あつあつ、じゅわ~。
小腹がすいたので街に出てみる。最近はプレイヤーの店も増えてきたのか、前よりも活気があるように感じられる。
串焼き、団子、焼き魚などの屋台が軒を連ね、沢山の人が行きかい、沢山の声が聞こえる。
そんな街の音をBGMにゆらゆらと歩いていくと、一軒の店が目に付いた。
定食屋-コッチクンナ-
「来るな」と言われたのなら行ってやろうと暖簾をくぐる。薄暗い店内は人気が少なく、さっきまで聞こえていた街の喧騒が遠くに感じる。
適当な席に座り、テーブルの上のメニュー表を見る。
日替わり定食 250マネ
とだけしか書かれていない。食品サンプルなどあるはずもなく、内容の知らないそのメニューを選ぶしかなかった。
おいしい料理は人の心をつかむ。好きな人を「胃袋でつかむ」と言うことがあるように。
忘れているかもしれないが、このキャラクターは「アンコ―」という地球上のチョウチンアンコウという深海魚を無理やり擬人化したような姿だ。このチョウチンアンコウが実際何を食べてどういった生き方をしているのかは知らないが、深海生物ということで暗い所で引きこもっている陰気な奴なのだろう。まさしく自分にぴったりだ。
だがしかし、食べ物はナニを食べればいいんだ?
6話目くらいの「ただひたすらに涙する」あたりで、露店で軽く食事をとったとかあったような気がしないでもないが、実際串焼きにされた何の肉だかわからないナゾ肉を少し食べただけだ。つまり、この体で肉は食えるらしい。
本当に今更だが、この体について自分は何も知らないことに今気づいた。無知の知だ。無知は罪だ。
ということで、帰りに必ず図書館にこもってアンコ―について調べることを予定に入れる。
かなりわき道にそれた気がするが、おいしい料理は罪だ。
なんか混ざっている気がするが気にしない。おいしい料理が出てくる本はそれだけでおいしい。個人の好みにもよるが、おいしいと感じられる料理はそれを食べただけで幸せになれる。「幸腹○○フィティ」とかそんな感じだ。
以上のことから、自分のこのアンコ―の体は、この都市に住む普通の人の調理する料理をおいしいと感じることができるのであろうか。謎である。
しかも、メニューが日替わり定食しかない。定食という形を保ちながらもその実、メインとなる料理が仕入だったり料理人の気まぐれだったりして、一定ではない日替わり定食。
今日当たりでも、明日ははずれかもしれないそんなドキドキ。を感じるほど食べには来ないが。
「おまちどおさま」
まとまりのない思考をしていると目の前のテーブルに、お盆の上に乗った定食であろうモノが置かれた。店員は結構愛想がない。
とりあえず、「いただきます」。
お盆の上には、バターロールの少し大きめなパンが二つに海鮮系の香りのするスープ。そしてメインは何の肉かは知らないが、分厚いステーキが乗っかっていた。飲み物は、味の薄いビールらしきものが一杯。
味の薄いビールで喉を潤してから、ステーキに手を付ける。アンコ―の上向きのあまり広がらない口に入りやすいように少し小さめに切り分け、その一つを口に運ぶ。
口に入れた途端に広がる肉汁と香草の香り。まだ熱い肉が蕩けるように消えていく。
さらにもう一口。広がる肉汁と香草の香り。口下手な自分には表現できない美味しさで、止まらない。
いつの間にか、ステーキは無くなっていた。
もの悲しさを感じつつも、まだ手を付けていなかったパンとスープを食べて、「スープは海鮮系だけど共食いじゃないよね」とつまらないことをボーっと考えながら、その日の昼食は終わった。
ステータス:
<Name:ラビック>
種族:アンコ―
Sex:male
Age:17
Lv.1(040/500)
Coin: 537マネ
HP:180
MP:5000
STR:35(40)
VIT:20(20)
INT:35(40)
DEX:10(12)
AGI:20(25)
LUC:20(25)
※()は水中内。
称号:<唯一のアンコ―>、<絶滅危惧種>、<最弱に負けた最弱LV.5>、<本好き魚Lv.8>
祝福:<アンコ―神の守護>
スキル:<大図書館司書Lv.2>、<マナ使いLv.1>、<賢者Lv.1>、<料理Lv.8>、<調薬・調合Lv.10>、<格闘術Lv.14>、<先見Lv.5>、<穏行Lv.1>、<>、<>、<>、<>、<>、<>、<>
装備:初心のベスト、初心のハーフパンツ、初心の靴
所持品:初心のペン、初心の杖、錆びかけて折れたナイフ、皮紐 3本、本:5冊(剥ぎ取りの極意、かんたんレシピ・お金が無くて大変な時用、創世の書(笑)、図説 触媒)、アクセサリ(鎖に触媒である指輪を通しただけのもの)
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補足:
日替わり定食 -250マネ




