変異の狼男
来てしまったものは、もう仕方がないと。
ユノはそう言って、ここ数日の成果を説明してくれた。
それから――
今、街で噂になっている異変について。
アウターヴァル内で、人狼の目撃情報が相次いでいるらしい。
それも、普通の人狼ではない。
体色の異なる、異様に知能の高い個体。
いくらかの被害は出ている。
だが、討伐される前に必ず身を隠すため、未だ討伐には至っていない。
現在は、ギルドに討伐依頼が出されている段階だという。
……それにしては。
街の様子は、あまりにも平穏だった。
そんな厄介な魔物が潜んでいるなら、もっと戦々恐々としていても不思議ではない。
夜の街も、人出は多少減っているのだろうか?
目に見えて変わった様子はない。
「オイレさ」
ユノは、ぽつりと言った。
街の人間は、本当に危険なら、オイレがなんとかすると、そう信じ込んでいるらしい。
実際、討伐こそ成功していないが、「襲われて怪我をした」程度で、死人は出ていないという。
オイレの私兵によって、この街は守られている。
人狼が討伐されるのも、時間の問題だと。
皆、そう思っている。
街の人々の話。
これまで集めた情報。
それらを踏まえた上で、ユノは断言した。
貴族失踪事件の真相を、オイレは――
確実に掴んでいるはずだ、と。
そして。
「今晩あたり、何かある」
ここ数日、ユノをつけ回していた影があった。
だが、今朝から、それが消えた。
シュライバー商会が接触してくるなら、
――今だろう。
ユノは、そう言った。




