【救いゲーム】六話目。
「……リーダー、目が覚めたか」
「ぁ、ぅ……」
「!?……リク?……大丈夫か!?黒羽、どういう事だ!?」
目が覚めると校長室にいた。
思ったように声が出ない。身体も動かない。それは晶のあのイナズマのせいなのだろうか。なんだか、頭がうまく働かない。
『リク、目が覚めたんだね。もう少し寝てるかと思った』
「……ぅ」
『あぁ、ごめん。話せないんだったね。今はヒロトと話がしたかったから、もう少し我慢して』
晶はとても冷たい瞳をしていた。
声の出せないことと、身体が動かないことに苛立ちながら周りを見る。
突然肩に重みを感じたため見てみるとそこには苦しそうな表情の夏宮がいた。
夏宮が俺に寄りかかっている状態だ。
普通なら嬉しい状況なんだろうが今はそんな場合じゃない。
どうにかして動けるようにならないと、何も出来ない。
「お前……リクに何をしたッ!?」
『別に、今は黙ってもらってるだけだよ』
「だったら何で……!!」
ヒロトが怒っている理由が分からなかった。そりゃ身体は動かないけれど、晶が俺に何をしたのか、そんなので怒るような奴じゃないだろう。
「何でリクはこんな人形みたいになってんだよッ!!!」
……は?
人形?何を言ってるんだコイツは。俺は人間だ。そんな人形なんかじゃ……。
「……ぁ、ぁ」
「リク、大丈夫か!?意識はあるんだよな!?」
返事が出来ない。
…………そうか。今の俺は、人形と変わらないのか。
思ってみればそうなのかも知れない。動けないし、話せない。あぁ、本当だ。人形だ。
「今すぐリクを元に戻せよ!!」
『君との話が終わったら戻すよ』
「話なんて、別にリクがいても出来るだろ!?」
『……ほらね、君、仲間がいると弱くなるタイプだ』
「!?……ははっ、なるほどね。お前性格悪いな。わかったよ、さっさと話を始めよう」
怒りが混じった表情でヒロトは晶のほうを見た。
これじゃまるで俺は、ヒロトの足を引っ張ってるだけじゃないか。悔しい。そう思っても俺の身体はピクリとも動かない。
『……もう戦うのはやめにしよう。俺だって、それが目的じゃない』
「今さら何を言ってるんだ?お前が先にうちのリーダーを殺そうとしたんだろ」
『……悪かったよ。でもこのままじゃお互いの目的が達成されない。それは困るでしょ』
「……お前の目的は?」
『雪村彩夏が生き返れば、それでいい。ヒロト達は石化したクラスメイトを助けるために彩夏が必要なんだよね?』
「そうだ」
『彩夏を生き返らせるために協力してくれない?そしたら石化したクラスメイトたちも助けられるでしょ』
協力関係になるにはいい条件だと思った。
「……協力?俺達がしたところで現状維持だろ」
『そんなことないんだよ』
「じゃあどうやって助ける気だ?」
『それは……』
「誰だ」
『え?』
「誰が犠牲になるんだって聞いてるんだよ。お前は俺達の中から誰かを殺して雪村彩夏を助ける気だろ」
声は出ないが、とても驚いた。
協力して助けるならまだいい。だが、誰か一人が犠牲になるなら話は別だ。そんな条件に頷けるわけがない。
『……うーん、思ったより勘がいいな。そうだよ。夏宮里佳を、殺そうと思ってる』
「だったら協力出来ない。これで話は終わりだ、さっさと二人を元に戻せ」
『…………元に、戻すと思った?』
「いい加減にしろよおいッ!!!!」
ヒロトが晶に殴りかかるが、晶はそれをキレイに避ける。
晶は隙をついてヒロトに鳩尾を一発入れた。
「ぁがッ……!」
『……ま、冗談だけどね』
気を失ったままの夏宮を抱きかかえると、晶はそのままどこかへ消えてしまった。
俺は突然頭を何かで打たれたような感覚に襲われ、やっと身体が動くようになったが痛みでその場に倒れてしまう。
何も出来ないまま、夏宮はどこかへ連れて行かれてしまった。
「ヒロ、トッ……!大丈夫か!?」
「リーダー、元に戻ったのか……悪ぃ、何も、出来なかったっ……!」
「それは俺のセリフだ……。それより、夏宮が!!」
「わかってる、けど……俺、もう…………」
「ヒロトッ!?」
ヒロトはそのまま目を閉じた。
生きている。気絶しているだけだ。
一安心したが、晶が前より強くなっている事は認めざる得ない。
これからアイツと戦うのは、もしかしたら勝ち目はないかもしれないんだ。
「でも、それでも、助けたいんだ……」




