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リアルキルゲーム 〜白の呪い〜  作者: 沙乃
リアルキルゲームver.2
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【キュウサイ】二話目。

「は、ぐっ……あぁ……!」



 目が覚めたら、晶が胸を抑えて苦しんでいた。何で……だって、晶を連れ戻せば全部終わるって……大人しく消えるって言ってたのに!



「晶!?」

「大、丈夫……すぐに、追い出す、からッ……!」

「でもっ!」


「……なんかよくわかんねーけど、さんざん俺たちを殺そうとしてくれたからなあコイツ。黒羽、殴っていいか?加減なしで」



 ボロボロのヒロトがその瞳に怒りを宿して晶の目の前にやってきた。そんなヒロトを見て、晶は笑う。



「あぁ、頼む、よ……」



 きっと私が晶を助けに行ってる間、ヒロトたちは晶という身体を傷付けるのに遠慮していたのだろう。だから、ヒロトは晶に聞いたんだ。殴っていいか?って。



「……今まで迷惑かけやがって……この馬鹿野郎ッ!」

「ッ……!」

「ふざけんなよ!俺たちがどれだけお前のことを思ってたのか、お前を心配していたのか、わかってんのかあッ!?」

「ぁがッ!」



 晶とヒロトが殴り合いをしている。いや、ヒロトが晶を殴っているのだ。でも晶は受け入れる。これすら絆だと思っているのだ。



「ってー……少しは加減しろよ。コイツの身体、弱っちいのに」

「……加減?しねぇっていっただろーが。さっさと黒羽から出ていけ。そういう約束だ」

「俺がいつ約束をしたって?嫌だね。呪いはもう集まったんだ。君たちの負けさ。ゲームオーバーだ、さようなら、ヒーローたち」



 でも、起き上がった晶はまた晶じゃなかった。また、私たちの知らない誰かだ。



「待ってよ」

「?、何だよ。何か最後に言い残すことでもあるのか?」

「どうせ最後なら、聞こうと思ってね。アンタ何者なの?」



 成ちゃんが睨みながら聞いた。そいつは一瞬驚いていたが、すぐに笑い出した。



「はははっ!今更か!」

「別にいいでしょう?死んでも私はアンタを許す気なんてないの。生まれ変わっても、地獄に落ちても、アンタをいつか殺してやる。そのための質問なんだから」


「ずいぶん大口を叩くねー。まぁいいさ、教えてやる。俺はお前らだよ、お前らの闇だよ。このリアルキルゲームで死んだ奴らの恨みやお前らの殺人欲求、悪いが名乗れるような名前なんてないんだ。……これで満足か?」



 何、それ……。私たちの戦いから生まれた化け物ってことなの?私が成ちゃんを殺そうとしたあの時も、コイツを育てていたってこと?それほどまでに私たちの闇は深かったのか……。絶望、恨み、生き残るための殺人、これら全てがコイツってことなんだ。最悪、結局、救うも何も、この自体を招いたのは私たちじゃないか。



「私たちの、闇……」

「そうだ。俺を生み出したのはお前でもあるんだよ、カオリ」

「……最悪だよ。こんなに気分が悪くなったのは久しぶりかもね」



 本当に、自分のカッコ悪さに気付いて気分最悪。私たちが生みだした絶望、だったらこれに対抗できるのは一つしかない。それに気づけなかった私は、なんて最低なんだろう。



「───私たちはね、その闇をはるかに越える希望を持ってここに来たんだ」



 立ち上がって刀を抜く。もう息も切れてない、怖くもない、「大丈夫」皆がそう言ってる気がした。結局、私たちは一人じゃどうしようもないほどにダメダメで、弱くて、脆い、でも今は一人じゃない。ずっと感じていた孤独感はただの自己暗示、私には支えてくれる仲間がいつもいたんだ。



「希望か……そんなものただの幻だ。皆自分が一番大切、相当狂ってなきゃ馬鹿みたいに自己犠牲なんてしない。自分が死ぬとわかった時、誰かを犠牲にしてでも生きたいと思うのが人間だ」



 口元が緩む。あぁ、そうだ。私は罪を犯した。だって人を犠牲にして一度は生き残ったんだから。忘れてたのも罪だろう。罪を重ねて、今ここにいる。



「そっかー……私、狂ってるんだ」



 上から下へと刀を振り下ろす。少し距離が足りなかったからか、晶の服が少し破けただけだ。



「でも違う、自己犠牲なんかじゃない。これは、償いだもの。私は私の身を使うことによって罪から解放される、だったらそうするしかないじゃない。だってこんな重い罪、背負ってられないよ」



 さんざんな目にあった。ただ普通に生きていただけなのに。主人公なんて私には無理だって、せいぜい教室の隅にいるようなモブだって、私自身が認めているというのに。自分の人生ですら主人公として生きられなかった私が、今何をしているんだろう。神となる存在を殺そうとしている。

 全てが終わって後悔しても遅いのはわかっているんだ。もしかしたら今が一番私にとっていいのかもって思ってる。でも、そんなこと思ってたらまた罪を重ねるだけだ。



「今だけの感情で命を投げ出していいのか?寿命を縮めているだけだ。どうせ殺されるとはいえ、少しは生きたいと思ったほうがいいんじゃない?」


「言ったでしょ、これは殺されるための戦いじゃない。私が私の仲間と、私自身を救済するための戦いなんだ」



 そう言ってまた刀を構え直した時、ソイツが私をまっすぐと見た。そして、自分の顔を指さす。



「───お前はかつての親友を殺すのか」



 やっぱり、そう来るか。

 精神は違くともこれは晶の身体、私だって馬鹿じゃない。それくらいわかってる。わかったうえで、刃を向けているのだから。



「違うよ。殺すんじゃない、助けるんだ」



 ソイツはわかりやすく意味がわからないという表情をする。

 でも、ソイツだけだ。私たちは皆わかってる。私が言った言葉の意味が分かっているからこそ、その瞬間を待っている。

 あと、少し。もう少し、待つよ。



「何言ってるんだよ。この身体はお前の親友のものだろ?もう晶なんていないのに、助けるなんて不可能だ」


「それも違う。全く、アンタは何もわかってない。生まれた時から自分という存在がいいものじゃなかったってわかってるんでしょ?その闇を一体なんのために使えばいいのか、自分はどうして生まれたのか、たくさん考えたのにアンタは答えが出せなかった、私の言ってる事間違ってる?」


「さぁどうだろうな?合ってるかもしれないし、間違っているかもしれない」



 初めて、ソイツは少し悲しそうに笑った。晶の顔で、そんな表情しないでほしい。



「……もうこんなの嫌。いつまで待たせる気なの?」



 ソイツの後ろを見る。そこには、やっと現れた本物がいた。



『───遅れてくるのが、ヒーローでしょ』

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