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アルカディアに誓って、運命を殺す。  作者: Rowun☽
第一章:運命への反逆

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第11話:魔力測定

どうも、Rowun☽です。


ここまで読んでくださってありがとうございます。


今回はアカデミー試験の最初の関門、魔力測定の回です。

それぞれの魔力の特徴や属性が少しずつ見えてくる回でもあります。


楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは、第11話をどうぞ。

 広大な試験棟の一角。


 初期試験として、受験者たちは数名ずつ区切られ、魔力量とその性質を測る部屋へ案内されていた。


 部屋の中央には、魔水晶アナライザー・クリスタが設置されている。

 魔力を流し込むことで、その属性・強度・適性を可視化する特殊な測定器だ。


 受験者たちが並ぶ中、試験官の一人が静かに口を開いた。


「これから魔力量と属性の測定を行う」


 低く落ち着いた声が部屋に響く。


「魔法属性は通常一つ」


 周囲の受験者たちが真剣な顔で聞き入る。


「稀に二属性」


 少しだけざわめきが起こる。


「三属性以上は歴史上存在しない」


 その言葉に、室内の空気が引き締まった。


 ――そして。


「……だが」


 試験官はふと視線を横へ向ける。


 その先にいたのは、腕を組んで静かに立つ少年。


 魔界の第二王子――アルマ・ル・ヴァルディス。


 試験官はわずかに目を細めた。


「まあ、例外がないとは言い切れん」


 意味深な一言を残し、試験官は名簿に目を落とした。


「では、順に測定を行う」


 静寂が戻る。


「キース・ヴァレンタイン」


 呼ばれた瞬間、キースの背筋がビクリと伸びた。


「来たッ……推しの前でカッコつけるタイムだ……!」


 小声で呟きながらも、顔は完全ににやけている。


 その様子を横目で見ながら、アルマは静かに腕を組んでいた。


 キースが魔水晶の前に立つ。


 そして、手をかざす。


 ――次の瞬間。


 魔水晶が眩く輝いた。


 白銀と漆黒。


 相反する二つの光が、衝突するように渦を巻く。


 まるで昼と夜が同時に存在するかのような光景だった。


 試験官たちがざわめく。


「……複合属性?」

「しかも光と闇の複合だと?」

「これは……極めて珍しいぞ」


 数値を確認した試験官が目を見開く。


「魔力量も高い……これは優秀だ」


 周囲の受験者たちもざわめく中、キースは内心でガッツポーズしていた。


(やっぱり二属性だ……!)


(これで……!)


(アルマにちょっとは見直してもらえるかも……!)


 その時だった。


「……ほう」


 背後から、静かな声が届く。


 誰にも聞こえないほど小さな声。


「悪くないな」


 アルマ・ル・ヴァルディスは、わずかに目を細めてその光を見ていた。


 それはまるで、長く退屈していた王が、ほんの少しだけ興味を持ったかのような視線だった。


 キースは振り返りそうになるのを必死で堪えた。


(やばい……今絶対ちょっと評価された……!)


(推しに褒められた……!!)


 心の中で限界オタクが爆発していた。


 試験官が次の名を呼ぶ。


「――次。アルマ・ル・ヴァルディス」


 その名前が響いた瞬間。


 なぜか部屋の空気が張り詰めた。


 アルマが静かに歩み出る。


 それだけで周囲の受験者たちは思わず息を呑んだ。


 魔水晶の前に立つ。


 そして、何のためらいもなく手をかざした。


 ――次の瞬間。


 七色の光が爆ぜた。


 赤、青、緑、金、紫、白、黒。


 あらゆる属性の光が同時に輝く。


 それは、全ての属性を内包する存在――。


 “全魔属性”。


「ッ……!? クリスタが……!」


 試験官が叫ぶ。


 次の瞬間。


 バキィィィィィンッ!!


 凄まじい魔力の奔流と共に、魔水晶がひび割れた。


 そして――砕け散る。


 水晶の欠片が宙に舞い、部屋の中に魔力の余波が揺らめいた。


 試験官たちは一斉に立ち上がる。


「な、何だ今のは!?」

「共鳴過剰反応か!?」

「いや……これは単なる魔力量では説明がつかん……!」


 騒然とする室内。


 しかし。


 当の本人は、まったく動じていなかった。


「……いつものことだ」


 アルマは静かに言う。


「気にしないでくれ」


 そして、そのまま踵を返した。


 何事もなかったかのように歩いていく。


(あぁ……あぁぁぁぁ……)


 その様子を見たキースは、震えていた。


(やばい……)


(推しが……)


(属性全部乗せ……)


(クリスタ破壊……!?)


(あれもう人間じゃないでしょ……いや魔族だけど……好き……!!)


 完全に限界突破したオタクは、ぷるぷる震えながらノートを抱きしめていた。


「アルマぁ……すごすぎて尊すぎて……推しの概念ごと召されそう……」


 遠巻きに見ていた試験官の一人がぼそりと呟く。


「これは……アカデミー史上初の事態かもしれん」


 別の試験官が眉をひそめる。


「……あの二人、なんなんだ?」


 しばらく沈黙が流れた後、別の試験官がぽつりと言った。


「……たぶん、“推しと会話できるオタク”と“その推し”だろ」


「いやそんな分類聞いたことないぞ……」


 その騒ぎを、少し離れた場所から見ていた少女がいた。


 薄桃色の髪。


 澄んだ水色の瞳。


 エリシア・ルクス。


 彼女は、砕けた魔水晶の残骸と、二人の背中を静かに見つめていた。


「……やっぱり」


 小さく呟く。


「おかしい……」


 彼女の知っている物語では。


 ――こんな展開にはならない。

あとがき


第11話を読んでいただきありがとうございました。


今回はアカデミー試験の最初の関門、魔力測定の回でした。

それぞれの魔力の特徴や才能が、少しずつ見えてきたと思います。


そして今回のあとがきでは、もう一人の主要人物を紹介します。


【キャラクター紹介②】


アルマ・ル・ヴァルディス


年齢:16歳

身長:170cm

誕生日:10月13日


魔界の第二王子。

《アルカディアの核》と呼ばれる特別な存在で、圧倒的な魔力を持つ少年。


漆黒の髪と深紅の瞳、透き通るような白い肌を持つ美しい王子だが、

その力の強さゆえに人々から恐れられ、“兵器”や“災厄”として扱われてきた過去を持つ。


普段は冷静で他人と距離を置く性格だが、内面には深い孤独を抱えている。


好きなもの:静かな場所、甘い果実、柔らかい布や暖かいもの

嫌いなもの:命令されること、自分を道具扱いする視線、嘘


それでは、また次のお話でお会いしましょう。


またね。

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