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白夜  作者: セイル
青髪の少女
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パトロール


結城先輩と結友那を見送ると、舞姫先輩が歩き出す。

もう夜遅くだというのにまだ人が多く残っていた。

別に生徒が夜遅くまで残っているから賑やかだというわけでなない。


学校は怪の活動ができない「聖域」である。

学校や神社、公共施設などの地域の重要地点が聖域に指定されている。

ここを聖域にする力を持っているのがその地域を治める当主、ここ望月で言えば結城先輩である。

どこの地域の当主も自分の治める土地が怪によって全滅させられないように何箇所かに聖域を張っている。

聖域を張るためには怪と戦えるというステータス以外にも必要な力がある。

一般の人にはその力を察することができないらしい。

そのかわりにその力はカリスマ性や人気というものさしで一般の人から測られると聞いたことがある。

でも結城先輩は望月の当主だとかカリスマ性が飛び抜けているだとか、そんなことでは語れないなにかすごいものを持っているような気がした。

聖域であるこの学校にも避難してきていた地域住民、下校せずに残っている生徒が数多くいた。


「やっぱり地域放送が入ったっていうだけありますね。」


嗣柚がそう言いながら避難場所になっている教室の方を見ていた。


「さっき結城が言っていたあの瞬間を見ていた人がいないことはおそらくないでしょうから少なくとも噂で事実が広まっている可能性もあるわね。」



舞姫先輩が言う通り、僕たちが廊下を歩いている間も女子生徒が襲われたらしいだとか凶暴な怪が出ただとかいろいろな噂が飛び交っていた。

教室では生徒や地域住民が所狭しと過ごしている。

こんなことが日常茶飯事なのである。

それでも今回は凶暴な怪が出たという噂のおかげで避難している人も多いような気がした。

一年生の教室を過ぎ、階段を降りていく。

階段で過ごす人も多く、いつも学校生活を送っているときには見られない光景が見て取れた。

4階から一気に1階まで下る。

その間たくさんの人々に話しかけられた。

不安の声、早く退治してくれという声。

いろんな声が届いてきた。

昇降口でスニーカーに履き替える。

スニーカーの紐を結んでいたら嗣柚と舞姫先輩を待たせていた。

小走りで二人のところに向かうと舞姫先輩があたりを見回す。


「思ったより住民の方々、混乱してるわね。」


ひとがまばらな昇降口。

あまり人がいないにもかかわらず舞姫先輩は小声で僕たちに言った。


「早く見つけ出さないとヤバイですかね。」


生徒会室から昇降口までで一番住民に話しかけられていた嗣柚がそう言う。

嗣柚が一番地域住民との交流が深い分、僕や舞姫先輩よりも深い感情まで伝わってくるんだろう。


「もう暗いしあんまり外出する人もいないだろうから大丈夫だとは思いますけれど、住民に会ったら避難するように声掛けをしたほうがいいのかもしれませんね。」


「うーん、彩樹の言うとおりかもね。」


こうしちゃいられない、と思い昇降口から出る。

昇降口から校門を出るまでにどうパトロールしていくか大まかなプランを話す。

その結果望月町の南部、月駒地区を中心に見回ることにした。


ただ僕らがそちらの方面に住んでいるということではなく、結城先輩たちが向かった望月地区とは反対方向に行ったほうがいいだろうという嗣柚の提案に僕たちが賛成する形で決まった。


学校からすぐの下り坂を降りればそこはもういつもに増して閑静な住宅街だ。

学校の外は特に目立った混乱はなくて安心した。


2018.11.28 サブタイトルの変更をしました。

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