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アフターワーズ  作者: kéi-àpple
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13/18

2008年4月(2)

けいは今年でもう勤続3年目であった。今年で派遣の契約は終わる決まりと成っていた。正確には来年の4月末日まで契約はあった。その後ははおそらく他の店舗への移動の話があるだろうと思った。しかしクライアントとなるブランドの"CAGLIARI"は東京に1店舗しか無かった。他は大阪と名古屋にあるのみだった。


新宿の百貨店の1階鞄財布売り場に商品を置くようになり3年が経つ派遣販売員を置く事で売上げに貢献してきた。この2年で仕入れ数も増えた。現在では新製品は全品を揃えていた。棚割りについても人気ブランドは上の指示で決められた通り前面に置かれるが2番手3番手の棚割りは派遣販売員の有無で決まっていた。


けいはこの売り場の一番のベテランという強みを生かして全ラインナップを一つの棚に集め"カリアリ"棚と呼ばれるコーナーを作っていた。人気ブランドの後ろではあるが目立つ位置であり、お客様も思わず手に取ってしまう様だった。


けいはこの2年間自分の担当ブランドよりも人気ブランドや他の販売員のブランドまでも積極的に販売してきた。そんなけいのがんばりは売り場全体の売上げに貢献しその見返りとして担当ブランドの展示数を増やし仕入れ数を増やしていった。また他の販売員もお返しにけいのブランドを販売してくれるのだ。結果的に自身の担当ブランドの売り上げも自然に上昇していった。


先月、3月の末に仲の良かった売り場主任の伊東が言った事を思い出していた。けいは伊東が居なくなる寂しさと心細さから相談を持ちかけた。2人だけの飲みに行ったのは初めてだった。ミキや丸山が居た頃は良く帰りに飲みに行ったのだが、それ以降で飲みに誘ったのは初めてだった。伊東は本部の営業部へ異動になると告げた。店舗のマネジメントに関わる部署であり出世コースであった。直ぐに係長になり売り場に戻る頃はフロア長になる筈だ。


「今のお前なら出きると思う」


伊東はけいが正社員に成りたくない過去を聞いていた。人付き合いの苦手な性格で仕事の付き合いが嫌いだった。もちろん好きになった訳でも慣れた訳でも無い。伊東が言いたいのは、けいにはそんな事で負ける様な弱さはもう無いだろうと言ったのだ。伊東は最後にけいに言った。


「水野の事はちゃんとフロア長に言って置いた」

「え?」


と、けいは聞き返した。この2年間がんばったのだから当然そうなると言いました。もちろんフロア長に人事権は無いが推薦は出きると言う。後1年はこのままがんばって欲しいとお願いされた。けいを社員化する話をしてくれた様だった。伊東は高卒で正社員だがけいは派遣とは言え大卒だ。日常英会話もできるしスキルは上だと褒めた。褒められたけいも素直に嬉しく思えた。

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