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没落領地の気楽な領主生活  作者: 大森サコ
みちゆきを共にするモノたちのこと
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貧乏領主との出会い

 見晴らしがいい。


 スマホの時間を確認する。


 日本では中々お目にかかれない素晴らしい絶景だ!高い青い空、遠くには巨大な月が迫っている。もう少し手前には断崖絶壁と巨大な岩棚があるのが見える。これが噂に聞くグランドキャニオンか?


 オレは気がついたらまったく見ず知らずの丘の上に居た。いまどきドッキリか?


 オレの名はハルオという。夏休みの宿題が終わらず朝を迎えた新学期始業の日、仮病でベットに潜り込んだのがつい5分前。スマホの時間を確認する。


 そして、絶景。


 もう一度横たわる。


 顔だけずらす、目を凝らす。


 丘を少し下ると小さな街が見える、昼時だろうか家々の煙突からは煙が立ち上がっている。


 長閑だ。いろいろあきらめて歩き出すが長閑な風景と違い頭の中は大混乱だ。


「まずは人のいるところに移動してみるか…」


 ふと茂みに目をやると、虎のようなライオンのようなとにかく大きな猫の姿を目にした。


「か、かわいい猫、じゃないよねぇ」


 と、とにかく逃げよう。


 ゴリっ


 気持ちを切り替えて虎から逃げるが足元の亀につまづいた。


「なんじゃ!!痛いではないかっ!バカモン!」


 とっさにスマホの時間を確認する。よくわからないまま起動後7分で亀に説教された。地球じゃないこと明らかだ。挫いた足首が痛い。


 それでも亀に謝罪しながら後ずさり街に向けて駆け出す、走って、走る。


 人生の中で一番のスピードを記録して走る、あぁこんなに全力で走ったのは叔母さんの大切な鏡をちゃんばら棒で叩き割って以来だなぁなんてどうでもいいことを考えて走る。

腕のスクロークにあわせて頭ごと振り向く!


 虎は居ない。


 よし!


 しばし息を整えて、先ほどの寝そべったときについた土埃を払う。

あたりの気配を探りながら息を整えているとだいぶ街が近くに見えることに気づいた。


 さぁ街についたらドッキリ終了かな?粗末な柵やくたびれた格好の街の人が目につくけど映画のロケ地なんだろうか。門衛役の人に声をかけてみよう。


 そして、それから1時間後。


 なにやらぶつぶつと口の中でつぶやく男が貧相な椅子に仰け反っている。


「御前はバレンダ及びハーフィン大公玄姪孫、ゼーラト伯爵である。」


 お付のおじいさんが大きな声で椅子の人を紹介する。どうやらまだドッキリは続くらしい。係の人に教えてもらった挨拶をする。


「ハルオヤマダとやら面をあげよ。直答を許す。」


 顔をあげる前にチラ見した憂鬱そうな表情ではなく満面の笑みである。


 不気味だ。








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