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リアルキルゲーム 〜白の呪い〜  作者: 沙乃
リアルキルゲームver.2
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【救いゲーム】九話目。

「黒羽は多分こことはまた別のステージに逃げたはずだ。俺たちから遠い、俺たちの意識の中にないステージだ。だからいくら考えたってわからないだろうな」


「じゃあどーすんだよ」


「……どーすっかなあ。とりあえず適当に探してみよーぜ」



 ヒロトはゆっくりと歩きだした。俺と雪村はそれに黙って着いていく。そして着いたのは、体育館だった。真っ暗な体育館。沢山の窓があるというのに見えるものなんて何も無い。



「適当なんてそんなの無理に決まってるだろ?雪村もいるんだし、ちゃんとした方法で探さないと……」

「いいんだ。こっちの方法で」

「なんでそんな事言えるんだよ」

「さあなー」



 ステージに上がって、その上にある体育館用の放送室に入る。その部屋は明るく電気が通っているようだ。聞いているだけで気持ちが悪くなるような音がどこからか響いている。

 ヒロトが放送用の機会に触ろうとしたその瞬間、ずっと黙っていた雪村が口を開いた。



『お前は誰を助けたいんだ』


「……いきなり何を言ってるんだ。そんなの、クラスメイトに決まってるだろ」


『お前が助けたいのは自分じゃないのか?私にはそう見える。なのに、どうしてお前は自分のことを親友であるはずのリクに言わないんだ?私はもう知ってる。この空間を作ったのは私だからな』


「おい雪村、それはどういう……」


『ここはゲームだ。ゲームを支配するものはその能力を持つ。呪いとはまた別だが、主催者と判断されるのは呪いをもつものだ。私がお待らのクラスメイトに使ったのはフリーズ。ゲームは固まってしまうことがあるだろう?そのバグを意図的に起こしたのさ。それと同じような能力をヒロトはもっているはずだ』



 沢山の情報が一気に入ってきて頭が混乱する。処理が追いつかないような状態だ。ただ視界に映るヒロトの顔は悔しそうで、悲しそうで、寂しそうな、現実にいた時には一度も見たことのない表情だった。バカで、元気で、明るくて、笑顔が似合う、それがヒロトだったはずなのに。



「……わからない。俺には何もわからない。お前が言ってくれなきゃ、わかるわけないだろ……バカ」



 怒ることも、問いただすことも、俺には出来なかった。信用を疑ったわけじゃない。ただ、ヒロトにとって俺は命を預けられるほどのリーダーでも親友でもなかったわけだ。そう考えたらとたんに虚しさが押し寄せてきた。これまで沢山傷ついてきたはずだというのに、俺の心は成長しない。いつまでたっても、ただのガキだ。



「……ロード…………」


 すごく、小さな声だった。ただその小さな声を俺は聞き逃さなかった。



「ロード……だ……」


「そ、れは……ある時点から、やり直すことか……?」


 ヒロトは頷いた。何かを思い出したのか、とても苦しそうな顔をしている。


『どこまでやって、どこからやり直してきたんだ?』

「……」

『逃げてきたのか』

「……」

『やり直せば何も無かったことに出来ると思ってたのか』



 雪村は今までで一番怒っていた。その赤い瞳に殺意すら浮かべて。



『お前が何を見て、何を感じて、何に恐怖したかはわからない。ただ、私の世界を、呪いを、逃げることに使うのは許さない!!』



 雪村が怒ったあと、ヒロトは雪村のほうを弱々しく睨み大声をあげた。



「っ……皆、死んだんだ……全員だッ!!俺の目の前で!俺には、どうすることも出来なかったっ……!俺だけが、生き残って……気付いたら生き返るところからやり直してて……」



 俯きながら、止まりながら、泣きそうになりながら、ヒロトは話す。どれだけ辛かったか、これまでの言動について、全部わかった。



『……だからなんだ?それは逃げる理由にならない』

「おい雪村、もういいだろ」

『うるさい黙れッ!!カオリだって、自分だけが現実に帰ったことを罪として背負っているのにお前だけ逃げるのか!?』

「……!」



 やっと顔を上げたヒロトの瞳には涙が溜まっていた。自分の背負っている罪がわかっているから、晶とここに残ることにしたんだろう。それが償いになると信じたんだ。バカのくせによく考える。でもそれはきっと誰も望んでない。少なくとも俺は望んでいない。



『もう、やり直すな。どんな結末になろうと、お前はそれを受け止めろ』

「…………わかった」



 カオリのことを考えたのか、ヒロトはすんなりと雪村の言葉を受け入れた。



「……ヒロト、これがラストゲームだ。絶対、悪いエンディングなんて見せねーよ」

「……あぁ。リーダー、信じてるぜ」

「おう、任せろ」



 現実では、ヒロトは泣かない。ずっと笑ってる、ごく普通の男子中学生。身長が少し小さくて、いつも馬鹿やってて、でもイケメンで、それなりにモテるし、名前の通り主人公(ヒーロー)みたいなやつだ。でも、そんなヒロトも弱い部分がちゃんとある人間なんだ。だから、その弱い部分を俺が支える。ヒーローには相棒がいる。俺はヒロトの相棒になって、心の傷さえも分け合えたら、なんて、思う。


 いつもの笑顔が戻ったヒロトに、俺も笑顔で返す。俺たちはこれからもこうなのかもしれない。ぶつかって、笑って、泣いて、笑って、でも最後はきっと、いや、絶対笑顔なんだろうな。




「それじゃあ行こうか、アイツのところに」

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