第4話:無礼者
どうも、Rowun☽です。
第4話を読みに来てくださりありがとうございます。
少しずつですが、主人公と王子の距離が動き始める回になっています。
推しに会えたオタクのテンションと、王子の温度差を楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは、第4話をお楽しみください。
前日の邂逅は夢じゃなかった。
いや、むしろ夢より尊かった。
昨日の光景が、頭から離れない。
あの瞳。
あの声。
あの立ち姿。
……本当に、生きてる推しが、目の前にいたんだ。
だって動いてたんだよ?
息してたんだよ?
(※語彙消失)
昨日はまともに喋れなかったけど、次に会えたら今度こそちゃんと話すんだ。
まずは友達から。
そして信頼を得て。
最終的には――。
(アルマ様を救う)
そのための第一歩だ。
キースは朝早くから街を歩いていた。
昨日と同じルート。
同じ時間。
もしかしたら、また会えるかもしれない。
そんな期待を胸に街を一周していた、その時。
――いた。
「って、いた――――っ!?!?」
思わず声が裏返る。
街の通りの向こう。
黒い外套に身を包んだ少年が歩いていた。
漆黒の髪。
白磁のような肌。
そして血のように赤い瞳。
アルマ・ル・ヴァルディス。
魔界の王子。
その圧倒的な存在感のせいで、周囲の人々は自然と距離を取っていた。
誰も近づけない。
半径三メートルほどの空白が、彼の周囲に生まれている。
だが。
キースだけは違った。
一直線に駆け寄る。
「おっはようございます!!昨日ぶりですね王子!!!」
テンションが隠せない。
というか隠す気もない。
アルマがぴたりと足を止めた。
ゆっくりと振り向く。
その動作すら優雅で、王族の品格そのものだった。
紅玉のような瞳が、冷たくこちらを射抜く。
「……また貴様か」
低い声。
氷のように冷たい響き。
「昨日の無礼者だな」
心臓が跳ねた。
覚えられてる。
推しが。
俺を。
覚えてる。
(やばい)
(尊すぎる)
アルマは続ける。
「しつこいな。何の用だ?」
「用件もないのに呼び止めるなど、愚かにも程がある」
ズバッ。
まるで斬撃のような言葉だった。
普通なら心が折れる。
だが――
(好き――――ッッ!!!)
刺さる。
めちゃくちゃ刺さる。
この鋭利な拒絶、最高。
すみません王子。
あなたに冷たくされて生きる意味を見出す人生でした。
だが。
この感情をそのまま出したら終わる。
確実にドン引きされる。
キースは必死に理性を総動員した。
ぎこちない笑顔を作る。
内心ではクラッカーが鳴り響いている。
「えっと……その……」
言葉が出ない。
推しが目の前にいると、思考が止まる。
アルマは小さく息を吐いた。
「……用がないなら話しかけるな」
冷たい声。
「悪いが、話している余裕はない」
そう言って、踵を返す。
黒い外套が翻る。
そのまま凛とした足取りで歩き去っていく。
その背中すら、芸術だった。
歩き方だけで昇天できる。
「顔面が国宝……いや世界遺産……」
キースはとろけそうな顔で呟く。
数秒後。
拳を握る。
「よし」
小さくガッツポーズ。
「今日は話しかけることに成功した……!」
大きな進歩だ。
昨日はパニックだった。
だが今日は違う。
これは確実に前進している。
「明日はもう少し踏み込めるかもしれない……!」
推し攻略ルート。
現在進行中。
チュートリアル、クリア。
イベント発生率――明日は15%くらい。
いける。
絶対いける。
あとがき
第4話を読んでいただきありがとうございました。
推しに会えただけでテンションが限界突破している主人公ですが、物語はまだまだ始まったばかりです。
ここから少しずつ関係や状況も変化していく予定です。
楽しんでいただけていたらとても嬉しいです。
それではまた次のお話でお会いしましょう。
またね。




