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~元魔王、読書~

お気に入り登録、ありがとうございます。これからも頑張ります。







ネルヴァは、この日雨が降っているためスライムを狩りに行かず、家で読者に勤しんでいた。本のタイトルは『魔物大全』。正直8才児が読める内容ではないのだが、もともとネルヴァは頭が良かったため十分読める。


いま開いているページは、スライム関連。この前の戦闘で、情報の大切さを知ったネルヴァは、こうしてスライムの生態を事細かに調べているのだ。


パタン、と本を閉じて昨日の事を思い出す。結局、昨日は暗くなってきたということで名前を名乗るだけで別れた。コバルトブルーの髪を持つ少女、フィリア。何故かネルヴァは彼女のことが気掛かりだった。


頭を振り、フィリアを脳内から追い払う。どうもさっきから彼女の事ばかり考えてしまう。


もう一度『魔物大全』を開きスライムの生態を確認する。ネルヴァは、キンググリーンスライムともう一度戦いたかった。そのためにはまず巣を見つけなければならない。巣を見つける手掛かりがスライムの生態に書いてあるかもしれない、そう思い、本を食い入るように見つめる。


「……グリーンスライムは、主に巣の外で狩りを行う。餌を捕まえると、強力な消化液で分解、吸収する。その際、餌の抵抗をなくすため特別な液を分泌し痛覚を鈍くし、消化を助ける。餌を吸収したグリーンスライムは、巣に戻りキンググリーンスライムと同化し、キンググリーンスライムの栄養となる」



なるほど、栄養を吸収したグリーンスライムを追えば、キンググリーンスライムへとたどり着けるということか、とネルヴァは納得する。小動物でも餌にしてそれを吸収したグリーンスライムを追おう。


魔力量が増え、剣が鉄製になり、魔法が使えるようになったネルヴァは、この辺り一帯の魔物には負けない自信がある。出没する魔物が変わる夜は別だが。


この世界では、昼と夜に活動する魔物が異なる。昼は基本的に下級~中級の下位程度。夜になると中級~上級の強さの魔物が活動する。更にこの上に最上級という魔物が存在しているが、これは滅多に姿を現さない。格付けの基準は、下級ならば素人でも倒せるレベル、中級は熟練の傭兵が数人集まって倒せるレベル、上級は熟練の傭兵が数百人集まって倒せるレベル、最上級は一国の戦力を総動員してやっと倒せるレベルである。


キンググリーンスライムは中級にカテゴライズされるが、中級の中でも下位に位置付けされるためネルヴァでも倒せる。


『魔物大全』をネルヴァが読んでいると、ふとある記述が目に留まった。


『中級以上の魔物は、魔石という石が体の中にあり、ひとつひとつがそれなりの魔力を有しているため高値で売れる』


……魔石とは、あのキンググリーンスライムを倒した後にでてきた石のことだろうか。まあ集めて損はないようだ。


また本を閉じて、暫く黙考する。いま欲しいのは雷系統の魔法。雷ならば、直撃せずとも擦るだけで相手を感電させられる。それなりに魔力を込めれば、一撃で感電死を狙えるかもしれない。


きっと呪文を知っていればネルヴァには剣の一振りで使える魔法だ。


だが呪文などネルヴァは知らない。


 呪文を記してある本を探しにネルヴァが書庫へ向かうのは当然のことだった。


────────────


書庫の扉を開け中に入る。後ろ手に扉を閉め書庫の内部を見渡した。


大きさは武器庫とさほど変わらない。だが、こちらは本特有のインクの匂いがして、ネルヴァは僅かな便意を催した。


 ネルヴァはここで呪文が記してある書物を探す序でに、左手に持った『魔物大全』を置きに来た。


『魔物大全』を4つの大きな本棚の1つ、その空いたスペースに適当に仕舞い、目的の書物を探し始める。しかし背表紙にタイトルが書いていない本が本棚の大半を占めていて、一々本を引っ張りだしてタイトルを確認しなければならないため、作業は難航を極めた。3時間ほど本を探し続けて、漸く目当ての書物を見付けた。本のタイトルは、『下級雷魔法大全』。ちなみに、これを見付けるまでに『中級雷魔法大全』、『上級雷魔法大全』も見付けたため、思わぬ豊作となった。


ネルヴァは書庫を後にして自室へ戻る。椅子に座り『下級雷魔法大全』を開く。上級と中級は、まだネルヴァの魔力量ではとても使えないため、ベッドの下の収納スペースに仕舞った。『下級雷魔法大全』は思ったより内容が濃く、ネルヴァは夢中になって読んだ。


そのため、読み終える頃にはすっかり夜が更けていた。




まだ幼年編なので主人公は最強ではありません。


成長すれば主人公は無双します。

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