True End.
……目が覚めたら妙にスッキリしていた。
床は固くて、身体中痛いけれど、頭はスッキリしていて悪くない状態だと思う。
窓から見える景色は綺麗で、晴天な今日の日差しが眩しかった。
外からは元気な声が聞こえて、運動部が部活をしていることが予想できる。登校してきた生徒たちは「おはよう」と挨拶を交わして今日という一日の始まりを知らず知らずに実感しているのだろう。
私は、そんな光景をみて静かに涙を流した。
理由はわからない。ただこの日常が、数時間まで遠いものだった気がしたのだ。
頬を伝う涙は暖かくて、これは悲しい涙じゃないと思った。
ゴシゴシと涙を拭いて気がついた。
ここはパソコン室だ。一体自分はなぜここにいるのだろう。朝からここで寝ていたのか、と覚えのない考えが頭を過ぎる。
手のひらは真っ赤になっている。まるで重たいものをずっと持っていたかのようだ。
スカートはビリビリに破けていてミニスカート状態だ。
タイツも所々破けているし、破けているところにはかすり傷がある。
一番おかしいのはセーラー服の右腕の部分がパックリと切れていることだ。腹部のほうには穴が開いている。
何だ、これは……。
誰とどうケンカしたらこうなるんだ。
転んだってここまで酷くはないだろう。
これを誰かに話さなければ、というおかしな義務感に襲われ走ってパソコン室を出る。
右に曲がって少し走り、左に曲がれば教室だ。
さっき時計を見たがこの時間なら皆集まっているだろう。
…………………………皆って、誰だ……?
教室の前で立ち止まる。
誰もいない。
ここは私の教室。一学期二学期と過ごしてきた教室。
三年一組の教室のはずなのに、まるで最初から誰もいなかったかのように誰もいない。
私は、クラスメイトの名前を思い出せないことにそこで気が付いた。
やけになって席に書いてある名前を見てみる。
大石明、山川浩人、沼部穂乃、澤村美香、高橋綾、横山渉、佐伯友理、相川菜緒、真鍋涼、中里芽莉、茅原啓、 川上大樹、野中隼、中沢陸、日田葵、林堂彩佳、小暮真……。
まだまだいた。
でもわからなかった。顔が浮かばない。
「ぁ、わた、し……忘れちゃ、いけないことをっ!!」
忘れた。
何があったのか、それすら思い出せないけれど自分の中の友達という存在を忘れたせいか、私は今まで感じたこともない孤独を感じていた。
ドクンドクンと鼓動が早くなる。息も過呼吸気味になって視界がぼやける。
「はッ……はぁッ……ごめ、なさいッ、ごめんッ……!」
なぜか私は、誰かに謝っていた。
そんな私を担任教師が見つけてすぐに救急車に乗り大きな病院に入院することになった。
あとから母親から聞いてわかったことだが、私のクラスメイトは全員行方不明になってしまったらしい。
私たち三年一組はなんらかの事件に巻き込まれ、私だけが助かったということになった。記憶を無くした私は、親からしてみれば辛い記憶を思いださなくて都合が良いみたいだった。
クラスメイトを失った辛さなど、私もわかりたくもなかったから私にとっても都合が良いことだ。
でも時々、夢に見るんだ。
誰だかわからない人達が私を庇って死んでいく夢を。
その夢の中で私は泣いていた。
何でかわからないけど手を伸ばして泣いている。
いつも、それに耐えられなくなって目を覚ますんだ。
「……ごめん、なさい…………」
私はその夢を見ると、誰かに許してもらうかのように謝る。
それが癖になってしまった。
だから私は忘れてしまった自分の罪を思い出すために生きる。
今日も、明日も、明後日も、私はきっと、生きている
リアルキルゲームver.2へと続く。




