星屑の願い
「じゃあ、考えなくちゃいけねーよな」
ユノが言った。
「何を?」
僕が尋ねると、
「な・ま・え、だよ」
ユノはそう答えて、リシアを見る。
「俺とリサは勇者パーティーの新参者だ。
いい名前、頼むぜ。センパイ」
にやりと意地悪く笑う。
リシアは、いつものようにこてんと首を傾げた。
「リシアは、後輩というものは。
もっと可愛らしい存在だと理解しております」
本気とも冗談とも取れない、真剣な表情。
リサが吹き出し、ユノも腹を抱えて笑っている。
本当にこの人たちは、リシアをからかうのが好きだな。
僕とかカイルには、到底まねできない芸当だと毎回、思う。
しばらくして、リシアは口を開いた。
「小さな星の輝き、星屑の願い――
《ステラ・ヴォートゥム》はいかがでしょうか」
静かに落ち着いついているが、まるで確信するような声色だった。
「リシアは思います。
勇者とは、太陽のようにすべてを焼き尽くす存在ではございません。
月のように、海を風を、支配する存在でもございません。
身を砕き、一筋の流れる星となって、誰かの願いを聞き届ける者――
それこそが勇者足り得ると理解しております」
一拍置いて、リシアは静かに結んだ。
「さながら、あなた様方は流星群でございますね」
静かな沈黙が流れた。
「……屑星、か。悪くねーな」
ユノがぽつりと呟く。
「哲学的ね。
嫌いじゃないわ」
「リシアさん、すげー!」
カイルの声が、その場の空気を少しだけ柔らかくした。
僕は――
胸の奥が、じんわりと温かくなるのを感じていた。
太陽になんてなれない。
月になんてなれない。
勇者になんて、なれないかもしれない。
それでも。
誰かの願いを、誰かの想いを、ほんの一瞬でも支えられるなら。
前の僕じゃない。
姉のような人を、両親のような人を、支えてくれた友達のような人たちの、その「支え」になりたかった。
頼るだけじゃない。救われるだけじゃない。
そういう存在に――なりたかった。
「ありがとう、リシア」
考えるより先に、言葉が出ていた。
リシアは一瞬、きょとんと目を瞬かせ、それから、少し戸惑ったように微笑んだ。
まるでその表情に慣れていないような不慣れな微笑みだった。




