王将召喚
目覚めると、そこは..
見回すと、壮絶な光景が広がる。
厳かな雰囲気の聖堂に、死体の山。
私はその中心に座っている。
足下を見ると、蛍光色の紋様が回転していた。
飲み屋のネオン?(´・ω・`)
さて、私を召喚した者は何処であろうか?
生け贄てんこ盛りの贅沢召喚とかありえんのだけど。
逆行で照らされつつ、私は座り込んだ。
見渡す限り、生きている者はいない。
何のために、誰が、私を呼んだのか?
楽しい話ではないだろう。
人間とは、自分勝手で強欲だ。
呼ばれたモノが、その世界に適合するとは限らないと言うのに。
まず、肉体が保てるか?
同じ成り立ちの生物だとしても、その空間に存在できる肉体とは限らない。
呼ばれたモノが保有するウイルス、そしてその呼び出された先の空間の常在菌が果たして有害か無害か。
楽観ご都合主義の物語ならいいが、グロスプラッタはいただけない。
異世界ハーレムで口づけをし、そのまま溶け崩れたら笑えるけど。それとか、バイオハザードで新種誕生とか。
まぁ、笑うのは私だけだろうが。
今回の召喚は、私の周りを見るに、限定的に私の空間毎、この世界に割り込ませたようだ。
今のところ、足下の小さな召喚陣から出なければ、生物災害指定種にはならないはずだ。
だから、召喚者、はよ、はよ出てこいや!(# ゜Д゜)
と、念じていると死体の向こうから何かがはいずってきた。
ちなみに、私は、ごく普通の女だ。
仕事した帰りに酒飲んでいたところまでは、記憶にある。
趣味は、サバゲーとホラースプラッタ映画鑑賞。グロいの見ると爆笑する方の人。
今まで冷静に座っていたりするのは、酩酊レベルが振り切れていただけだ。
そいで今は、居酒屋のでかい王将飾りを抱えている。
駄目じゃん、武器なしでソンビ。(´;ω;`)
這いずってきたのは、サダさんみたいなロン毛の女だった。
片目が飛び出して、肋骨見えなきゃ、可愛いかもって感じ?
否、自分、ここでゾンビエンドってどーよ?
と、酔っぱらい中枢が下らない脳処理をする。
すると、私のバカっぷりが伝わったように、私を囲む死体が動き出した。
わー、たいへんだー(゜ロ゜)
王将は武器にならない、今日はヒールじゃなくて通勤用のスニーカーだし、ポケットには濡れたハンカチしかない。さっきトイレで吐いた...あっ!バックカウンターだし、携帯忘れた。
結局、まわりは芳ばしい感じの死体に取り囲まれた。
山になってたの、皆、立ち上がってるし。
そして、這いずっていたサダが、ぶるぶる震えながら床上から私を見た。
「なんて素晴らしい死に顔でしょう!さすが我らの神様、どうか、その恐ろしいご尊顔にて我らをお助けください!」
やっぱり、もう少し高い酒を注文しとけばよかったかな...悪酔いしてんのかな‥
つーか、死んでないし!吐いた後でノーメイクだから?なにげに、失礼じゃん、おまいら(-_-)