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Happy End.

 ……目が覚めたら妙にスッキリしていた。

 床は固くて、身体中痛いけれど、頭はスッキリしていて悪くない状態だと思う。


 私はパソコン室の明るさを感じ、ここが現実だということを認識した。

 そして周りを見渡すと死んでいったクラスメイトや、固まってしまったクラスメイトがちゃんと生きている。ただ気絶しているだけだった。


「よかっ、た……生きている、私も、みんなも……!」

「かお、り……?」

浩人(ひろと)!!私、頑張ったよ……!」

「ありがとな……助けてくれて、ありがとう」


 大粒の涙が頬を伝う。

 嬉しかった。みんながいるということが。

 望んでいた現実に帰還できたということが。

 数分後、みんなが目を覚まし始めた。

 武器は持っていなかったけれど、傷は治っていない。制服の擦り切れている部分などをみるとあれは夢、とは言えない。


「……香織、その、撃っちゃってごめん。私あの時……」

「いいよ。美香が無事ならそれでいい」


 あんな死に方をした幼馴染みなんか、もう一生見たくない。

 抱き合ったり、泣いたり、笑ったり、喜んだり、みんなはすごく騒いでいた。

 そんな中、私の席のパソコンの電源がいきなりついた。みんなは気が付いていないようだけど、私と浩人はすぐに気が付いた。


 そっとマウスを触る。

 するとそこに写し出されたのは晶の姿だった。テレビ電話のようだ。


「晶……!?」

『あ、無事帰還ってとこかな?こっちもこっちでいろいろ解決したところ』

「彩夏さんは?」

『治したよ。灰山はなんとかして倒したら現実世界に帰っちゃったみたいだ。もともと外の化け物だったらしいし』


「そっか……晶は戻ってこないんだよね?」

『うん。俺はもう、死んでるから』


 晶は苦笑いで私の質問に答えた。

 でも辛くはなさそうだ。

 親友に会えないのは仕方ない。だって私の親友、佐蛍晶はもう、死んでしまっているのだから。


『カオリ、今回は巻き込んじゃってごめん』

「いいんだよ。会えてよかった」

『……現実(そっち)で、頑張って生きてね。俺はゲーム(こっち)で彩夏と頑張るから』


「うんっ……一生のお別れはずいぶん前に済んだはずなんだけどな……もう会えないのは悲しいよ」


 晶との別れは、唐突にやってきたのに今回は唐突ではない。だから、涙の我慢ができなかった。


『何言ってるの?俺はもういない。カオリには、今の仲間がいるじゃないか。悲しくなんかないよ』

「……あははっ、そう、だね……」


 そうだった。

 過去にばかりとらわれていないで今を見なければいけないんだ。

 私にあたえられた絆は、今の仲間のものなのだから。


『……またいつか』

「うん、またいつか……」


『「会えると信じて」』


 プツンとパソコンの電源が落ちる。


 その後すぐに先生たちが駆けつけた。

 あまりにもひどい状態の私達をみて、すぐに救急車を呼んだためバラバラの病院に入院になった。

 不思議な事件だったせいで、警察はしつこく私達を訪ねてきたが、私達は暗黙の了解で、「何も覚えていない」を貫いた。

 だから私達以外は誰ひとり知らない。

 あのリアルキルゲームの存在を。


 しばらくして退院したみんなと数日教室で過ごすと、すぐに卒業式の日がやってきた。


「お別れだねー」

「まぁな。また会えるだろ」

「違う。また、会うんだよ」

「だな」


 誰一人欠席はなく、卒業式の席はうまった。



 卒業という言葉が結んだ絆をほどいてく。

 最後に見渡した教室は余韻ばかりが響いていて、戻れないことを感じた。


「ありがとう、大好きなみんな」


 これからは別の道。

 また、集合場所で会うまでのお別れだ。

リアルキルゲーム完結。

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