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ただひたすらに涙する

 ログインしてからの魚人・ラビックの生活は忙しい。


 まず、趣味にしている読書をするために図書館へ向かう。ログイン場所がアンコ―神の神殿であるために地味に長い距離を移動する。移動中の道での美味しい匂いや煌めく光り物に目を奪われながらも、新しく高いペンや高級紙に誘われつつも、誘惑を振り払って目的地へ辿り着かなければいけないのだ。神の試練ともいうべき、苦行でしかない(注:ラビックにとってです)。


 目的地である図書館に到着したなら、次なる試練が待っている。本がたくさんあるのだ。どれから読めば良いのか。どうせなら一度にすべて読んでしまいたい。だけど手に取れるのは一冊の本だけ。我慢だ我慢。ラビック、君は出来る子だ。誘惑に負けてはいけない。一冊一冊、丁寧に、傷付けないように、最大限の注意を払いながら読み進めるのだ。欲望に打ち勝つのだ。


 そうこうしているうちに午後を過ぎる。腹が減る。腹が減ってしまうのだ。

 食事をとるには金が要る。金を稼がなければいけない。

 しかし、フィールドに出ても満足に自分は戦えない。素材が取れない。本と離れられない。

 だがそんな私にも出来ることがある。本を書くことだ。

 大切な本で、神聖なる本達での金稼ぎなど、したくない。本当はしたくは無いんだ。だけれども、金を稼がないとこの世界でも生きていくことは出来ない。残酷な社会だ。どうせ自分は世界を廻す歯車の一つなんだ。いくらでも代用が効くんだ。鬱になりながらも本を書く。店に売れるだけの叡智を詰め込んだ本を手書きで作成していく。丁寧に、赤子を扱うかのように。

 完成された本を山にして深く深呼吸する。別れなければいけない。さよならしないといけない。ああ、誰かこの悩みを分かち合ってくれる人は居ないのか。ああ、無情。


 図書館を出て(そこにあるたくさんの本達との感動の別れをし)、裏通りにある一軒の本屋に向かう(ああ、ここにもたくさんの本達が。スーハ―スーハ―クンカクンカ)。そこの店長である渋い爺さんに涙ながらに鑑定をしてもらいながら売る。愛しい我が子を身売りしてしまうことに心を痛ませながら爺さんの集めた本に癒しを求める。断じて浮気ではない。


 爺さんの本に別れを告げ、表通りの露店をめぐる。空腹度が満たされるだけの軽い食事を終えたら一目散に図書館に戻る。会いたかったよ、愛おしい本達よ。これでまた君たちと交流できる。感動の再開だ。神の試練に打ち勝ったもののみが与えられる天国に今私は居るのだ。


 本の海を泳ぐ幻想を抱きながら、次々と本を読み進める。

 私の、私だけの一冊の本をいつか絶対に見つけ出して見せる。と心に誓いながら。




- - - - - - - - - 


【なんだ】図書館の住人【これ】


001:図書館の名無しさん:ID:7wjvnwjnq

攻略スレPart2.5の>261だが、

>267に言われた通り度肝を抜かれないように気を付けながら大図書館に向かったんだ。



奴は、なんだ!?


002:図書館の名無しさん:ID:oma1nuke0

kwsk


003:図書館の名無しさん:ID:e4uho6bar

kwsk


004:1:ID:7wjvnwjnq

大図書館の中に入ると小さなカウンターがあって、その奥に大きな本棚が並んでいて、合間に不規則に机が置かれているんだ。


司書らしいカウンターで本をいじっている爺さんの他は誰も見えない。ガラガラで静かな空気が流れていた。


誰も居ないだろうと、>267に騙されたと思いながら本棚のわきを歩いて軽く人を探したんだ。


そしたら、

いた。


1人というべきなのかどうか

一心不乱に本を読み、

メモを取り、

また新しい本を手に取る


というサイクルを恐ろしく速く続けている奴が。


005:図書館の名無しさん:ID:iagjiefsd

そういう奴が居てもおかしくないと思うのだが。

別に読むスピードが速いからと言って度肝を抜かれるほどじゃないだろう。


006:1:ID:7wjvnwjnq

奴はな、人間じゃなかった。


ヒュームじゃない、


エルフでもない、


ドワーフでもない、


ドラゴニウスでもない、


龍人でもない。


ネタだろうと、


誰も選ぶ奴なんていないだろうとたかをくくってたんだ。


奴には、マジで常識が破壊された


007:図書館の名無しさん:ID:e4uho6bar

ksk


008:図書館の名無しさん:ID:ieqysknsf

結局なんだったんだ?

ksk


009:1:ID:7wjvnwjnq

体つきは人間だが、頭部があり得ない形をしていた


頭にたまたまアンコウがそのまま乗っかっただけなんじゃないかというぐらいに人間らしい、


アンコ―だった。



ギョロギョロと本を読む最中に蠢く目玉がもう何とも言えなかった




・・・

・・




______________________________________

ステータス:


<Name:ラビック>

種族:アンコ―

Sex:male

Age:17

Lv.1(010/500)


Coin: 2575マネ


HP:150

MP:140


STR:15(20)

VIT:10(15)

INT:28(28)

DEX:8(8)

AGI:15(20)

LUC:15(20)

※()は水中内。


称号:<唯一のアンコ―>、<絶滅危惧種>、<最弱に負けた最弱>、<本好き魚>


祝福:<アンコ―神の守護>


スキル:<翻訳Lv.10>、<筆記Lv.9>、<速読Lv.11>、<記憶Lv.15>、<MP吸収Lv.7>、<MP回復Lv.7>、<全属性魔法Lv.7>、<料理Lv.8>、<調薬・調合Lv.5>、<格闘術Lv.3>、<>、<>、<>、<>、<>


装備:初心のベスト、初心のハーフパンツ、初心の靴


所持品:初心のペン、初心の杖、錆びかけて折れたナイフ、藁半紙 30枚、皮紐 9本、本:4冊(剥ぎ取りの極意、かんたんレシピ・お金が無くて大変な時用、創世の書(笑))



-------------補足-----------------


マネ

-藁半紙×150=750

-皮紐×10=50

+本(=簡単魔術・初級編=)×10=2500

-串焼き×7=350

-オレンチジュース×2=200

合計:+1150マネ


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