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リアルキルゲーム 〜白の呪い〜  作者: 沙乃
【中学三年】第二ステージ
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十二話目。

「俺は、お前らを(・ ・ ・ ・)殺す(・ ・)存在(・ ・)だ」


「……え…………?」

「そ、それって……敵ってこと…………?」


「あぁ、そうだ」


 そう一言冷たく吐き出すとDBは持っていた銃をリクの頭に向けた。


「DB……撃つのか」

「当たり前だ。俺は敵だぞ」


 誰も止めようとしなかった。

 止められないと思った。

 固まって、動けずにその状況をただ見ている。


 私は、息をするのを忘れていた。

 声も出ない。


『待て、命令違反にしても最悪だ。消されたいのか?』

「っ!?だ、誰……」


 現れたのはたった一人の少女。

 ロングの白髪の髪が印象的な子。白いワンピースを来ていて瞳は赤い。これはアルビノというものなのだろうか。

 DBの腕を掴み、じっと睨んでいた。


「何でアンタがいるんだよ」

『私が監視役だからだ』


「監視、役……?貴女は、主催者なの……」


『……そうだな。本当はこんな所で姿を見せるはずじゃなかったんだが……まぁいい。ほんの少し予定が狂っただけだ』


 ドスッという音が聞こえるとDBはその場に倒れた。あのDBが細い女の子の腕が当たったくらいで倒れるなんてあり得ない。

 この子は普通じゃない。


『私は主催者側の一人、雪村彩夏(ゆきむら さいか)だ。君たちをこのゲームに招待したのも、ゲームをアップデートしたのも、このDBを生み出したのも私だ』


 やる気の無さそうな声で話続ける彩夏。

 私たちにまるで興味が無いようだ。


『とりあえず、お前ら……カオリ、リク、ミカ、DB、レイナ、意外は止めておくか。話をするにも騒がしいし鬱陶しい。もう少し第一ステージで殺しておくんだったな……』


 止めておく、と言ったとたんに私たち意外のクラスメイトは時間が止まったかのように止まった。

 驚いた顔、笑っている顔、さまざまな表情でクラスメイトは話をしていたようだ。


「お前何なんだよ、いきなり現れて!」

『助けてやったのにその態度はなんだ。そうか、死にたいのか』

「んなわけねぇだろ!!」


『私に落ち着いて話をさせろ。殺すぞ』

「っ…………」


 ただの『殺すぞ』という言葉が冗談に聞こえなくてついつい黙ってしまった。

 見た目的にも年下な女の子が怖いなんてこんなの一生体験しないだろう。



『……まず、第一ステージクリアおめでとう。本当はこの後七不思議と戦って欲しかったんだがレイナがこうなっている以上不可能かもしれないんだ。だから君たちには2つの選択肢を与えようと思う』


「選択肢……?」


『あぁ。ここで全員死ぬか……、DBとレイナと殺し合いをするか…………どちらかだ。DBは命令違反をするし、レイナはもう敵として使えないからな。さぁ、どうする?』


 最悪だ。

 全員死ぬのも、仲間だった、いや、仲間だと信じているDBやレイナと殺し合うのも嫌だ。

 そもそもあの二人に勝てるとは思えない。


「どちらも選ばない、と言ったら?」

『お前ら以外の止まってるクラスメイトを殺すだけだが?』


 当たり前のように答える彩夏を見て寒気を感じた。

 殺す(・ ・)と言うのはそんなに簡単に言ってはいけない言葉なのだ。なのにそれを動じず言うなんて……。


「彩夏……さん、を倒すってのは有り?無し?」


『………は?…………………フフッ……アハハハハハッ!

 それは私にも思い付かなかったぞ!!

 プレイヤーが主催者側を殺す?そんなの誰がやるんだよ!バカなのか?面白いじゃないか!!』


「た、確かに、主催者に挑むのはバカかもしれません。けれど、死ぬのも信頼している人との殺し合いもしたくないんです!!」


『はぁ?コイツは私が作ったお前らを殺すNPCだぞ?信頼なんてしてたのか?』

「ッ……貴女が私たちのことをどう思っているかは知りませんけど、DBは私たちの仲間です!!!」


 どんなときでも仲間を思い、自分の命を犠牲にしていた。そんなDBがリクに銃を向けたことは、揺らぎもしない事実かもしれない。

 それでもいい。事実は事実。今の事実(・ ・ ・ ・)。そんな事実、すぐに塗りつぶしてしまえばいい。


「……雪村、彩夏…………俺は、お前を殺す……」


 起き上がったDBは彩夏のことを一発の銃弾で撃ち抜いた。

 いきなりの出来事だった。

 赤く染まる彩夏の腹部。じわじわと服に血が滲んでいるのに、平然と彼女は立っていた。


『予想以上にお前は壊れているようだな。

 なぜだ?お前はお前だ。それ以上を求めているのか?』

「痛く……ないの…………?」


『何を言っているんだ。こんなの、痛くも何ともない。この程度で死んでしまうのはお前らみたいな奴らだろう?私はそんなに弱くない。腕を下ろすだけでお前らの仲間の一人くらい殺せる。

 …………つまり、人間扱い出来るほど私は可愛いもんじゃないのさ』


 そう言うと彩夏はDBを睨んだ。

 自分のつくったNPCに撃たれると言うのはやはり不快なものなのだろう。


 彩夏は人間じゃない。

 DBも人間じゃない。

 非現実が集まるなんて、気味が悪い。今さらだが。


「化物だな……」

『お前も十分な化物だろ?DB。私につくられたお前がなぜ私に銃を向ける?』

「お前のことが大嫌いだからだ!さっさとここから消えろ!!!主催者は主催者らしくゲームに参加するんじゃねぇ!」


 あの冷静なDBが大きな声を出して怒鳴っている。

 すると彩夏はため息をついてなぜか笑顔になった。


『…………なるほどな。わかった。

 では私は消えよう。…………お前ら、ゲームをクリアし、私の所までこい』


 彼女は消えた。

 現れた時のように唐突に消えていった。

 最後の彼女の言葉は、私たちに生きていて欲しいということなんだろうか。

 それとも、私たちを自らの手で殺すためなんだろうか。




 ただ一つわかることは…………



 雪村彩夏、彼女は、私たちの敵だ。

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