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リアルキルゲーム 〜白の呪い〜  作者: 沙乃
リアルキルゲームver.2
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【取り戻しゲーム】三話目。

「あ、れ……私、なんで泣いて……?」



 拭っても拭っても、涙が止まらない。

 助かったことの安心か、電話のせいなのか、それすらわからない。



「カオリちゃん……あのね、今から電話を渡すけれど、逃げちゃダメだよ」



 成ちゃんから端末を受け取り震えた手で耳に当てる。



『……カオリ、久しぶり』


「っ……」



 なんで言葉につまったのか、わからない。でも声の持ち主はなんだか知っている気がした。それどころか、聞きたかった声だ。



『なんで黙るんだよ……。俺は、お前が生きてるだけでいいんだ、それだけで十分なんだよ』

「うん……ありがとう……。あのね、聞きたいことがあるんだ」

『なんだ?』



 溢れる涙を流しながら震える息で深呼吸をした。

 ゆっくり、ゆっくりでもわかりたいんだ。




「君は、私の大切な人ですか」




 周りからしてみればおかしな質問だろう。

 けれどなんにもわからない私はこれしか思いつかなかった。

 でもこの質問はちゃんとしておかなきゃいけないものなのだ。



『ははっ、やめろよ……馬鹿。そんなの俺にわかるわけっ……くっそ、なんで、なんでなんだよ……お前はっ!』



 電話越しでもわかった。

 一瞬の沈黙の後電話の彼は泣いていたのだ。


 ガサガサと音がすると今度は先ほどの彼より落ち着いた声が聞こえる。



『わりぃカオリ……あいつ、今はダメみたいだ。……お前は何も覚えてないんだよな』


「うん、悪いけど、私には何もわからない……。君が何者で、過去の私にとってどんな存在だったのか、今はどんな存在なのか……わからないけど、君の声を聞いているとなんだか落ち着くよ……」


『……そうか。再開はまだ先になりそうだが、こうして連絡がとれるのはありがたい。灰山に感謝しなきゃな。……これからお前はそのステージをクリアしなくちゃならない。俺達はラスボスである晶を倒そうと思ってる。だからお前はそっちからこっちへ向かってくれ』



 話がどんどん進んでいくけれど、理解が追いつかない。

 知らない名前が出てくるし、これからどうするかという指示がちゃんとしすぎている。



「待ってよ、君は私を知っている。私は君を覚えてない。君は私に情報を提供する義務があるでしょ」

『あぁ、そうだな。俺は……リク、お前と三年一組としてリアルキルゲームで戦っていたメンバーの一人だ』



 リク、その名は私が無意識に口に出した名前だった。



「……リク」



 きっと彼は過去の私にとってかけがえのない存在だったのだろう。だから頭じゃなくて心で覚えていたんだ。



『お前に名前を呼ばれるのは、何ヶ月ぶりだろうか……。まぁ、思い出を語るための時間なんてない。……最後に一つ言わせてくれ』

「……うん」


『生きてくれ、今度こそ一緒にこの世界から脱出するんだ』

「……もちろん、死ぬつもりなんてないよ」

『ならいいんだ』



 プツンと電話が切れる。

 向こうから切ったみたいだ。



「……カオリ、大丈夫か?」

「ダイチこそ、大丈夫なの?」

「何とかな。……それよりリクって、誰だったんだ?」

「わかんない。でも、私の大切な人だった……気がする」



 過去の事など思い出さなくてもいいと、そう思っていた。

 でも今は違う。思い出したい。私の失った仲間との絆を感じたいのだ。そして戻りたい。強い私に。



「カオリちゃん、このステージ、何かおかしいと思わなかった?ダイチも、違和感くらい感じたでしょ」

「……気味が悪いくらい、暗いってことは異常」

「ガラスが超硬い。普通割るはずなのに、何しても割れなかった」



「カオリちゃんはともかく、ダイチもけっこう良い勘してるんだね。このステージをクリアするための鍵はまだ見つかってない。嫌でも探索をしなきゃいけないの。だからまずは懐中電灯を探そっか」



 成ちゃんの判断は正しいだろう。ここは異常に暗い。ホラーゲーム並に暗いのだ。

 これで灯りが無かったら足元も危ない。

 もしもの時、見えないんじゃ死ぬかもしれない。さっきみたいに、なるかもしれない。



「そうだね。クラスの子たちはどうする?」

「このまま私たちだけってわけにいかないよ。皆でクリアしなきゃ」

「だよな。それじぁ戻るか」



 足元を見ながら、周りもちゃんと見ながら、ゆっくり歩いていく。暗いビルの中はよく足音が響く。

 歩くたびに腰につけた鞘が揺れてカチャカチャと音がなる。

 成ちゃんが私を殺そうとした化け物を銃で撃ったせいか、私の白いベストには赤黒い血がついている。


 階段を降りて少し歩くとクラスメイトたちが見えた。

 座って、俯いて、固まって、泣いて……絶望的といえるような光景が広がっている。


 でも、もっと酷いものがあった。

 私のベストについた赤黒いものと同じようなもので染まったクラスメイトが二、三人いたのだ。



「あれ、もうゲームオーバーなの?」

「ちょっと成ちゃん、どういうこと!?あれ、まさか……そんなわけないよね!冗談、だよね……?」



 嫌な考えが頭を過ぎる。

 でもそんなわけない、こんな短時間で私と同じように敵に会う確率なんてすごく低いはず。


 でもそんな考えは簡単に砕かれた。


 近くで見ればわかる。嫌でもわかる。




 私のクラスメイトは、既に息を引き取っていた。

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