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アルカディアに誓って、運命を殺す。  作者: Rowun☽
第一章:運命への反逆

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16/30

第15話:気まずい休日

こんにちは、Rowun☽です


ここまで読んでくださってありがとうございます。


第15話は、試験が終わったあとの“少しだけ平和な一日”のお話です。

……のはずなのですが、キースにとってはなかなか落ち着かない休日になりそうです。


アルマ、キース、そしてエリシア。

三人が並んで行動する、少し不思議で気まずい時間が始まります。


楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは、第15話をどうぞ。

 実技試験の翌日。


 アカデミー試験はすべて終了していた。


 そして――合格発表は、明日。


 つまり。


 今日は、完全に何もない日だった。


 魔法都市ラザリオンの街は、朝から賑わっている。


 受験を終えた学生たちが、肩の力を抜いたように街へ繰り出していた。


 そんな中。


 キース・ヴァレンタインは一人、宿屋の前で拳を握りしめていた。


(今日は……)


(今日は……!!!)


 深く息を吸う。


(アルマとお近づきになれるチャンスだッ!!!!)


 試験は終わった。


 つまり、今日は予定がない。


 つまりつまり。


(デートに誘えるチャンスでは!?)


 キースの脳内では、壮大な計画が組み立てられていた。


 街を歩く。

 パン屋に寄る。

 カフェに行く。

 アルマが甘いものを食べる。


(完璧だ……!!)


 そんな妄想をしながら広場へ向かうと――。


 いた。


 黒い髪。


 深紅の瞳。


 朝の光を浴びて佇む少年。


 アルマ・ル・ヴァルディス。


 その姿を見た瞬間。


(いたああああああああああ!!!!)


 心の中で歓喜の絶叫。


 だがキースは必死に平静を装う。


 落ち着け。


 自然に。


 自然に話しかけるんだ。


 ゆっくり近づく。


 そして口を開く。


「あ……」


 その瞬間だった。


「アルマ様」


 別の声が先に届いた。


 キースの動きが止まる。


 振り向いた先にいたのは――。


 薄桃色の髪。


 澄んだ水色の瞳。


 エリシア・ルクスだった。


 エリシアはにこりと微笑み、アルマへ歩み寄る。


「今日もしお時間があれば、私と街を回りませんか?」


 柔らかな声。


 完璧なヒロインスマイル。


 だが。


 アルマは一瞬だけ視線を向け――。


「……くだらん」


 一言で切り捨てた。


 周囲の空気が一瞬凍る。


 しかしエリシアはまったく動じない。


「でしたら」


 くるりと視線を動かす。


 その先には、固まっているキース。


「キース様もご一緒にどうですか?」


「え?」


 キースの思考が止まる。


「え?」


 もう一度言った。


 アルマはため息をつく。


「……勝手にしろ」


 短くそう言って、歩き出す。


 そして。


 当然のように二人もその後を歩くことになった。


 沈黙。


 三人で並んで歩く。


 なんとも言えない空気。


(え?)


 キースは内心で混乱していた。


(これ何……?)


(休日イベント?)


(ヒロイン同行イベント??)


 横を見る。


 アルマ。


 完全に無表情。


 前だけ見て歩いている。


 反対側を見る。


 エリシア。


 にこにこ微笑んでいる。


 そしてその二人の間。


 キース。


(……気まずい)


 とんでもなく気まずい。


 街の人々は楽しそうに歩いているのに、この三人の間だけ妙に重い空気が漂っていた。


(なんだこの休日……)


 こうして。


 本来なら平和なはずの休日は。


 どこか奇妙で、気まずい三人旅として始まったのだった。

あとがき


第15話を読んでいただきありがとうございました。


今回は、試験の合間の少しゆるい回でした。

緊張感のある試験とは違って、三人の空気感を楽しんでいただけたら嬉しいです。


キースは推しとお近づきになれるチャンスだと思っていたのに、気づけば三人で街を歩くことに。

果たしてこの休日はどうなるのか……。


次回も少しずつ三人の関係が動いていく予定です。


もしよろしければ、ブックマークや評価などで応援していただけるととても励みになります。


またね。

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