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さいじゃくのさいきょう

 ハゲに乗せられたものの、明日はゲーム初日以来のフィールドに出なくてはならない。

 憎き最弱ゴブリンのいる<はじまりの草原>どころか攻略組みの進んでいるダンジョンまで到達し、なおかつその中を進まなければいけない。

 Lv.1で行けるか?行けるわけがない。


 というわけで、どうせ途中で死に戻りするだろうから本を読もう。

 いくら時間はあれど、本は待ってはくれないのだ。(キリッ



 さて、魔法を使う際、このゲームでは必ず触媒が必要となる…らしい。

 ハリー何とかさんの鶏の杖だったり、ロード・おぶ・なんちゃらさんの指輪だったり、何かしら力を持つものを使う必要がある。

 そして、魔法の詠唱。場合によっては詠唱中にぶった切られるという悲しい魔法使いの法なのだ。


 詠唱のほうは熟練度、つまりLvによって無詠唱ができるらしいから、それができるレベルまで頑張れよとなるんだが、誰もが嫌になるくらい面倒くさい。

 呪文を覚えなくてはいけないし、敵に屠られる前に詠唱して潰さないとLvがなかなか上がらない…らしい。

 これのせいで俺はゴブリンに負けたんだ。決して、けっしてぷれいやーすきるが未熟だとか、動きが鈍いとか、顔の前に垂れているアンコー族独特の疑似餌が気になって仕方なかったとか、そんな理由で負けたわけじゃないんだからな。



 話を戻して、魔法を使う際の触媒についてだが、これが無いと魔法が使えないわけだからどうしても必要になる。

 しかし、これが高いのだ。種族がアンコーだったために魔法使いに必要な初心者の杖は支給されず、店で扱っている物は最低3000マネはする。今の俺には買えない。


 そんな中で、ひとつの救世主が現れた。

 本よ! やはり貴方は私のメシアだった!


「超簡単図解 魔法使いの触媒の作り方」


 この本があれば、俺は、やれる!


 そんな気がする。





作業その1

 「超簡単図解 魔法使いの触媒の作り方」を全部読む。


作業その2

 「超簡単図解 魔法使いの触媒の作り方」を丸写しする。


作業その3

 こんなのあったら良いなっていう思い付きを書き出して、写した「超簡単図解 魔法使いの触媒の作り方」の後ろのほうに一緒に乗せる。


作業その4

 丸写ししたものの方を本として完成させる。


作業その5

 MP(魔力)を注ぎ込んで魔道書に。


 以上で作業は完了だ。



 何をしていたかというと、触媒について書かれた本をコピーして、魔道書化したのだ。

 この作業の意味は、タダで触媒が手に入る。タダだ。写した紙の代金だとかそんなことは気にしてはいけない。


魔道書というのは普通の本とは少し異なる。この本の場合は、図説であることが重要だ。図、つまり詳細な絵が描いてあるこの魔道書は、その絵をゲームの中で実体化できるのだ。

 ただし、自分の書いたオリジナルの魔道書でのみこの効果が得られることになっている。なのでただの丸写しでなく、自分の思い付きも作業その3で書いておく必要があったのだ。


 この「ぼくのかんがえたさいきょうのしょくばい」で、「ぼくのかんがえたさいきょうのまほう」を使えば無敵なんじゃないの?とか思いながら、今日も今日とて引き篭もるのでした。







________________________________________________________________________

ステータス:


<Name:ラビック>

種族:アンコ―

Sex:male

Age:17

Lv.1(010/500)


Coin: 2575マネ


HP:150

MP:180


STR:15(20)

VIT:10(15)

INT:28(28)

DEX:8(8)

AGI:15(20)

LUC:15(20)

※()は水中内。


称号:<唯一のアンコ―>、<絶滅危惧種>、<最弱に負けた最弱>、<本好き魚>


祝福:<アンコ―神の守護>


スキル:<翻訳Lv.18>*、<筆記Lv.17>*、<速読Lv.15>*、<記憶Lv.20>*、<MP吸収Lv.11>、<MP回復Lv.11>、<全属性魔法Lv.12>、<料理Lv.8>、<調薬・調合Lv.10>、<格闘術Lv.8>、<鑑定Lv.10>、<>、<>、<>、<>


装備:初心のベスト、初心のハーフパンツ、初心の靴


所持品:初心のペン、初心の杖、錆びかけて折れたナイフ、皮紐 3本、本:5冊(剥ぎ取りの極意、かんたんレシピ・お金が無くて大変な時用、創世の書(笑)、図説 触媒)




________________________________________________________________________

補足:


スキル:

<全属性魔法>

名前どおり。そのまま。特に説明の必要は無いかと。


<料理>

現実には無いものでもゲームの世界では料理できるようになります。現実でできない人でも。


<調薬・調合>

混ぜ物が好きな人、薬やクスリが好きな人は自分で作れると良いんじゃないかな。


<格闘術>

特に流派とかは無いけれど、使えればきっと便利なはず。


<鑑定>

そのものの本質を暴き出す。知りたくない真実もあったりする。



本:

<図説 触媒>

 25ページの「超簡単図解 魔法使いの触媒の作り方」の丸写しと、ラビックの考えた触媒を5ページくらい使って、合わせて30ページの触媒に関する本になっている。

 元々、「超簡単図解 魔法使いの触媒の作り方」にはありとあらゆる触媒が乗っており、これが使われたらゲームバランスが崩れるとGMゲームマスターは反省している。でも作ってしまったことに後悔はしていない。

 中に書いてある触媒はいくらでも取り出せていくらでも使い倒せるというありえない設定になっているので、バグとして早急に修正すべきだと思われる。しかし、最弱のゴブリンに倒されたラビックにGMは同情している模様。

 触媒だけが強力でもその分MPが多くないと大魔法は打てないので、今のラビックには無用の長物である。


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