩んでしまった結衣を見て、つい笑ってしまった。
結衣が、嫌っていないってことは悪い人ではないだろうな。って、少し彼に対する認識を改めた。
minimoneです。
陽菜の颯太への第一印象は、『軽い人・無縁な人』って所です。
あんな場面に遭遇したら誰でも思いますね・・・