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リアルキルゲーム 〜白の呪い〜  作者: 沙乃
リアルキルゲームver.2
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【救いゲーム】一話目。

 何時間たった?何日たった?もしかしたら、何年、かもしれない。俺はずっと戦っている。

 あの白い空間で。



「……ははっ……お前、マジであの晶か?」

『……さぁ?俺は、俺でしかない。それ以外無いだろ?』



 カオリは今、日常を送れているだろうか?

 俺は今、仲間として絆を結んだはずの相手と殺し合いをしている。


 意味がわからない、本当に。

 異常すぎるくらいの強さが、晶には元からあったのか、それとも何かのきっかけで宿ったのか。

 カオリがいつ脱出したのか、それすらわからなくなっていた。この世界には時間がないからだ。



「お前冷たくなったなぁ……。俺によろしくを断られた時は死のうとしてたってのに……」

『そうだね。そうだったね』



 にこりとも笑わない。

 顔が変わらないのだ。冷たい目をしている。



「何でそんな……何も感じないような、まるで人形みたいな顔しか出来なくなってんだよ!!お前はお前らしく、ヘタクソな愛想笑いでもしてろよ!」



 黒羽晶は、黒羽晶らしく、笑って欲しい。

 それは俺の今の望みだ。


 晶は雪村彩夏が刺された瞬間に放った言葉を聞いて、それから変わった。

 どうやってやったのかは知らないが、灰山成をこのリアルキルゲームから追い出したのも晶だ。

 追い出したというよりは、殺した(・ ・ ・)という表現の方が正しい。

 治すことしか出来なかったあの晶が灰山を殺した時は驚いた。



『リクもそんな状態で余裕だよね。ここまで耐えたのはすごいと思う……うん、本当に』

「ありがとよ……俺も自分を褒めてるところだ」



 壁に寄りかかって鈍い痛みのある脇腹を抑える。ずっと一緒に戦ってきたスナイパーライフルを持っている右腕は脱力して、指先の感覚はない。

 どこで打ったのか、頭からは血が止まらない。



「いってぇー……」



 最悪な状態だ。

 晶は何も無いところから武器を取り出しては俺を殺しにかかった。でもその武器のほとんどが刺したり、切ったりするものではないことを考えると一撃で殺す気はなかったんだろう。

 俺が晶の攻撃を受けたのはほとんどが拳や蹴りだった。あの非力だった晶を思い出すと、まだ信じられない。



「何でお前そんなすごいこと出来るようになってるわけ?魔法使いかよ……」


『……それはね、簡単なことだよ。灰山を殺した俺はこの世界を手に入れたから』

「なるほどな……。じゃあもう一つ、雪村彩夏は、お前の何だ?死んでるアイツを蘇生させるなんて、驚いたよ。お前はアイツを殺そうとしていたのに」



『…………彩夏は俺の……恩人だ……』

「ただの恩人?面白い冗談だな。恩人のためにそこまでしねぇっつーの……」



 晶はきっと自分を見失っている。

 だから、自分のしてきたことの間違いばかりを見つけて、わけもわからず暴走しているのだろう。

 俺はそれを止めなきゃいけない。

 まぁ、どうしたって元の世界には帰れなさそうだしな。



『俺は、ただ彩夏に笑って欲しいだけだ。普通になって欲しいだけだ。失ったものを取り戻して欲しいだけだ。生きて欲しいだけなんだ!』



「諦めろよ!!お前が蘇生した雪村彩夏は生きていても死んでいる(・ ・ ・ ・ ・)だろ!話す事は出来ない、もちろん、笑うことも出来ない!失ったものを取り戻すことなんてもっと無理だ!!……っ、それが、わからないのか!」




 雪村彩夏は、生きている。貫かれた心臓を晶が治した。

 だが彼女は目を覚まさない、今も。




『わからないよ。そんなの、わかりたくないよ』

「……もう、やめてくれよ。お前が何を願い望むのか、わかった気がしてたんだけどな……」



 何を言っても無駄だとわかった。

 俺ももう、限界だ。

 一歩も動ける気がしない。



『そろそろ、楽になってほしいな』


「お前それはひどいぞ……死ねって言ってるんだから」

『まぁね。俺は、守りたいから。誰を殺してでもさ』



 そう晶が言うと黒い影のようなものが俺の腕にぐるぐると巻き付く。縛り付けられたような格好になり、俺の動きは封じられた。いよいよ終わりか、と覚悟を決めて目を閉じると、頭を手で掴まれる。



「……おいおいリーダー、情ねぇぞ。なんだそのザマは」

「ッ!?」

『誰?君……』



 この声、いつぶりだろう。

 このやんちゃな声、幻聴じゃない。

 でも、そんなわけない。だってアイツはもう死んだんだから。



「主催者側なのに俺のことわかんないわけ?」

『……まぁ、誰であろうと殺すよ』

「それは困るなぁ。俺の大切なクラスメイトを殺さないでくれよ」


 目を開いてみる。

 間違いない、コイツは……



「俺はヒロト。ラスボスまでたどり着けなかった弱者様だぜ」




 俺の目の前に現れたのは、死んだはずのヒロトだった。

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