次があれば本気出す
「お前は誰だ」
ログイン後、待ち合わせ場所で待機していたらいきなりそう言われた。外見にあきれているらしい。いいじゃないか、アンコ―。顔の前に垂れた疑似餌が可愛いと思うんだが。
「お前の感性は分からん」
大丈夫だ。理解されようだなんて思ってない。
「とりあえずフレンド登録な。その後で軽く戦闘だ」
「ほいほい。りょーかいしましたー」
面倒なのでとぼとぼとガフの後ろをついていく。
「一応確認したいんだが、スキルはなに取ったんだ」
メニューを指先で操作してステータス画面を表示させる。
<Name:ラビック>
種族:アンコ―
Sex:male
Age:17
Lv.1
Coin: 2500マネ
HP:150
MP:75
STR:5(10)
VIT:5(10)
INT:5(5)
DEX:8(8)
AGI:5(10)
LUC:10(10)
※()は水中内。
称号:<唯一のアンコ―>、<絶滅危惧種>
祝福:<アンコ―神の守護>
スキル:<翻訳Lv.1>、<筆記Lv.1>、<速読Lv.1>、<記憶Lv.1>、<MP吸収Lv.1>、<MP回復Lv.1>、<>、<>、<>、<>、<>、<>、<>、<>、<>
装備:初心のベスト、初心のハーフパンツ、初心の靴、初心のペン、初心の杖、錆びかけたナイフ
「今のところこんな感じだが。称号と祝福が増えてるな」
<唯一のアンコ―>とか、俺しかいないのかよ。しかも<絶滅危惧種>だし。
「お前は、戦闘系スキル無しって。MP回復とかポーションで済むし。外出る気ないだろ」
「いやいや、本が読めればそれでいいだろ。外出る必要ないし」
「遺跡にもあるぞ、そこまで行くのに確実に戦闘するぞ」
「マ、マホウヲブッパナセバナントカ…」
「魔法は基本補助だから。物理攻撃基本だから」
いや、知ってるが。それだけじゃつまらないだろ。
「個性的なプレイということで」
「お前は個性的過ぎだ、ラビック」
「は、初めて名前で呼んでくれたね」
「その顔でその声でそんなこと言われても嬉しくねえよ。もういいから、とりあえず森行こう。一応ナイフあるしそれでなんとかなる…かなぁ」
いきなり不安そうな声を出すな。
―森の中―
目の前には一匹のゴブリン。ラビックの手の中には錆びついて折れたナイフが一本。
オワタ。
「やーらーれーたー」
―神殿―
ゴブリン一匹に負けるとか無いわ―。ガフも呆れてたし。
500マネ失ってしまった。少ないCoinがもっと少なくなった。がっかりだ。
今日は図書館に引きこもろう。そうしよう。
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ステータス:
<Name:ラビック>
種族:アンコ―
Sex:male
Age:17
Lv.1
Coin: 2000マネ
HP:150
MP:75
STR:5(10)
VIT:5(10)
INT:5(5)
DEX:8(8)
AGI:5(10)
LUC:10(10)
※()は水中内。
称号:<唯一のアンコ―>、<絶滅危惧種>、<最弱に負けた最弱>
祝福:<アンコ―神の守護>
スキル:<翻訳Lv.1>、<筆記Lv.1>、<速読Lv.1>、<記憶Lv.1>、<MP吸収Lv.2>、<MP回復Lv.2>、<>、<>、<>、<>、<>、<>、<>、<>、<>
装備:初心のベスト、初心のハーフパンツ、初心の靴、初心のペン、初心の杖、錆びかけて折れたナイフ