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白夜  作者: セイル
青髪の少女
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はじまり


今日からここが僕の居場所なんだ。


僕は今、校舎の4階にある生徒会室の目の前にいる。

これまではこんなところに縁なんてなかった。

そんな僕が生徒会室のドアをノックするまでには様々な経緯がある。



およそ2週間前から繰り広げられていた生徒会役員選挙がついさっきお昼休みに終わりを迎えた。

2週間前までずっと僕みたいなやつが当選するはずなんてないだろうと思っていた。

それでもクラスメイトの応援が予想よりも大きく実って僕は生徒会副会長に見事当選した。

生徒会に憧れを持っていただとか目立ちたくて立候補しただとかそういうのではなかった。

普段はおとなしくて教室の隅で本を読んでそう、だなんて周りからは言われるような僕が柄にもなく生徒会選挙に出馬したのだった。

というのも、ずっと仲良くしてくれている友人が一緒に生徒会役員になろう、と誘ってくれたのが出馬し本当の理由だった。



その仲のいい友人というのも生徒会役員に立候補し、無事に生徒会会計に当選した。僕たちは昼休みに持ってきていた弁当を食べることを忘れ、2週間の選挙期間を完走したことを喜んでいた。


去年この街に来たばかりの僕が一年後こんなふうになっているだなんて当時の自分に教えてあげたら驚くんだろうな。



少し緊張した心を落ち着けよう。

そう思って僕は一回深呼吸する。


そして、この生徒会室のドアをノックした。


中から返事はなかった。

それでも部屋の鍵は開いていた。

部屋をそっと覗いて辺りを見回してみるとまだ誰もいなかった。

帰りのホームルームが終わってすぐに生徒会室に向かって来たからか僕が一番最初というわけだ。

ものがたくさん置いてあって決して狭いわけではないのだろうが、少し窮屈に感じた。

この学校の歴史がこの部屋に詰まっているんだと思うと感慨深いものだ。


誰かが来るまで生徒会室の中を物色しようかと思ったが、そろそろ誰か来るだろう。

外から下校する生徒の声がさっきより大きくなった。

きっと他のクラスのホームルームも終わって帰りの清掃が始まる頃だろう。

あれこれ物色したら気になるものが出てきてしまって僕の興味は途切れることはないだろう。

そんな時に誰かが入ってきても気づけない。

そんなことではいけないだろう。

暇をつぶそうと窓際にパイプ椅子を持ってきて外を眺めることにした。


早いものでもう10月も終わろうとしている。だんだん日が短くなってきてこの教室にも西日がさしていた。

西日のあたる窓際で下校する人の流れを見ていると、太陽の光が気持ちいい。

ちょうど生徒会が発足する日というのもあって、なんだか僕はあたたかい気持ちになっていた。



生徒会役員になったという緊張感は少しあったが、生徒会の一員として学校運営をする緊張は殆どなかった。

この生徒会という組織が居心地のいい場所になることは容易に想像できた。

生徒会役員に当選したのは僕の知人、友人ばかりだ。


この高校は規模が小さいために覚えようとしなくても大体の生徒は顔見知りになる。

だが新しい生徒会役員は顔見知りではなく知人たちである。

僕が普段交流を持っている人々だ。

身内で生徒会なんていう堅苦しいものを運営するなんてくすぐったさもある。

それでもみんなと生徒会というひとつの組織で活動できることが嬉しくもあった。


物思いに耽っていると、すっかり外が騒がしくなっていた。

校庭では部活動の準備が始まっていて、部活に入っていない人たちは友達と楽しそうに帰路についていた。




2018.11.17 大幅リニューアルをしました。

2018.11.28 サブタイトルの変更をしました。

2018.12.23 内容を改変し、サブタイトルを変更しました。

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