ずっと望んでいたエンディング。
「私は、やり直す。皆で卒業したい」
「香織さんならそう言うと思ってたよ」
少年はにっこりと笑い、その笑顔を見ていると視界が一度ぼやけて、視界が元通りになるとあの三年一組の教室にいた。
教室には誰もいない。きっと皆はまだパソコン室にいるのだろう。
黒板の日付を見てみると、確かにあの頃に戻っている。
「香織」
教室のドアのほうから聞こえた声に反応してそっちに顔をむける。するとそこにいたのは晶だった。死んだ人間も生き返っている。その事実をちゃんと確認出来て安心した。
「晶……皆は?」
「まだ落ち着いてないみたい。石化したクラスメイトたちの記憶にはなぜか俺のことが植え付けられてて、驚いちゃってさ……逃げてきたようなもんなんだ」
「そっか。でも晶が無事でよかった」
写真の貼ってある壁を見た。確かに晶が写っていた。
この思い出の写真はもうある程度の行事のことが写っている。となるとこのクラスで撮る最後の写真は卒業式だろう。
「皆に、謝らなきゃ」
「……そうだねー。あんな無茶して、皆を悲しくさせて、まったく本当に馬鹿だよ。香織は」
「そ、そんな風に言わなくても……」
「でも、戻ってきたから俺は許してるよ。だから行ってきな。香織のことを一番待ってたのは、俺じゃないから」
それだけを言うと晶はもう何も言わなかった。だから私はパソコン室へ向かった。ドアに手を掛け、息を吐く。意を決してドアを開けた。クラスメイトの視線が集まる。
「香織っ!」
フラフラとしながらも私に抱きついてきたのは里佳だった。
「私はもう、死ぬはずだったのに……助けてくれたのは、香織でしょ?ごめんなさい、ありがとう……!」
「えぇと、謝らなきゃいけないのは私で……ごめん」
「全員、揃ったな」
そう言ったのは浩人だった。そう、私たちはちゃんと全員で帰ってきたのだ。
「香織、俺はお前に助けられた。二度、いや、三度か……本当にありがとう」
「そんな……感謝は私がしなきゃいけないのに」
「俺たちは、香織に感謝してるんだよ」
パソコン室全体を見渡すと、そこには笑顔の皆がいた。中には涙を目に溜めている人も。穂乃も綾も、皆、元通りだ。
「よかった……私の願い、叶った!」
そんな皆を見ていたら自然と私の目からも涙が零れた。笑っているはずなのに、涙が止まらない。
そしてずっと夢見ていた全員揃っての卒業式を迎えた。
DBはもう、あのゲームに囚われることなく人間として生きることになった。名前は藤崎健吾というらしい。元々その名前だったが、私たちの中ではDBで定着してしまっていたから誰も名前を知らなかったようだ。
「それじゃあ撮るよー。はいっ、いちたすいちはー?」
「「「にーっ!」」」
卒業式後、私たちは全員揃った集合写真を撮った。
その写真は晶と見た、幻想、可能性、あったかもしれない未来、の写真だった。もうこれが本物になっている。
それから私たちは自分たちの進路先へとばらばらになって行った。私と浩人は同じ進路先へ行って、そこで再び広瀬たちとあったが予想どおり、何も覚えていなかった。そこに成ちゃんは転校してこないし、リアルキルゲームも起こらない。そう過ごしているうちに平和に気付いた。
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「懐かしいね、この写真」
「だなー。まぁ結局、あのゲームに巻き込まれた奴ら全員には再開しちまったけど」
「何その言い方、本当は嬉しいくせに」
もうあれから数年も経った。十五歳だった私も浩人も二十歳を超えて、子供もいる。
私は専業主婦に、浩人は警察官になった。
数年というのは振り返ってみればあっという間で、いつの間にかそうなっていた、ということが多々ある。
「そういや、あれからどうなんだ?」
「……成ちゃんはこうなるだろうと予想してたみたいなんだけど、私はやっぱり罪悪感を感じちゃうかな」
「香織がそんな風に思う必要なんてない、どちらかと言えば多分、俺のせいだ」
私たち間に生まれた子供は、私たちと同じように普通ではなかった。見た目こそ周りと変わらないがその小さな身体には能力が宿ってしまったのだ。私も浩人ももう能力は薄れていて、ほとんど一般人と変わらないのだが、子供だけは異常だった。
あの子が今後この能力をどう受け止めるのかはわからない。でも、私たち二人は隠せるところまではリアルキルゲームのことは黙っていようと話し合い決めた。
「そんな顔すんなよ。大丈夫、俺たちの子供だぞ?強い子だよ」
「そう、だね……」
「それに灰山も協力してくれてるじゃないか。能力の制御は出来るはずさ」
「うん」
「過去は過去。何かあったら俺が香織と祈梨を守るさ」
昔のように無邪気に笑いながら浩人はそう言った。そしてまた時は勝手に進んでく。
私はリアルキルゲームを乗り越えて、幸せになれた。
なら、この幸せが永遠に続くように願うだけだ。
リアルキルゲーム完結。




