三話目。
一番近い部屋だったからか、ホールにはすぐについた。グラグラと揺れる視界で周りを見渡すとホノとアヤ、校内一馬鹿で有名なヒロト、入学した時から誰も名前を知らないと言われるDB、その他にはいつも二人でいるモカとマナがいた。
いやいや何でこのメンバーなんだよ。個性的過ぎるから、と思ったがツッコミを入れられるほど元気じゃない。
「なぁ、手当て出来るものとかないか?布とか……止血出来れば一安心なんだが…………」
「あ、持ってる。さっき拾ったんだ」
「…………ありがと」
包帯を受け取りきつく巻いた。だがその白い包帯にも血が滲み出し、完全な止血が出来ていないことがわかった。
ホノとアヤは何やらモカとマナと話している。その顔は何かを恐れているようだった。
〈……皆サン、ルール説明ヲ開始シマス。ソノ場デ動カズ聞イテ下サイ〉
突然の放送。あのパソコン室に呼び出した時と同じように、少女の声だ。
「ルール……?今さら何を…………」
電子音のような物が響くと目の前に文字が写し出された。表示されたルールはどれも忘れてはいけない、そんな内容だった。
〈このリアルキルゲームはあなた達の現実を殺すゲーム。つまり命をかけたデスゲーム。生き残ってゲームをクリアすれば元の世界に戻れる。全員死んだ場合はバッドエンドとなる。生き残った人数によってハッピーエンドかトゥルーエンドに別れる。……このゲームには犠牲者とイケニエが存在する。犠牲者は敵に殺された場合、罠にハマって死んだ場合のみ認識される。仲間殺しの場合、イケニエと認識される。このゲームの敵はあらかじめ所持するよう仕掛けた武器でしか倒せない。クリア意外に外に出ようとした場合はルール違反となる。〉
仲間殺し……それは簡単に出来てしまうだろう。おそらくクラスメイト全員に武器を持たせているはずだ。でなければこのゲームは一方的なデスゲームになっているはず。
この混乱状態の中、平然と冷静を保っている方がおかしいといえる。そんな精神状態で、一人一人武器を手に入れた今なら、本当に、簡単に、誰かを殺せる。ルール違反もそこまで細かくは言われていない。もしかしたら主催者側が勝手に判断してルール違反となる場合もあるのだろう。
〈以上デルール説明ハ終了デス。ルールヲ破ルト即ゲームオーバナノデ気ヲ付ケテ下サイ〉
ブツンッと放送が切れる。その瞬間からまたゲーム再開だ。
安全だと思っていたホールにも先ほど私が戦ったような曖昧な存在が四体ほど集まっていた。
「また、コイツらッ……」
「…………ちょっとキツいか……?」
立ち上がりナイフを構える。私の横には戦闘モードのDBがいた。リクやホノとアヤもそれぞれの武器を構えている。
DBの持っている武器は、一目でわかった。デザートイーグルだ。しかも二丁も。
あれだけの銃を二丁も持っていたら動きにくいのではないか、と疑問を持ったがあのDBだ。扱いも下手ではないだろう。
「…………任せるよ、DB」
「あぁ、任された」
アイコンタクトを交わすと私は一気に敵に向かっていった。まず相手から殺気を出させなくてはならない、そう判断したのだ。
「見えたッ……、カオリ!伏せろ!!」
「了解ッ!」
DBからの合図を受け取り敵の目の前にも関わらず伏せる。敵の反応は意味がわからない、と言ったところだ。
だが次の瞬間、正確な射撃によって目の前の敵は消滅した。
殺気が出て実体が見えたところでDBが敵の心臓を目掛けて射撃をしたのだ。
ナイスショット、とまたアイコンタクトをとる……が、DBの後ろにはすでに一体の敵が忍び寄っていた。
「DB、後ろ!」
「わかってるに決まってんだろッ!!」
銃を構えていた右腕を勢い良く後ろに引き、敵に肘打ちをくらわせた。
そして倒れ込んだところにいつの間にか移動して構えていたスナイパーのリクが二発ほど銃弾を撃った。
「悪ぃ、助かった」
「いや、隙を伺ってたんだ。肘打ちナイスだったぞ」
DBとリクの二人はとてもいいコンビだ。
近接戦闘も出来て、デザートイーグルをもっているDBと遠距離攻撃に特化したスナイパーのリク。このコンビのおかげで残り一体まで敵の数を減らせた。
「残り一体…………どうする……?」
「弾数を減らしたくない。カオリ、任せていいか?」
「……そんなの聞かないで。私が断るわけないでしょ」
「だろうな」
DBは苦笑をして、リクはまたライフルを構えた。もしもの時に射撃をするつもりだろう。
「カオリ、これ使って」
ホノが私に渡した物はさっきの敵が持っていたナイフだった。
「ありがと」
すぅ、と息を吸って相手の隙を伺う。
ユラユラと揺れる敵をどう仕留めるか、避けられた時の攻撃の回避法、タイミングを見計らって急所である心臓を刺せるかどうか。
それらを頭の中でぐるぐると考える。
敵がグラリと揺れたその一瞬、地面を蹴って突進のような姿勢で刺しに行く。
「グァッ!?」
心臓は刺せなかったが腹部を一本のナイフで刺し、その勢いのまま、敵を押し倒した。
「大人しくして」
「アァアアァァア!!!」
「もう1回刺すよ」
そう脅すと急に大人しくなった。
言葉はあまり話せるようには思えなかったがどうやらわかるにはわかるらしい。
ゆっくり、でも確実に存在が消えていった。
「…………お疲れ」
「うん。……そういえば、私達以外の人達は大丈夫なのかな」
「武器はあるはずだ。ただ、吹奏楽部の女子は不安だな。どう考えてもアイツらが武器を使えるとは思えない」
「私もそう思う」
ホールにいる全員が目を合わせた。
そして静かに頷く。答えはもう出ている。
DBが、静かになったホールでその声を響かせた。
「…………仲間助けるために命を懸ける覚悟のあるやつだけついてこい!!!」




