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没落領地の気楽な領主生活  作者: 大森サコ
みちゆきを共にするモノたちのこと
9/52

戻れない。そして決意

このお話にあわせて2話の虎出現タイミングを改稿しました。失礼しました。

涙ぐんで震える老カメを見る。


「王の帰還?なにそれ」


「この台座は王のみが扱えまする、この台座で見える範囲のすべてを掌握できる神代の宝具。カリキュアと申しますのじゃ」


ふーん、オレ伯爵から王様になっちゃったわけ?

カメの言葉遣い変わっちゃってるし。


「ところで、どうやったら元の世界に戻れるんだっけ?」


なぜそんな事をという絶望の表情でこちらを見るカメ。

そりゃそうだろう、早くあの布団に戻りたい、きっと夢なんだこれ。


「戻れませぬ」


・・・。

じゃどうやって呼んだのよと思って聞いたら、ちょっとおじいちゃん怖い事いうし。


「召喚したときのことは覚えておいでで?」


「寝てたはずだけど」


「いぃえあなた様は外を歩いていたはずです」


あまり納得していないオレの表情を読んでか付け足す。


「たとえば、その靴。召喚時に身につけていたものですじゃ、寝るときに靴を履く習慣でもおありか?」


たしかに。

じゃぁ・・・いつ。


「あの日、王が召喚されたときに巨大な月が見えましたなぁ。崖があって、黄色と黒の縞々の動物を見ましたなぁ」


たしかに。

絶景を堪能したし、虎にも会った。


「そして、動物から逃げた。ワシを踏んだ、そのとき召喚がなっておりまする。」


もう召喚されたあとなんじゃ・・・?


「王の世界には車という乗り物があるようですな、ヘッドライトがこう近づくと大きな光になる。」


たしかに。

大きな光になるね。


「明かりが迫った、振り向くと崖がなかったですかな?」


たしかに。

車にひかれそうになったので後ろを向いたら崖だった。


「どこかで猫を見かけませんでしたかのぉ」


たしかに居た。

崖からそれてバス停に逃げた、勢い余って横たわっていたら目の前で猫が威嚇してきたのでびっくりして猫から逃げた。


「その後に少し大きめの岩を踏抜きましたな」


そうだ。

猫から逃げたら岩を踏んで足を挫いた。


カメは言う。

ほれ、ワシの周りの環境と王のあのときの環境がぴったり一致する。


「鏡袷の術ですじゃ」


たしかに。

この世界に来る前と来た後の自分の行動が同じ。


「じゃから送り戻すのはワシにも無理。ご理解頂けましたかな?王よ。

できればこの地を鎮めていただきたい。せっかくの偶然でいらっしゃったのです、ワシの願いを聞いて頂けませんかな?

このままいけば、この地は魔窟となり、魔王を産みましょう、お付のニンゲンもいずれ死に絶えてしまうでしょうな」


ベネッサとティオの顔が浮かぶ、ティオに至っては正味30分の道のりを1時間ほど一緒にいただけだが、愛着がある。


「・・・そうだな」


オレを召喚したのはカメの責任ではない、オレがカメの思うような行動をあのとき取ったから呼ばれた。そういうことか・・・。選ばれたわけではない、あのとき仮病で布団にもぐらなければ、あのとき友人の誘いに乗っていれば、すべて回避できたことだったんだ。

あの日、部活を辞めなければ。


全力全開でやってみようじゃないか!もう後悔しない!

異世界転移上等だ!


「いいだろう、引き受けた」


静かに決意を込めた言葉を吐くと同時、

そのときシェルターが消えてベネッサやティオ、その仲間たちがパントマイム状態で固まっているのが目に入る。


「あぁ・・・、なるほど、こいつらを悲しませたくないな。

 こいつらの命預かったぜ!!」

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