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アルカディアに誓って、運命を殺す。  作者: Rowun☽
第一章:運命への反逆

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11/30

第10話:試験の日

どうも、Rowun☽です。


ここまで読んでくださってありがとうございます。

気づけばこの物語も第10話まで来ました。


少しずつですが、物語も動き始めています。

そして今回は、ついにアカデミーの試験の日。


ここから新しい舞台と、新しい登場人物が現れます。


楽しんでいただけたら嬉しいです。

それでは、第10話をどうぞ。

 広大な試験場には、各地から魔術士志願者たちが集まっていた。


 アカデミー正門の前には、貴族専用の馬車が次々と並ぶ。


 豪華な装飾の扉が開き、名家の子息たちが降りてくる。


 その光景はまるで社交界のようだった。


 ――だが、その陰。


 門柱の影。


 風も通らぬ死角に、一人の男が潜んでいた。


 キース・ヴァレンタイン。


 本日、変態オタク100%。


(まだか……)


 柱の影から顔を出す。


(まだかアルマ……)


 馬車を見る。


 違う。


 また違う。


「……ちがう、また違う貴族……チッ……」


 何度目かの舌打ち。


 周囲の一般受験者たちは、すでに距離を取り始めていた。


「……あいつ何してるんだ?」


「やばいやつじゃない?」


 だが、キースは気にしない。


 なぜなら。


(アルマに会える日だから!!!)


 その瞬間。


 一台の馬車が門前に止まった。


 漆黒の装飾。


 重厚な魔導紋章。


 明らかに他とは格が違う。


 従者が静かに扉を開く。


 そして――。


「……っ!!」


 降りてきたのは。


 漆黒の髪。


 深紅の瞳。


 冷たい威容。


 アルマ・ル・ヴァルディス。


 その瞬間、空気が変わった。


 まるで重力が変わったかのように、視線が一斉に彼へ向く。


 圧倒的な存在感。


 まるで王。


 同じ受験者とは思えない。


 生徒たちは息を呑んだ。


 だが――。


「おはよう!! アルマ!!!」


 その静寂を破った男がいた。


 笑顔120%。


 キース・ヴァレンタイン。


 アルマはその声を聞き、わずかに視線だけ動かす。


「……ああ」


 短い返答。


「お前か」


 そして一言。


「いつから待っていた?」


「三時間前から!」


 即答。


 アルマは一瞬沈黙した。


「……気持ち悪い」


 呆れた声だった。


 そのまま歩き出す。


 キースは当然のように隣へ並んだ。


「えへへ、アルマに会うために三日間我慢したんだよ!」


「ストーカー発言にしか聞こえん」


「褒め言葉として受け取るよ!!」


 アルマはため息をつく。


 そして唐突に言った。


「……試験勉強はしたのか?」


 キースが止まる。


「え?」


「実技だけではない」


 アルマは淡々と言う。


「座学もある」


「え?」


「魔法理論」


「え?」


「元素構成式」


「え?」


「魔力干渉法則」


「えええええええええっ!?」


 絶望の叫び。


 アルマは目を閉じた。


「……はぁ」


 少しだけ迷う。


 そして、懐からノートを取り出した。


「俺の復習用だ」


 キースに差し出す。


「……落ちるなよ」


 キースは固まった。


「え?」


「え?」


「え?」


 震える手で受け取る。


「アルマの……ノート……?」


 声が震える。


「神聖書物!?!?!?」


「うるさい」


 アルマが言う。


「あげたわけではない」


「試験が終わったら返せ」


「ふへへへ……」


 キースはノートを抱きしめた。


 完全に恍惚の顔。


 まるで恋人から手紙でも貰ったかのようだった。


 その様子を、周囲の受験者たちは呆然と見ていた。


「あれアルマ様だよな……」


「なんであいつ隣にいるの……?」


「誰だよあの変なやつ……」


 ざわめきが広がる。


 だがキースは全く気にしていない。


(絶対受かる)


 拳を握る。


(アルマと同じアカデミーに通うんだ!!!)


 燃える闘志。


 変態オタクの執念。


 こうして。


 キース・ヴァレンタインはついに


 推しと同じアカデミー


 へ足を踏み入れようとしていた。


 ――その光景を。


 一人の少女が見ていた。


 薄桃色の髪。


 澄んだ水色の瞳。


 白い聖衣を纏った少女は、


 静かに二人の背中を見つめていた。


 赤い瞳の王子。


 そして、その隣を歩く少年。


 少女は、わずかに目を細める。


 風が、淡く髪を揺らした。


「……あれは」

あとがき


第10話を読んでいただきありがとうございました。


ついにアカデミーの試験が始まりました。

そして、キースとアルマが同じ場所に立つことになります。


ここから物語は、少しずつ大きく動き始めます。


今回のあとがきでは、キャラクター紹介を載せてみようと思います。


【キャラクター紹介①】


キース・ヴァレンタイン


年齢:17歳

身長:180cm

誕生日:5月1日


本作の主人公。


乙女ゲーム《アルカディア・レクイエム》の世界に転生した青年で、前世ではこのゲームの大ファンだった。


本来はアルマを討つ“英雄”になる運命の人物だが、

最推しであるアルマ・ル・ヴァルディスを救うため、物語の運命そのものを壊そうとしている。


好きなもの:アルマ、甘いパンや焼き菓子

嫌いなもの:アルマを否定する言葉、「運命だから仕方ない」という考え


それでは、また次のお話でお会いしましょう。


またね。

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