体を洗う
三題噺もどき―きゅうひゃくに。
ふわふわとしゃぼん玉が飛んでいく。
特に吹かなくても勝手にできたそれは、目の前でぱちんと弾ける。
昔は専用の液体があって、それじゃないと出来ないと思っていた。
……その液体を飲もうとしたこともあったらしい。あれはしかし、あのストローみたいな棒が悪いと思う。
「……」
もこもこと手元には泡があふれている。
そんなに泡立てる必要はあるかと思うくらいに泡立てている。
私が使っているのはタオルと言うよりはスポンジと言われる方。
あんまり硬いのは好きじゃない。普通に痛いし。
「……」
浴室内ではシャワーの音が響く。
使わないときは止めなさいと言われていたのを思い出し、蛇口をあげる。
ひねるタイプのものではないから、上下に動かすだけでお湯は止まる。
温度の調節も同じようなタイプで同じような形をしているので、間違えると激熱のお湯が出てくる。
まぁ、さすがにこの家に住み始めてもうすぐで10年くらい経つのでそんなことはないが。
「……」
シャワーの音がしなくなった浴室内には、ぽたぽたと水の落ちる音が聞こえ始める。
シャワーの先から溜まっていた水がこぼれているのか、落ちていた。
掛けられているボディタオルからも水が落ちてきている。
「……」
どこで買って来たのか、トランプの模様が薄くなり始めているボディタオル。
これは妹が使っているやつだ。我が家は基本的に1人ひとつずつ使っている。
母のはなんというか堅そうなやつ。もう1人の妹のは、キャラクターが描かれている。
某夢の国のキャラクターだ。
「……」
王子様が出てくるタイプのストーリー……の、お姫様ではなくその周りにいるキャラクターのイラストが描かれている。
可愛いには可愛いけど、こういうのって普通に熊とか鼠……言い方があれだが、そっちの動物の方がいいモノじゃないのかと思うが、まぁ、あの次女に関してはあまり趣味が分からないから仕方がない。
「……」
しかも別に、それが好きとかではない感じだろう。
大方前使っていたやつが限界を迎えて、そろそろ変えなさいと言われた矢先に見つけたからこれを買ったってところだろう。その辺あまりこだわりはないからな。
末っ子はめんどくさいこだわりがあるので、そんなことはないだろうけど……でもトランプって……まぁとやかく言うもんでもないか。
「……」
私のは、少し長めのスポンジがねじられたみたいなやつ。
もこもこと泡立てたそれで体を洗っていく。
足先から首元まで。
「……」
腕を洗いながら、そろそろ剃らないとなぁなんて思う。
あまり頻繁にすると荒れるので出来ないのだけど、気になるものは気になるのだ。
足もしたいところだけど、早めに出ないと、夕食の時間ではあるのだ。
「……」
それに比べて、あの子はどこもかしこもなんというかつるつる?している。
多分、それなりに手入れはしているんだろうが、こういうのって体質とか遺伝も関係していたりするんじゃないだろうか。
「……」
腕は細いし、指先も綺麗に整えられている。
ムダ毛なんてものは知らないみたいに、白くて柔くてさらさらしている。
足も細くて、全体的にすらりとした印象を与えてくる。実際細いから、その通りなんだけど。
でも、健康的な明るさは損なっていないのだから、不思議でならない。
「……」
あの長くて黒い美しい髪も、何もしてないって言っていたなぁ。
それであの綺麗さなら、誰もが羨む美髪と言うやつだろう。
見ていて綺麗だし、さらさらしていて、つい触りたくなるし、何より似合っている。
ポニーテールも、ハーフアップも、そのまま落としていても。文化祭はお団子にしたりもしている。どれも可愛い。
「……」
私は長いのは無理だし、手入れなんてしたくもないので、伸ばすことはない。
基本的に短く切りそろえていて、あの長さなんて想像もできない。
とにもかくにも面倒くさがりで。
「……」
全身を洗い終え、シャワーを出す。
適当に流していきながら、ボディスポンジの泡も落としていく。
もうな、正直風呂に入るのも面倒だったりするが、そんなことはさすがに出来ないのでやらない。集団生活で、そんな不潔なことは出来ない。
「……、」
さっさと終わらせて、さっさと出よ。
お題:しゃぼん玉・王子・トランプ




