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リアルキルゲーム 〜白の呪い〜  作者: 沙乃
リアルキルゲームver.2
37/67

【取り戻しゲーム】一話目。

「ッ……こん、な、ありえないッ!」



 最初は腕、次に足、そして全体、無数の手に掴まれる。あのゲーム表示の数秒後、画面から出てきた手に掴まれて、画面に吸い込まれていく。

 すでに画面の中に沈んでしまったクラスメイトも数人いる。ちょっとずつ、悲鳴や助けを呼ぶ声は消えていった。



「ごめんね、香織ちゃん」



 トンっと優しく背中を押される。その瞬間、私も画面の中へと吸い込まれた。

 画面に入らないようにと必死になっていたせいか、誰が私を押したのかわからなかった。



「ここは……」

「西田!……よかった、じゃねぇか。お前もパソコンの中に来ちまったんだもんな」

「広瀬……ここに、もう全員いるの?」

「多分な。それよりお前……なんだかここに来てからおかしくないか?」


「……どこが?」



 ステージはビル……かな。エレベーターは使えないだろう。今何階にいるのか、それを把握しなければならない。


 階段で移動となると体力勝負だ。

 制服は白のポロシャツに白のベスト、膝にかかるくらいの灰色スカート、まぁ、動きずらくはない。




「……待って……私、おかしいのかもしれない」



 何を考えているんだろう。

 ここがどうしてビルなのか、違和感もなかった。

 エレベーターだって、動くかもしれないし、動きやすいとか、ずらいとか、何でこんなことを?



「どうしたんだよ、西田……」

「記憶は無くても、身体は覚えてるみたいだね。よかったよ、まだカオリちゃんはカオリちゃんだ」

「成、ちゃん……?」


「私は、もうほとんど役立たずだけど一緒に生き残るよ。私の目的のためにも、カオリちゃんの大切な人達のためにも」



 あんなことが起きて冷静な自分も、成ちゃんも、怖いと思った。



「何三人で話してるの……。ここがどこか、これからどうなるのか、何が起こるのか、何一つわかっていないのに!」

「リン、落ち着いて。ここは最初の場所、何も起きない。でもこの場所からでたら殺されるかも……。戦わなきゃ、殺される」



 何も起きないなんて、何でわかるんだ。

 殺されるなんて、何で、わかるんだよ。



「それに、どこかの部屋に武器が隠されてるはず」



 そんな情報、誰から教えてもらった?確信なんてない。



「カオリちゃん、すごいね。やっぱりここに来てよかった。思い出せるよ、きっと。でも、過去なんて辛いだけかもね」


 思い出したくないわけじゃない。

 でも知ったところでどうするんだ。

 失ったクラスメイト達を取り戻して、私はどんな顔をして会えばいいんだ。私だけ助かった、そんなの、おかしいじゃないか。



「……武器、探さなきゃ。広瀬、皆を四人一組にして行動させて」



 だんだん心が冷たくなっていくような気がした。

 記憶を無くして孤独になって、辛かったあの時みたいになる、そんな感覚だ。


 そんな冷たい自分を見せたくなくて、一人で動く。誰もいないビルを一人で歩くのは、普通怖いものだ。でも、そんな恐怖なかった。



「……あった」



 ボロボロの壁に刺さった刀。その下には腰に掛けられるよう用意されたベルトと鞘まである。


『カオリ……戻ってきたんだね……』



 黒髪ロングの女の子。

 セーラー服を着ている。

 私と同じ刀を持って、悲しそうに笑っている。見覚えのある女の子だった。



「私を、知っているの?」

『私はアヤ、あなたと楽しい一年間……は送ってないね。卒業は出来なかったから』


「……あなた、死んでるの?」

『あははっ、違うよー。身体がないだけ。固まってるからね』



 そういうことか。アヤと名乗った女の子は透けていた。



「……私は、覚えてないけどあなた達を置いて私だけ助かったらしいよね。ごめん……」


『謝るなんて……確かにあなたはカオリだよ。でも、弱い。そんなので私たちを助けられるの?今ここで、私はあなたをこの世界に留めようか?その方が皆仲良くここで死ねる。そうしようか』



 アヤは冷たく言った。

 そしてその瞳を赤く染めて、刀を構えた。

 なるほど、私を試しているのか。



「前の方が強かった?今は弱い?そんな風に思うのは勝手だよ。でも事実はどうだろう?私は本当に、弱いかな」



 刀を扱うのは始めてだ。

 でも出来る。きっと大丈夫。



『……私は、人間相手なら刀で負けないよ』

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