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アルカディアに誓って、運命を殺す。  作者: Rowun☽
第一章:運命への反逆

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17/30

第16話:合格発表

どうも、Rowun☽です


ここまで読んでくださってありがとうございます。


第16話は、ついに合格発表の回です。

試験を終えた受験生たちの運命が決まる瞬間になります。


キース、アルマ、そしてエリシア。

それぞれの結果と、少しずつ生まれ始めている“違和感”も描かれる回です。


楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは、第16話をどうぞ。

 翌日。


 合格発表の日。


 キース・ヴァレンタインは、朝からどこか疲れた顔をしていた。


(……昨日は……)


(気まずかった……)


 昨日の休日を思い出す。


 本来なら、推し――アルマとの休日になるはずだった。


 街を歩いて。

 パン屋に寄って。

 少しでも仲良くなる予定だった。


 ……のに。


(ヒロインがいたせいで全部台無しだ……)


 エリシア・ルクス。


 乙女ゲーム《アルカディア・レクイエム》のヒロイン。


 だが昨日の彼女は、どうにも様子がおかしかった。


 キースがアルマに話しかけようとすると――。


「あの」


 口を開いた瞬間。


「アルマ様」


 食い気味でエリシアが割り込んでくる。


 別のタイミングでも。


「アル――」


「そういえばアルマ様」


 また被せてくる。


 三回。


 四回。


 五回。


 結果。


 キースはまともにアルマと話せなかった。


(……なんなんだあれ)


 思い出すほど疑問が増える。


(ヒロインってもっと……)


(恋愛イベントとか起こす存在じゃないのか……?)


 だがエリシアは、アルマに迫る様子もない。


 ただ――キースとアルマの会話を止めているだけ。


(何考えてるのか分からない……)


 そんな疑問を抱えたまま。


 正午。


 ラザリオン魔術学アカデミー、本部棟前。


 石造りの広場に、受験生たちがざわめきの渦を作っていた。


 中央の掲示板には、光文字による合格者一覧が浮かび上がっている。


 受験番号。


 名前。


 そして、各分野の順位。


「おい見ろよ、首席って……」


「全分野一位って、そんな奴いるのか……?」


「アルマ・アルカディア……って、あの……!」


 ざわめきが一層大きくなる。


 人の波が自然と割れた。


 そこを歩いていたのは、ひときわ異彩を放つ少年。


 漆黒の髪。


 深紅の瞳。


 整いすぎた美貌と威圧感。


 アルマ・アルカディア。


 掲示板の最上段に、その名が輝いていた。


アルマ・アルカディア

魔法学:1位

歴史:1位

理論構築:1位

実技:1位

総合順位:1位(首席合格)


 圧倒的な結果。


 周囲は言葉を失っていた。


 アルマは静かに掲示を一瞥する。


「……当然だ」


 ただの事実として呟く。


 その横で。


 掲示板を凝視しながら震えている少年がいた。


「う、うわぁぁあぁあぁあっ!!」


 金髪の少年。


 キース・ヴァレンタイン。


「あ、あ、あったああああああ!!」


キース・ヴァレンタイン

魔法学:280位

歴史:420位

理論構築:580位

実技:2位

総合順位:490位――合格


「……合格……してた……っ!!」


 声が震える。


「ま、まさかこの俺が……!!」


 周囲からざわめきが起こる。


「え!?あのキースって奴、実技2位なの!?」

「いや待って、あいつアルマの隣にいた奴じゃね?」

「座学終わってるじゃん……」

「なんで通ったんだよ……」

「でも実技すごかったよな」

「……正直ちょっと惚れた」


 そんな囁きが飛ぶ中。


 キースは拳を突き上げた。


「やったぞアルマァァァァ!!」


 広場に響く声。


「俺、君と!同じ学び舎に立てるぅぅぅぅ!!」


 群衆の向こうで、アルマが振り返る。


「……騒がしいな」


「へへ……ごめん……でも……!」


 キースは嬉しそうに笑う。


「アルマとまた同じ場所にいられるって思ったら、嬉しすぎて……!」


 アルマは少しだけ目を細めた。


「……まあ」


 小さく言う。


「落ちても拾いに行くつもりだったからな」


「えっ!?」


 キースが目を見開く。


「拾いに来てくれる予定だったの!?!?」

「も、もうそれ求婚じゃん!?」


「違う」


 アルマは淡々と言う。


「殺してでも合格させるつもりだっただけだ」


「……こわ」


 一瞬沈黙。


 そしてキースが笑う。


「でも好き……」


 周囲が静まり返る。


 そんな中。


 広場の別の場所で、歓声が上がった。


「おお……!」


「聖女様だ……!」


 受験生たちが一斉に振り向く。


 掲示板の上位。


 そこに名前があった。


エリシア・ルクス

魔法学:7位

歴史:5位

理論構築:8位

実技:9位

総合順位:6位


 その瞬間、周囲の受験生たちが集まる。


「さすがです、聖女様!」

「すごい順位ですね!」

「やっぱり本物の聖女だ……!」


 男子も女子も、次々と声をかけていく。


 エリシアは少し困ったように微笑みながら、それに応えていた。


 聖女。


 優等生。


 誰からも祝福される存在。


 まさにヒロインの光景だった。


 だが。


 少し離れた場所からそれを見ていたキースは、眉をひそめる。


(……あのヒロイン)


 違和感。


 小さな違和感。


(やっぱ……なんか違うな……)


 その視線の先で。


 エリシアもまた、こちらを見ていた。


 ほんの一瞬。


 視線が交差する。


(……この人)


 エリシアの胸の奥にも、小さな違和感が芽生えていた。


(原作と……違う)


 二人はまだ知らない。


 この世界の運命が、すでに少しずつ狂い始めていることを。

第16話 あとがき


第16話を読んでいただきありがとうございました。


ついにアカデミーの合格発表でした。

アルマは圧倒的首席、キースはギリギリながらも合格という結果になりました。


そして今回、エリシアの順位や周囲の反応も少し描いてみました。

“聖女”として注目を集める存在ですが、彼女自身もまた、少しずつこの世界の違和感に気づき始めています。


キースとエリシア。

二人が感じている小さな違和感が、これからどう物語に影響していくのか――。


ここからいよいよ、アカデミー編が本格的に始まっていきます。


もしよろしければ、ブックマークや評価などで応援していただけると励みになります。


またね。

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