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白夜  作者: セイル
青髪の少女
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嵐の予兆



パトロールを終え、舞姫先輩と嗣柚と別れたあと、すぐに家に戻った。

家に帰ってもどうにも落ち着かなかった。


お昼に食べる予定だったお弁当を食べていても、シャワーを浴びていてもなんだか気分が高揚していた。

怪との交戦は珍しいことでもないし、生徒会選挙に当選したこと以外はいつもと何も変わらない。

やはり人食い怪、という存在が気になって仕方がなかった。


これまでにそんな怪に会ったことがあったか?

――ない。


これまでにそんな怪を聞いたことがあったか?

――ない。


新種にしてはこれまでの怪と特徴が違いすぎる。

僕の知識がないだけなのかもしれないと思った。

でも、生徒会室でのみんなの様子を見ていると知らないのは僕だけではない。

誰も知らない怪。

そんなものが存在するのだろうか。

僕一人がこう考えていても解決する問題でもなかった。


凶暴な怪がいる、というものだからいつもより厳重に戸締まりをし、今日は分厚いカーテンも閉めた。

何をしても考え込んでしまう。

今日は何をしても上の空だ。

もう何をしてもだめだ、と思い数学の宿題を片付けて布団に入った。

考えても何も解決しない。

朝になればなにか新しい情報が入るさ。

そう自分に言い聞かせて目を閉じる。

それでもなんだか寝付けなくて、ウトウトしては目覚め、そしてそれを繰り返す。



朧げな記憶の中で、誰かが言う。

それは誰なのかわからなくて、でも考えたくもなくて。

そして考えるのをやめた。

ただ、誰だかわからない人が語るのを、ただただ、聴く。


「――僕の判断ははじめから間違っていたのかもしれない。


いや、判断することさえも間違っていたのかもしれない。


日が沈み、また日は昇る。


そんな平穏。


当たり前のように寝起きして。


明日を夢見て。


または明日に不平を漏らして僕らは生きていく。


こんな平穏は約束されたものではないのに。


明日は布団に入れば訪れるものではない。


明日は自分でつかむものだ。


僕が生きる明日は、誰かが願っても生きられなかった明日。


そして、誰かが生きる明日は、僕が願っても生きられない明日なのだ。


僕にしか生きられない明日を、僕はこの手で掴み取る。


僕にしか掴めない明日を。」



声の主はそっと消えていく。

待って、と手を伸ばしても消えていってしまった。


あれは誰だったんだろうか。

何故かその人の表情は辛く、悲しいものだった。

僕にまでもそんな感情を抱かせるような、辛くて悲しいものだった。

あの人は何を意図して僕に何を伝えたかったんだろうか。

明日は自分で掴むもの、僕にしか掴めない明日。

彼は何を伝えたかったんだろうか。


わからない。

もやもやとした気持ちになって、どこかにどっぷりと浸かってしまいそうだ。

そう、奥深くに。

どこだかわからない奥深くに。


ふと、

外の方から鳥のさえずりが聞こえてきた。

これは夢か現か幻か。

そんなことを思いながら重たいまぶたを開けるともう朝だった。

今日もまた眠れなかった。


セイルです。


やっと大幅リニューアルが終わりました!

新話投稿できました!!

いやぁ、嬉しい!


これからは毎日0時に更新していきたいと思います!

これからも「白夜」をよろしくおねがいします!


セイル


2018.11.28 サブタイトルの変更をしました。



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